ひとりごと(2015年6月分)

2015年6月30日(火)             「駅長さんありがとう」

長野から戻るや否や、恐ろしき日常が戻ってきています。今週がヤマです・・・。

お陰様で白馬美術館でのコンサートも無事終わりました。ペンションぷれじ~るさんで練習させて頂いた金曜日はお天気が荒れに荒れ、土曜のコンサートが心配でしたが、当日はなんと晴れました!白馬は新緑が本当に美しい季節。目が、心が癒されました。会場となった白馬美術館はシャガールの版画に特化してあるそうで、奥に小さなホールがあります。舞台の後ろが全面ガラス張り、まるで森に囲まれた中で演奏しているような素敵なところですが、お客様側から見るとちょうど夕暮れ時、刻一刻と日が傾いて行くのも同時に楽しめたとの事。弾いている本人は演奏中は楽譜と鍵盤を見、しゃべりながらお客様の方を向き、そんな事には全く気付けなかったのですが、本当に心地よく演奏させて頂けました。お世話になった皆様、お客様、本当にありがとうございました。

話変わりますが・・・和歌山電鉄貴志川線貴志駅の駅長さんをつとめていたたまが、今月22日に天に召されました。16歳、人間に当てはめると80歳の大往生です。熊取合宿の折には、たまとニタマの出勤日、そして時刻表も調べ、会いに行くのが楽しみでした。ネコだけあって寝ている事も多かったのですが、ふたりともとても可愛く、存在感抜群。たまは高齢だから会える時に会いに行こうと思っていましたが、その反面この先もずっとたまがいてくれるような気がしていました。今年の2月の合宿は合わせが間に合わなくて、会いに行く事が出来ないままになり・・・もうたまに会う事は敵わないのかと思うととても寂しいです。たまの堂々としたお仕事ぶりは、まるで駅長さんをつとめるために生まれてきたのかと思うほど。たま、今までありがとう。しばしゆっくり休んでね・・・。




2015年6月26日(金)             「いい状態で」

すっかりご無沙汰しております。今日は長野から更新します。

随分と昔の事のような気がしてしまうのですが、お陰様でリサイタルも無事に終える事ができました。いらして下さった皆様、助けて下さった皆様、本当にありがとうございました。メールやお便りも頂いているのですが、なかなかお返事できなくてごめんなさい。少しずつお返事致します。

久しぶりにホームページ作成ソフトを開いたら、リサイタルの数日前にどうにか更新しようと途中まで書きかけた文章がそのままに・・・。やはり練習の方が優先なので、最後までまとめられないままとなってしまいました。今回は自分にとっても大きな意味があったと思いますし、それらについて書きたい事はあるのですが、できるなら近い内に書きたいと思います。何度も覗きにいらして下さった方には本当にごめんなさい。

終わってから1ヶ月が経ちますが、本当にあっと言う間。いつもの事ながら、終わった途端素面に戻りました。何かにとり憑かれるか別の世界に連れていかれるか・・・多分そうならないとひとりで舞台には立てないのでしょう。リサイタル数日後に伴奏の本番がありました。その一種独特な空気の中に居合わせて、数日前本当に一晩のリサイタルを弾き切った事が信じられないような、そんな不思議な感覚を味わいました。翌日だけオフにしていろいろな事を片付け、その次の日から無我夢中で過ごして今日に至ります。さまざまなツケがたまっており、また学校が期末に近づき、帰宅したら何もできずにいつの間にかバタンキュー、慌てて翌明け方に起きて準備して出てゆくという日が何日も続き、何やっているんだろ?と自問自答する日々でした。ま、それはさておき・・・

更新しようと思って結局今更になりましたが、明日白馬美術館でピアノ・デュオで演奏させて頂きます。昨日授業を終えてから長野入りし、いつもお世話になっている峰の原高原のペンションぷれじ~るさんへ。下界での出来事を一切忘れて、1日しっかり練習させて頂きました。着いた晩は星がたくさん見えたのですが、今日は樹がしなるほどの強風と大雨。楽しみにしていたお散歩もできず、結局練習で1日が終わり、オーナーさんの作られる美味しいディナーでやっと我に返りました。自然にあるところに行きたいとここしばらくずっと思っていただけに、まず体も心も休める事が先で、本番に向けた精神状態になるのはまさに明日、当日の事になりそうです・・・。

心も体もいい状態にないと、本番に立ち向かうのは難しい。感性が枯れてくるし、集中ができなくもなる。精神が、前に出ようとするより陰に引っ込もうとし始める。体のどこかが故障したら望む練習ができなくなり、その結果時間をかけて作るべきものが作れなくなる。だから無理をしてでも、休むべきと思ったら休まなくてはならない。昨年の秋から寝ないと体が持たなくなり、無理してもそうしようと思いますし、自然の多いところに行きたいとよく思うのでしょうか。

話変わりますが、最近、自分のレッスンの仕方についてこれでいいのかと考えさせられています。その中から一つだけ。実は、レッスンではあまり弾かないようにしていました。昨今ではいとも簡単に音源が手に入るようになっていますが、そんな時代だからこそ、弾いてみせると耳コピーで真似するのが先になり、ひいては自分で考えなくなってしまうのではないかと危惧したからでした。自分自身、ピアノのレッスンのみならずいろいろな方から、いろいろなものからヒントを頂き、考えて試して得られたものがたくさんあります。自分で考えたものだからこそ身につくのですが、自分の場合が全ての人に当てはまる訳ではないとも思い始めています。

逆から言うと、専攻のレッスンを受け持っている訳ではない学生さんたちに室内楽のレッスンや伴奏、受け持ちの授業などで出会いますが、そういう学生さんに自分だからこそ伝えられる事があるとも思います。大切にすべきものは何なのか、伝えてゆくべきものは何なのか・・・?専攻のレッスンでもそうなのですが、伝えるのはピアノの演奏技術だけはなく、クラシック音楽を絶やさないための伝統だけでもなく、最終的には人としてどう生きるかみたいな事がおのずと「伝わってしまう」のではないかと・・・?自分の本番が目の前に迫っていても、こういう事をいつしか考えているのが不思議です。そんな自分は一体何なんだろう?と考えてしまいます・・・。

そんなこんなで時間的余裕が無いので、今文章に手を入れる事が全くできませんが、せっかく書いたのでそのままアップします。外はまだびゅうびゅう強い風が吹き続けています。自然は厳しいものですね。明日は晴れるのかな。まずは明日の本番、連弾の名曲集で心地よいひとときを皆様に過ごして頂けますよう、頑張ってきます。

まわりには体調を崩している方が多いですが、皆様もお身体にお気をつけてお過ごし下さい・・・。


 過去のひとりごと2へ
 ホームへ

ピアニスト 石田多紀乃 オフィシャル・サイト
http://takinoishida.com
メールアドレス mail@takinoishida.com
本サイトの内容の無断転載・複製は固くお断り致します。
Copyright (c) 2004-2020 Takino Ishida
All Rights reserved.