ひとりごと(2014年3月分) |
2014年3月31日(月) 「自分らしく」 無事講習会も終了し、久々にホッとしている夜です。 終わって初めて気付いた事。そう言えばちょっと背中と手首が痛い。気持ちも張っていたし。結構頑張ったかなと思って、講習会期間中でどれくらいの曲を弾いたか数えてみました。ん?・・・25曲。ピースもコンチェルトもソナタも含みますが、全楽章伴奏したものも大分ありました。それにしてもヴァイオリンの曲ってどうしてこうも名曲揃いだか・・・。 フォーレのヴァイオリン・ソナタの2番。よく演奏される初期作品の1番に比べて滅多に演奏されない曲ですが、今回これで受講した学生さんがいました。私自身以前に取り組んだ時、最初は?がいっぱい頭の中に浮かんでいましたが、さらいこんで行く内に妙に惹かれ、今では1番よりもはるかに好きな作品になりました。しかしこれでいいのか、自信が持てないというか釈然としないものを抱えたままであったのも事実。今回いらしていた3人の先生方のレッスン、それぞれに勉強になる事が多々あったのですが、このソナタを録音されている先生のレッスンを受けられた事は願ってもないありがたい経験でした。先生もはじめは「え?2番?本当に?」と。「1番のソナタよりも2番の方がずっとずっと奥深く、もっと演奏されてしかるべき傑作である」とはその先生の弁。学生さんも私も大きくうなずいたのは言うまでもありません。 「自分らしく」。この言葉の意味をふと考えました。メインで入っていた先生のレッスンで、何度も何度も繰り返しおっしゃっていた事です。コンサートで一緒にソナタを演奏させて頂いたのですが、「自分らしい演奏」「自分らしく生きる」という事が演奏からまっすぐに伝わってきていました。私も言葉の壁で自由に言いたい事を伝えられない分、精一杯音楽で伝えようと思いました。言いたい事を伝えられないのが本当にもどかしく、音楽という共通の言葉があったことにどれほど救われた事か・・・。先生のすばらしい演奏はもちろん、お人柄にも助けて頂き、ありがたく幸せなひとときでした。本当にチャーミングで素晴らしい方です。 果たして今、自分らしく生きて自分らしく音楽出来ているのか、突如不安に襲われました。自分への宿題にします。 さて、4月。一歩外に出たら消費税が上がり、世の中が大きく変わった事を実感するのがコワイ・・・。 2014年3月30日(日) 「暖かさ」 朝から晩までレッスン、その後受講生コンサートという日が続いています。毎日朝と晩に通る桜並木道、順当に咲き進んで来ています。 今回私がお手伝いしているのは海外からいらした先生のクラス。レッスンでは、ヴァイオリンだけに限らず他の楽器の演奏家の事、絵画やバレエなどさまざまな話が出てきます。本当にいろいろな分野に造詣が深い先生です。まずイメージを持ち、そしてどんな音を奏でるのかを描く事、楽器を弾く事にいっぱいいっぱいになるのではなく、「音楽」が大切という事、聴いて下さるお客様にメッセージをちゃんと届けられるようにする事・・・「ステージでは」という言葉もよく出てきます。演奏経験に裏打ちされたお言葉で、さすが説得力がありますが、でもとてもチャーミングな先生です。 臨時で別の先生のクラスの伴奏に入る事もあるのですが、どの先生もおっしゃっていたのがスタイルの話。ある曲を演奏する際、それがどの時代なのか、どの国のものなのか、それを踏まえた上で表現をしなければいけない、という事。具体的に音を出す時にどうすればいいか、また音楽の流れとしてどうすればいいか・・・。レッスンの進め方もまた然り、いろいろ参考にさせて頂ける事が多い毎日です。 家に帰るとどことなくいい香りが・・・と思いつつ、疲れているし外は暗いし確認していなかったのですが、大荒れお天気に備えて外を見て回りました。なんと数日前まで地上5センチくらいだったチューリップがぐぐんと伸びて蕾をつけています。蕾が見えだしていたヒヤシンスはもう8分咲き。いい香りの出所はここでした。春の暖かさはこんなにも成長させるものなのですね。 受講生の学生さん達も半年ぶりに聴かせて頂き、皆が目に見える進歩をとげているのを嬉しく思いました。自分、あるいは家族は気付かなかったりするのですが、久しぶりに聴かせて頂くとそれがよくわかります。 ふと、この半年間の自分を振り返ってみました・・・。 2014年3月28日(金) 「沼」 気がつけば桜も咲き始めていますね。いつしかダウンコートも必要なくなり、新学期ももうすぐ始まります。 すっかり更新が遅くなってしまってごめんなさい。何度か書き始めては中途になり・・・あれだけ集中して取り組んでいたものがいきなり終わって疲れが出たのものあり?文章が全く浮かばなくなっていました。迷った末、中途になったものを少しだけ直して載せます。 お陰様でピアノ・デュオの東京公演2日間も何とか無事終了しました。年度切り替えのお忙しいところ、そして春休み中で予定盛りだくさんのところ、いらして下さった皆様には心より感謝しております。ありがとうございました。 いつもの事ながら、この公演を迎える時には震災の日の事を思い出します。このデュオの東京デビューがあの日だったから止むを得ないのですが。終わって2週間経って、公演当日が何とも形容しがたいちょっと重い気分だったのはなぜなのか、やっと分かった気がします・・・。 終わってからすごく長い時間が過ぎたような気がしています。試験シーズンが終わってからなだれ込むように準備と練習に入り、それでも間に合わないことだらけで毎日必死でした。何がどんな風に必死だったのかさえ、今はよく思い出せません。ブラームスのワルツとシューベルトのファンタジー、取りかかる前から大変さを十分に理解していたつもりですが、やはりこの2曲は手ごわかった・・・。上から見たらそんなに深くはないように見える沼にじゃぶじゃぶ入っていったら足をとられ、ずぶずぶと足がめり込んで行って抜けなくなるような、そんな感じでしょうか。最近もそんなちょっと怖い経験をしたような気がするんだけど・・・?とよくよく思い出してみたら、そうそう、ありました! 先日長野公演の折、お隣の懐かしの菅平スキー場のゲレンデにどうしても行ってみたくて、雪靴のままお散歩に行ってみたのです。ペンションの前の道から藪の中を少し歩くとゲレンデに出られるのですが、そこは当然除雪していなくて、何十センチもも積もった雪の上に何人かの足跡があるのみ。多少踏み固められている足跡の上を辿って行ったのですが、それでもずぼっとひざ上まではまった事数回。このまま抜けなくなったらどうするんだろ?と、雪に慣れていない者としては恐怖に感じました。こちら峰の原・菅平でも今年の積雪は半端でなかったそうで、昨年夏にコンサートさせて頂いたペンションぷれじ〜るの別館は、厚い雪のカプセルの中に閉じ込められたお家、という様相でした。あの雪もう溶けたかな。 話がそれました。今回のコンサートに際して私がぼそっと「間に合うのかな」とつぶやけば原田さんが「やるだけ」と答えるのが常で、それに随分助けられました。しかし手ごわい=可能性も沢山あるという事で、弾く度に全く違った演奏になり、本人も思いがけずびっくり。東京2公演はもちろんの事、それに先立つ長野と秋田公演も、熊取合宿でのホールでのリハーサルも。毎回弾く度「あれ?今回も違ったね〜」と顔を見合わせるのですが、「これも有りか」と納得させられてしまうのが作品の懐の深さなのかと。しかし曲の核心に近づかせて頂くにはまだまだ。もっと年を重ねたら少しはいい味が出せるかなと、今後を楽しみに弾き続けていきたいと思うのです。 さて、現在は春恒例の弦楽器の講習真っ只中。楽器は違えども、ピアノのレッスン以上にさまざまな新しい事を吸収できている感じです。 会場近くの桜並木、開いた花の数が夜にはぐぅんと増えています。風も柔らかくなりました・・・。 2014年3月8日(土) 「当てっこ」 今日は大阪・熊取から更新します。 長野のコンサートを終えて翌日帰京、家に30分だけとんぼ返りして衣装を詰め替えた後、都内で夜の公演のゲネプロと本番があり、翌朝大阪へ出発。何か大切なものを忘れるのではないかと心配で、必死でシュミレーションして必要なものをメモし・・・楽譜と衣装を忘れなければいいかと腹をくくりましたが、大事なものはちゃんと持ってこられたようです。 そんなこんなの怒涛の数日が過ぎ、熊取で本番間際ぎりぎりの詰めのための合宿に来ています。ほぼ1週間、合わせはもちろんの事、ホールを1日お借りしてリハーサルもし、曲目解説を書いてプログラムを作って入稿し・・・今回は本当にぎりぎりで、ゆっくりお散歩したりする間も殆どなく、あっという間に時間が過ぎました。 こちらは梅や菜の花があちこちで咲いています。ウグイスの初鳴きも聞きました。1月に来た時に比べたらお天気があまり良くなく、やっと昨日真っ黒な雲の陰に隠れた夕日が見られました。冬は寒さがこたえる熊取もさすがに少しは春らしくなったようで、凍える思いはしなくなりました。やはりここの自然はとても落ち着きます。今度来られるのは夏休みでしょうか。集中していろいろできる貴重な時間ももう終わりかと思うと、本当に残念です。 長野公演もお陰様で無事終わりました。いらして下さった皆様ありがとうございます。親子でいらしたお客さんも多く見受けられましたが、今回は前半は子供さんのために、後半は大人のために、というコンセプトでのコンサート。当初はホールの舞台の上にピアノを載せるつもりでしたが、ちょっと客席と離れている?という事で急遽変更。舞台が少し客席に寄ってせり出せるようになっていて(説明が難しい・・・)、その上で弾きました。子供さん達はかぶりつき最前列。ピアノはいろいろなイメージの音を出せるという事で、最初はタイトルを伏せてヒントを出し、曲の当てっこ。ドビュッシーの子供の領分から数曲、一発どんぴしゃで当てられたりもし、子供さんの感受性にはびっくりさせられました。 その後はピアノがどんな仕組みで音が出ているか、ピアノの周りに来て中を覗いてもらいながら説明。子供さんは皆興味津津。エスパーニャはピアノの周りでも下でもどこでも好きに聴いて構わないとお話ししたら、本当にピアノの下で聴いていたお子さんが数人いたそうです。全開のふたに触ろうとジャンプするお子さんもいたり・・・ちょっとハラハラしましたが、コンサートは知らない曲を静かに座って聴いていなければいけないという呪縛に縛られる前に、こんな風に気楽に楽しんで聴いてもらえる機会があってもいいかと思っての試みでした。 後半は大人の時間という事で、普通のコンサートのように簡単に解説しての演奏。子供さん達もさっきと打って変わって静か。というコンサートでした。以上、駆け足で振り返ってみました。ボランティアで動いて下さったスタッフの皆様、ホールのスタッフさんに助けられて滞りなく終わった事に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 今はいろいろ音源を聴いている最中。私はこれを書いているので、向かいに座っている原田さんがあれこれ探して聴かせてくれています。私は音が鳴っているとそっちをつい聴いてしまって、その他の事がおろそかになるタチなので、どうも今日は文章がひらめかない。面白くないですが、ちょっと今日はご勘弁を・・・。 |
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