ひとりごと(2014年2月分) |
2014年2月28日(金) 「雪靴」 連日、合わせを中心に生活が回っている感じです。とは言っても全然時間が足りない。深い作品というのはやる事なす事いっぱいあるものですね。いつも明日は何を合わせようかと決めて楽譜を持って行っていますが、まともに終わった試しがなく、いつもああこれだけで今日も終わっちゃったね〜と言いながら帰っています。 とも言っていられず、明日は本番。荷物を詰めながら、あれもやりこれもやり・・・という朝です。今日のお宿はいつもお世話になっているペンションぷれじ〜るさん。東京は春のように暖かくなるそうですが、山の上はきっと寒いはず。という事で厚手のセーターも入れましたし、雪靴も。去年はお庭にまるで一軒家のような大きな大きな大きなかまくらがありましたが、今年は?例年にないほどの豪雪と聞いているので怖いような気もしますが、でもかまくらと聞くとワクワクしてしまうのはなぜなのでしょうか。 実はペンションぷれじ〜るさんのご近所のゲレンデは、高校時代スキー合宿をしていたところなのです。今はどうか知りませんが、当時は体育の単位として全員参加で、私もご多分にもれず高校に入って初めてスキーをはきました。よく暴走して先生に危ながられたなぁと・・・今もリサイタル聴きにいらして下さると当時の話が出て、ちょっと恥ずかしいのですが。石橋たたいて壊す性格なのにスキーはそうでなかったというのが、自分でも不思議です。 夏にお邪魔する時は草がいっぱいのゲレンデをお散歩するのですが、冬のお散歩は行った事がありません。まぁゲレンデに行くとしたらスキーで滑りに行く時でしょうが、せっかく雪靴持って行くから時間があったらちょっと行ってみたいな・・・。 とか何とかやっている内に(この間メール打ったりお手紙書いたり校正したり探し物したりいろいろしていますが)、あとわずかで出発の時間。荷物作ります・・・。 2014年2月26日(水) 「寒肥」 あれよあれよという間に2月も終わりに近づき・・・オリンピックもついに終わってしまいました。かじりついて見る事はなかなか出来なかったのですが、それでも時差のおかげでライブだと夜〜明け方。つまり家にいられて、なおかつ夜型(超朝型?)生活のリズムに合っていたので、大事なところは結構見る事が出来ました。選手の皆さんの全力を尽くす姿には心打たれましたし、勇気を頂けるものですね。ありがとうという想いでいっぱいになりました。 という間にも1日1日と本番は迫ってくるもので・・・。2月後半は、いい成績を頂いた方のごほうびコンサートみたいなもの幾つかの伴奏も急遽入り、またそれが弾きにくい大変な曲が多く、あっぷあっぷしながら3月のデュオ・コンサートの準備を進めていました。いつもはこの時期に行っている最後の詰め、熊取合宿も今回は諸事情でリサイタルの間際の来週にする事になり、そんな訳でこれから長野の須坂でのコンサート、いったん帰って東京で本番、その翌日から熊取というへんちくりんなスケジュールとなります。 昨日あたりから少し暖かくなりました。そう言えば、今月初めの暖かかった時にしばらくぶりで花木たちに寒肥を施しました。これは、植物の成長が止まっている寒い冬の内に与える肥料の事です。物心ついた頃から家にある園芸書を勝手に読んでいろいろ植えて試していたような感じだったので、いつしかこの時期には空っ風の吹く中、寒〜い思いをしながらバラの剪定をしたり花木に寒肥を施すのが習慣になっていました。が、この2〜3年、慌ただしさに追われて出来なくなっていたのです。 特に何か変化があるとも思わなかったのですが、昨年ふと「そう言えばどの木も花つきがずっと悪い」という事に気付きました。あんなにいっぱい花をつけていてくれた椿や山吹までもが・・・。という訳で今年はたまたま暖かかった日、重い腰をあげて一鉢一鉢ずつ、枯れ枝を切ったり草取りをしたり寒肥を施したり、地道な作業を続けました。今年すぐに反映はしないかもしれないけれど、翌年から再び花がいっぱい咲く事をちょっと期待しながら。 ふと思ったのですが、自分の生活にもそれは言えるかもしれません。何もない落ち着いた時期、そういう時に体のメンテナンスをしたり地道な勉強をしたり・・・今は完全にそれが欠けているのではないかと。心が何にも惑わされずに落ち着かせられる時期というのも必要。そういう時の蓄積がいざという時にものを言うのは経験済みで、そんな時間が取れていない事の焦りがあります。と言っても与えられているこの状況の中で最善を尽くす事しか結局できない訳ですが。 しかしながら春は着実に近づいてきています。バラの芽も動きだしました。心なしか少し威勢がよさそうです。 さて、例年植えた端からカラスにほじくり返されていたチューリップの球根。今年は一計を案じて、植えた後に元の雑草ぼうぼう状態に細工して戻しておきました。それにすっかり騙されてくれたのか、今のところいたずらされずに良好です。今年こそ無事に咲いてほしい・・・。 2014年2月11日(火) 「雪雪雪」 無事秋田から帰ってまいりました。今日も千葉では雪がまたまた積もったそうで。 お陰様で羽後町のコンサートも無事に終わりました。雪の中、いらして下さった皆様、本当にありがとうございました。前回いらして頂く予定だったのに前日(前々日?)にインフルエンザと判明、来られなかった幻のゲスト、竹内くんが今回の特別ゲスト。いろいろとお話は聞いていたものの、竹内くんとは今回が初めて。なのになぜか昔から知っているような・・・。あぁそういえば!学生時代ってこうやってすぐ友達になってしまえたなぁと、昔のノリを思い出しました。 大曲駅に着いた時は大雪、新幹線のホームは雪で全面真っ白。今回は真っ赤なスーパーこまちに乗ってきましたが、雪に赤い色が映えます。駅前のホテルに移動するだけで鞄の中に雪が入り込み、ひっくり返して出す有り様でした。さすがにそんなに驚かなくなりましたが、皆さん開口一番「今年も豪雪で・・・」とおっしゃるほど。この日は少しゆっくりして翌日の本番に備えました。それにしても降る降る降る降る・・・。 次の日は車でお迎えにいらして頂き、羽後町まで1時間ほど車で移動。とにかく道も真っ白、都内だったら絶対に走れないような雪道を出来る限りの安全運転で進みます。夏だったらもっと早く着くのでしょう。見渡す限りの白い白い地平線、夏ならどんな風景か想像した事もない位、秋田と言えば白いが私の頭の中の代名詞になっているのですが、貼ってあったとあるポスターをみて納得。一面が緑の田んぼ、そう言えばこのあたりは平野でしたっけ。屋根の上に何十センチも積もる雪、道路わきのポールさえ隠してしまいそうなほどの積雪、こちらに向かって吹きつける吹雪、とにかく雪雪雪・・・。 羽後町に着いたらまずは名物冷やがけそばを、次にとあるお家にお邪魔させて頂いて郷土料理をご馳走になりました。寒い寒い空気の中を通ってきたからこそ、囲炉裏のあたたかさ、そして人の手のあたたかさから生み出されたお料理が心にしみわたります。素朴なのに力強く、しみじみとした味わいがあり、心から迎え入れて下さっているそのお心づかいを本当にありがたく思います。ハンゴロシという恐ろしい名前のあんこもち、ご飯の粒を完全に潰さないで粒の形を残しておくのでそういう名前なのだそうですが、秋田の美味しいお米の歯触りとと滑らかなあんこの組み合わせ、本当に美味しかったです。 おなかがいっぱいになったところでリハーサル。竹内くんと我々デュオ3人だけなので、譜めくりも自分たちで出来るよう工夫し、歌の伴奏は私たちがかわるがわる、時には普通の伴奏譜をみながら2人で即興で音を分けたり足したりしながら伴奏し・・・どのような段取りで進めてゆくか、どこで誰がしゃべるのか、どういう動線で動くのか、いろいろ考えながら決めて行きます。そして新しい試みも2つ。 1つは「みんなで歌おう」。竹内くんと原田さんがかつて一緒に客船でのお仕事でしていた事を採り入れ、発声練習をちょっとしてから「見上げてごらん夜の星を」を歌ったのでした。その時は降り番だった私も舞台の下に降りて一緒に歌いましたが、竹内くんは歌だけでなく指導も上手。親しみやすい指導の元、皆で気持ちよく声を出して会場も一段と和みました(もう1つは本プログラムの後に書きます)。 あれよあれよと開場時間が迫ってきたので追われるようにリハーサルを終え、あっという間に本番。まずピアノデュオでマ・メール・ロワ、そして特別ゲスト竹内くんの日本歌曲、「みんなで歌おう」、休憩の後にはピアノデュオでシューベルトのファンタジー、最後に竹内くんのイタリアものを。今回も音楽でいろいろな国をめぐりました。竹内くんの豪快な松島音頭も、タランテラの勢いのよいリズムに乗ってしゃべるロッシーニのダンツァ(踊り)も、全くタイプが違うのにお見事。シューベルトのファンタジーはこのプログラムに入れるには重いかなとちょっと心配していましたが、この曲を気に入って下さったみたいで嬉しく思いました。 先ほどの続き、新しい試み2つ目というのは・・・アンコールに演奏した秋田民謡「杓子売歌」。作曲家間宮芳生さんがピアノ伴奏付で楽譜にされているものがあるのですが、思いついたはいいもの、果たしてこれを秋田人の皆さんの前で演奏してよいものかどうか3人で悩みました。その楽譜、ピアノパートは五線譜で書かれているけれど、歌のパートは一線譜に上向きや下向きの矢印。音源を参考に秋田言葉をある程度予習、それでも心配で会館前のいつもお世話になっている方のお店を訪ねてご意見を伺い・・・結論から言って、精一杯の思いで演奏させて頂こうとなりました。 終演後、町の皆様と打ち上げ。さっきの杓子売歌、どうだったかな〜と不安いっぱいだったのですが、思いがけずも「この曲、今度コラボしよう」とお声をかけて頂き、とても嬉しくありがたく思いました。きりたんぽ鍋を囲みながら、いつしか向かいの方が笛を吹かれると、それにつられるように即席お囃子がはじまり、立ち上がって踊る方あらわれ、打ち上げの真っ最中という事も忘れて見入ってしまいました。誇りにできるもの、「ほんもの」があり、それを後世に伝えて行こうという使命を皆さんが強く感じていらっしゃるからこそ、どなたの表情も生き生きとしておられ、また熱っぽく西音馬内盆踊りや町の事を語られるのですね。素敵だと思います。 そう、びっくりした事がありました。終演後お客様を出口までお見送りした時の事。ある方に突然「昔ピアノのおけいこに出ていらした石田さんですよね?」と声をかけられました。当時の様子、弾いていた曲、事細かに覚えていらして本当にびっくりさせられました・・・あれから30ん年経つというのに。そしてたまたまた私が羽後町に呼んで頂き、その情報を知って聴きにいらして下さったという偶然。こういう事もあるのですね。音楽がつなぐ縁・・・またどこかでお会いできるといいなと思います。 さて、そんなこんなして夜遅く宿に戻り、ニュースをみると、都内に大雪?翌朝はニュースにくぎ付けでした。雪深い秋田に居て東京の(としての)豪雪を画面でみるのは変な感じですが、「都会は雪を捨てる場所がなくて大変だね」と言われて妙に納得。竹内くんは新幹線で足止めを食らい、大変だったそうです。雪靴のまま帰って来たのですが、それでちょうど良い位あちこちに雪が残っていて、一体どれだけ降ったのだろうと驚かされるばかり。雪かきをしましたが、今更ながら凍ってしまってはがすのが大変でした・・・。 思い出すままに一気に書きましたが、まだまだ書けぬほどいろいろな事を思い、考えた秋田での日々でした。羽後町の皆さんにはとても書き尽くせぬほどたくさんお世話になり、心より感謝しております。本当にありがとうございました。またいつか、杓子売歌を皆様とコラボしに伺える時があったらいいなと思っています。 夢中になって書いていて、チラシ作りのために6月リサイタルの曲目を検討する事を忘れていました。今から楽譜引っ張り出して弾破しなきゃ・・・。 2014年2月5日(水) 「駅長さん」 やーっと実技試験の伴奏も終わりました。伴奏とは言えども、こちらも学生さんと同じ気持ちになって一喜一憂するもの。何かにつけてお頼まれし、数年間(と言っても学内の事なので2〜4年)という時間の中で相手の性格や音楽もみえて来て、本番を積む中で信頼が築けてきた学生さんとは、積んできた時間の分凝縮された何かが演奏に刻まれます。そして今回初めての1年生は、合わせやおさらい会の都度見えて来ることがあり、それを元にどうにか本番につなげようとこちらもいろいろ考えながら弾いています。大抵の学生さん、試験本番が今までの中で一番いい、もしくは結構いいという演奏となり、1年間の成果をそれぞれが実感できているのではないかと思うのです。 ・・・なんて偉そうに言えるような立場ではありませんし、自分自身難しくて内心ヤダナと思っている曲の心配もあり、本当に一難去って又一難の日々でした。というところでホッとしたいのですが、ふと気付けば秋田公演は数日後!?原田さんはあと数人の試験を控えていますが、その合間を縫ってこちらの合わせが始まりました。昨日はゲストの竹内くんも交えて、あれやこれやと議論してプログラムを決めてみました。当日また変わったりして・・・いゃいゃ楽しみ。 それにしても一昨日の暑さといい、昨日の寒さといい、一体なんなんだ?先月末に目がかゆい日が続き、あれ?と思う間にのどの痛み、鼻水、耳のかゆみと全て症状が出揃いました。出足の早すぎる花粉の季節が到来、おまけに眩しさゆえに出る頭痛もひどくなり(春は眩しいものなり)、体調は乱高下。寒波の到来で、猛吹雪の秋田で体はついてゆけるのか、ちょっと心配。でもまたまた羽後町の皆様にお会い出来ると思うと本当に嬉しいです。あのすさまじい寒さと雪に反比例するほどの皆様のあたたかさとユーモア。きっと私たちの方が元気を頂く事になるのでしょう。 明後日7日の18時、秋田近辺にお住まいの方々、ぜひ素敵なテノールの歌声とピアノ・デュオを聴きに羽後町までいらして下さい。当日はひどい雪が降らない事を切に祈ります。以前「今日は雪がひどくて出られない」と何人もの方々に言われた年があり、本当にびっくりした時がありまして。 さて、いきなり話は変わりますが、熊取合宿の折に必ず会いに行く「駅長さん」がいます。まじめな合宿中の「唯二」のイベントの内の1つです。これに関して面白い動画があるのですが〜原田さんのブログ(すみません、お手数ですがトップページへ戻り、リンクのページに行き、そこから入って頂けますか?)、今年の1月5日(裏山のうらでは・・・)のところをぜひぜひご覧下さいませ。原田さんは後だしジャンケンのように後からこっそり過去の日付で書いているので、きっと見て下さる方は少ないと思うのです。でもあんな「貴重な」ものはぜひぜひどうしても見て頂きたいと思いまして〜今や全国区で有名になったネコの駅長さん。心がほっこりする事、請け合いです。 今日も花粉と眩しさと戦いながら合わせに行きます。あ、インフルエンザとノロと風邪にも気をつけなきゃ・・・。 |
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