ひとりごと(2014年10月分)

2014年10月15日(水)            「10周年!」

気付いたら今日は、なんとこのサイトが始まってちょうど10年!めでたいと思ってつい更新してしまいました。お陰様で無事10年も続けて来られました。随分遠い昔のような気もしますが、この10年の変化は結構大きかったかなと。皆様本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

いろいろ書きたい事もあるのですが、実はとても書けるような状況ではありませぬ。一昨日台風から逃げるように(?)帰京し、学校はお休みかどうか?とやきもきしながら始終天気予報をチェック。昨日は結局朝から抜けるような青空になったので、ランチタイムコンサートの最終合わせのために朝イチに学校に行き、終わるや否や夜までレッスンが続き、その後来週のリサイタルのための会場リハーサルでサルビアホールに向かい・・・フルに耳を使い倒した1日でした。もし台風が来ていたら、頼みの綱の最終合わせが消え、リサイタル当日も初めてのホールで不安だらけ・・・というところでした。最悪シナリオにならず、それだけでもホッと胸をなでおろした1日。

今日のランチタイムコンサートも、リハーサルは朝から。という訳で大して何も書けませんが、今日はこの辺で。もうちょっと練習したい・・・。



2014年10月6日(月)             「三善先生」

全く10月だというのにこの台風・・・ウチの真上、上空を通過していったようです。「トウキョウヲネラエ」という声が、台風が日本に来る度に聞こえる気がしますが、今回は本気で狙っていったな、全く・・・というところでしょうか。真夜中からニュースを注視、朝になっても注視、正午になるまで注視・・・大学の授業がどうなるかがかかっていた為ですが、結局1日休講となりました。台風は思いのほかスピード速く通り抜けていったので助かりましたが、今日のお休みのツケが今後どうなるかを考えると頭が痛いです。

それはさておき、昨日三善先生作品のコンサートも無事に終わりました。お話を頂いた時はとてもありがたく思い、合わせをしている時期は責任が重くのしかかってきて少しプレッシャーを感じ、でも昨日はとても幸せに演奏させて頂く事が出来ました。チケットはお陰様で早期完売、そのためか当日のゲネプロは公開となり、ホール後方に一般のお客様が聴いていらっしゃる状態でした。ゲネプロでは結局私たちは通したので、実質2回本番のようなもの。たくさんの方々のご来場、本当にありがとうございました。また、たくさんのスタッフさんが細やかに動いて下さっていましたし、思いがけずも以前にお世話になった調律師さんが当日調律して下さっていました。心強く本番を迎える事ができました事を感謝しております。

今回声をかけて頂き、一緒に演奏して下さったのは中村めぐみさん。大学の同期であり、今洗足でも同僚というご縁ですが、実は演奏でご一緒するのは洗足に来てからの事。何だか不思議な感じですが、同じところで同じ空気を吸って学生時代を過ごしたというのは大きいという事でしょうか。でもそれだけではなく、学生さんのレッスンに伴奏でついて行っても考え方の根っこが似ているように思います。音楽とご自身にまっすぐに向かわれる素晴らしいクラリネット奏者さんです。

「螺旋状の視界」というタイトル、楽譜から読みとれる事・・・どう演奏すればよいのか考えるのが本当に難しかったです。でもなぜか本番は幸せな気分で終わる事ができました。演奏させて頂けた事が幸せだったというか何と言うか。そう言えば当日の朝、不思議な夢を見ました。本番前にゲネプロで3度演奏し、1回毎にどうしよう?こうしよう?と試行錯誤している夢。そこに三善先生いらしてはいなかった気がしますが、ゲネプロでは「あれ?これって今朝みた夢と同じ?」と思いながら弾いていたのです。

本番は満席で聴きたくても聴けないのをわかっていたので、ゲネプロは客席でずっと聴いていました。自分も演奏するのを忘れる位没頭してしまい、ゲネプロ終わって我に返るのに必死でしたが。没頭した理由、高校、大学の合唱の授業で三善先生の作品を幾つか歌わせて頂いた記憶がよみがえってきたからでした。先生は本当にたくさんの合唱曲を書いていらしたのですね。その数からすれば歌わせて頂いた曲はほんのほんの少しで、その知っている範囲でしか言えないのですが、選ばれた詩(歌詞)、そして一体となったハーモニーがいつも胸に突き刺さるような気がしたのを覚えています。真実をつきつけられるような厳しさがあり、でも実はその後ろに深い愛にみちた眼差しがあり・・・「厳しくて、でもあたたかい」。そういう印象です。

でもそのずっとずっと前、子供時代に先生にお目にかかった事があるのです。今は亡き師匠、井上直幸先生の「ピアノのおけいこ」に出演させて頂いていた時のこと。テキストの中に三善先生の「魔法使いがお菓子をくれる」が載っており、楽譜の見た目は「初めて現代音楽に出会った」くらいのインパクトがありました。結局それを弾かせて頂ける事になったのですが、不思議な響きのする曲だなぁと。でも何を練習すればいいの?と思った記憶がないのは、既に(放送での)レッスンで「ピアノを弾く事は表現する事」と何となく感じていたかと・・・。そして更に驚いたのですが、なんと番組に三善先生をお呼び下さったのです。

作曲された方の前で弾かせて頂くなんて、もちろん初めてです。なんとなく緊張してその日を迎えたのですが、三善先生はとても優しく話しかけて下さいました。番組中で「最後に何か質問はないですか?」と尋ねられ(もちろん台本にはないので)、とっさに考えて「音符からのびているタイの先に音符がないのはなぜですか?」と尋ねたのを覚えています。記憶が不確かですが、「響きが空中にのびて消えて行くような感じ」というようなお答えだったと思います。子供の時分、三善先生がこんな素晴らしい作曲家でいらっしゃるのは正直全く知らなくて、恐れ多くもすごい経験をさせて頂いたものだと、今思います。

これには後日談があり・・・その時のお礼のお手紙を送らせて頂きましたら、しばらくして何と!直筆のお手紙が届いたのでした。大切にアルバムに貼ってあります。特徴ある先生の筆跡を懐かしく思い出しますが、気のせいか、師匠の井上先生とどことなく筆跡が似ていらっしゃるような・・・?


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