ひとりごと(2013年12月分) |
2013年12月31日(火) 「静かなるお祭り騒ぎ」 今年最後の日、ちょっと振り返ってみます。 「静かなるお祭り騒ぎ」とも言うべき、シルバーマウンテン(銀のタマゴ)での3ヶ月に渡る300余公演も無事に終わりました。あまりにもその印象が強すぎて8月までの日々を思い出せない位、私にとっては大きな出来事でした。元々学内のコンサートはとにかく多いのですが、その上新たに3か所の舞台が設けられ、毎日3か所同時公演とは・・・。 やはりコンサートというのは非日常、気分は高揚するものです。学校に行くと正門入って銀のタマゴの前を通るのですが、そこに既に「本日の公演」の掲示が出ていて、あぁ今日は○○先生が演奏されるのだな〜とか、こんな目玉公演聴きに行くっきゃないのに行けないなんて〜とか、何かしら思う事があり、それと同時にその日これからの予定を頭に思い浮かべ、レッスン室に向かっていました。昼間通りかかれば何がしかの人の気配があり、リハーサル中かな?と思い、夕方通りかかれば人の波でそろそろ開演か〜と思い、夜帰る時に通りかかれば終演後の後片付け中で今日はどうだったかな?と思い・・・そんな風にまるで毎日当たり前にそこにコンサートがあるかのように錯覚していました。 それはとても幸せな事だと、恵まれた事だと思います。昔から実技試験でもコンクールでも、時間が許す限り人の演奏を全部聴いていた者からすれば、本当に全公演制覇したい位魅力的な企画でした。全く普段通りのレッスンと授業があり、そこに自分の合わせと練習と本番が入る中、それでも出来る限り足を運びました。もちろん合わせなどの予定により、どうにも行く事が出来なかったコンサートもありましたが、普段学校でお目にかかり、ご挨拶する事しかできなかった方が、こんな音楽をされるのかと驚き、そして演奏を通じてどんな方なのかが垣間見えてきたりしました。演奏はもちろんの事、コンサートの進め方や配られるプログラム、トーク、衣装など、全てからその方がどんな風に生きていらっしゃるのかが見えてきたような気がします。演奏はその人の全てなり。 正直、出演させて頂く方としては大変でした。夏頃急に持ち上がった企画だったので、秋の予定が大幅に変わってしまったのはもちろんの事(当初は久しぶりにゆっくり勉強したり体を休めたりするつもりだったので)、練習も合わせも間に合わせるのに必死。それでもこの企画でなければできない事は多々あり、やはり機会を頂けてとにかくありがたかったと思えます。 そして演奏部のスタッフの皆様をはじめ、たくさんの方々のお力あって出来た事だとつくづく思います。こんな壮大な企画、本当に大丈夫なのかと、演奏部の方々はダウンされないかと、当初は本当に心配になりました。私たちのピアノ・デュオは開幕6日目、まだ何がどうなるかわからない状況だったので、毎日のようにご相談しに行っていた感じでした。楽器や客席のセッティング、フォルテピアノをどこにどのようにいつ運びこめばいいか、などなどなどなど、思い出せない位たくさん、いつも質問攻めにしてしまって申し訳なく思っていましたが、一つ一つ丁寧に考えて下さりました。また演奏会当日も担当スタッフさんがいつもきめ細かに対応して下さる事に、本当に助けられました。スタッフさんもカメラさんにも実はたくさん在学生や卒業生が手伝って下さっていましたが、普段見掛ける時とは別人の大人な対応に嬉しく思い、また母校でこんな壮大な企画があってそれに関われて、演奏を通じてその人の生き方に接する事のできる状況をうらやましく思いました。皆意識しているかどうか分かりませんが、今後の人生において貴重な財産となるはず・・・。 数日前学校へ行った折、あかりの灯っていない銀のタマゴを初めて見ました。人けがないそのたたずまいに、あぁ静かなるお祭り騒ぎも終わってしまったんだなと、ちょっと寂しくなりました。そして日夜休みなく奏で続けたピアノたち、さぞ疲れた事と思います。しばしゆっくり休んでほしい・・・。 先ほど、SDカードがいっぱいになってしまっていたカメラのデータを整理していました。もちろんコンサートの時の写真は無いので、それ以外の事でデータはいっぱいになっていた訳ですが、それを見て改めてこんなにいろいろな出来事があったっけ?と思いだす位、銀のタマゴの印象に消されていた感じです。今年後半もいろいろなところに出掛けていました。過ごしている時はとにかく毎日必死だったけれど、振り返ってみればめちゃくちゃ充実していた日々だったのですね(殆どひとごとか・・・?)。 本当は、まだ書けていなかった管楽5重奏との共演、そしてちょっとしか書けていなかった荒牧さんリサイタルと自分のリサイタルについて、少し振り返るつもりでしたが、結局書けなかった〜。1月は例年通り怒涛の日々なので、年越してから書けるかどうか自信がありません。それはともかくと、今年もこの気まぐれひとりごとにお付き合い下さり、本当にありがとうございました。月4回と自分で定めたノルマをこなすのがどんどん大変になってきていますが、自分の考えや気持ちを整理する機会だと捉え、少しずつでも書き続けていきたいと思っています。来年もどうぞよろしくお願い致します。 来たる年が皆様にとってすばらしき1年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。良いお年を・・・。 2013年12月30日(月) 「人の輪」 やっと仕事納め。 秋になってからは1日も気が休まる夜がないまま、突っ走ってきました。そしてついに(?)訪れた、翌朝までにしなければならない事が無い=翌日の心配を何もせずに寝られる生活。という訳でメチャクチャな夜型、いや、極端な朝型と言うべきか、そんな生活を元に戻すチャンスがやってきました。 子供さん達のクリスマスコンサート、とても充実した内容でした。本来の目的であるお手伝いは大してお役に立てず申し訳なかったのですが〜。皆それぞれピアノ、電子オルガン、即興、ボディーパーカッション、弦楽アンサンブル、合唱、など幾つもの出番があり、それはつまり幾つもの楽器(表現方法)を持っているという事です。初めてお手伝いさせて頂いた時は本当にそれに驚かされたのですが、今となってはそれが皆にとってごく自然なことであるのも分かり、むしろそれが当たり前の事のように思えてくるのが不思議です(自分の事は棚に上げて・・・)。 いつも聴かせて頂くにあたって、音楽って素敵だなと改めて強く思わせて頂けるのが嬉しい事です。生徒さんは小学校入学前の小さなお子さんから大学生、更に大人まで。生徒さんのお母様方、ホールのスタッフさんも一緒に、皆で1つの舞台作品を創り上げてゆく、そんな感覚でリハーサルは進みます。本番では何がしかの不思議な力が働き、リハーサル以上の音楽が生まれます。皆で力を合わせたらできない事はない、そう強く思えるような経験を毎年している子供さん達、本当に幸せだと思います。その場に居合わせた人々皆で音楽を共有し、音楽を通じて人の輪がどんどん広がってゆく。音楽は人と人をつなぐもの、そういうものだと思っているのですが、それを間近で見せて聴かせて頂けた事で、こちらも元気になって戻ってきました。 コンサートの前夜はクリスマス・イブ。すごいバタバタ状態の中、ご近所の教会のクリスマスの礼拝に行き、ろうそくの灯る中、心を鎮めてお祈りする時間が持てました。世の中で悲しい事や辛い事もたくさん起きた1年でしたが、皆の上に等しく幸せが来る事を祈ります・・・。 と言っている内に新年が迫ってまいりました。仕事を納めても、やはり家の中の事で追われております・・・。 2013年12月23日(月) 「ロス」 世の中は3連休だそうで・・・ニュースを見ていて初めて気付きました。 先週の荒牧さんの公演、名残惜しくも終わってしまいました・・・。いやはやとても楽しいコンサートとなりました。3人とも学生時代、微妙に重なりつつ同じ大学で過ごしていたはずなのに、初めて出会ったのは洗足(荒牧さんと私は数年前でしたが)。3人の合わせはスケジュールの制約もあってそんなに出来なかったのですが、終わってみればすっかり打ち解けていました。また一緒に演奏できる機会が訪れればいいなと、そんな想いでいっぱいです。このコンサートについても書きたい事はたくさんあるのですが・・・今月中に書けるかな? 終わってからの1週間、少し楽になるはずだったのですが、小さな、しかし曲数の多い本番が3つある事を忘れていました。別に本番が大きくても小さくても、相手がどなたであっても、大切な事には何ら変わりは無いのですが、さらい、合わせをし、録音を聴き返し、音源を聴き、調べ物をし・・・要するに「勉強」したら全然時間が足りませんでした。その上、一連の銀のタマゴコンサートが終わったらどっと疲れが出て、初めてあぁやっぱり無理していたんだなと気付かされたという・・・その疲れがやっと少しずつ取れてきたところです。 現在受験生の冬期講習の真っ最中ですが、終わったらその足で関西へ向かいます。コンサートのお手伝い、クリスマスを子供さん達と音楽と共にお祝いします。出掛ける前に何としてでもやってしまわなければならない事が多々あり、それに目下取り組み中。どこかに出かける前日は必ずこうなるのです。必死でやっている内に朝になり、移動中は寝倒す事でバランスを取っているのですが、期限を設けると途端にやる気になるらしいこの性格、もう少し何とかしたい・・・。 さて、コンサートのページにデュオの情報4件載せました。確定していないものもありますが、そろそろ新たな段階に入ります。あちこちで弾いてきたものを東京公演でまとめるという風に当初はイメージしていたのですが、結果的にはほぼ真逆で、東京公演のために春休みに頑張ってつくったレパートリーをあちこちで聴いて頂くという方式におさまっています。やはりまとまった期間とまとまった時間がないと長いプログラムを創り上げるのは難しい、というのが実情。集中してやっていると新たなアイデアが芋づる式に浮かぶということもありますが、最大のメリットは前の練習や合わせでやった事を忘れてしまって、再度思い出すところから始めると言う、そんな時間のロスがない事でしょうか。 ちなみにチラシを作ったのは荒牧さんのコンサート当日。2台あるピアノのどちらを使うか、調律師さんに相談しに朝9時に行ったものの、調律が終わるまでに2時間居場所もなく(日曜なので学校は閉まっているところだらけ)、楽屋で原田さんと2人あーでもこーでもと言いながら作っていたのです。これをロスのない時間の使い方と言うべきか、コンサート当日はそれだけに集中せよと言うべきか・・・?でも間に合わなかったので仕方がないでしょう。 ・・・なんて書いていると、日常生活でいろいろな事に手をつけている内に本来の目的を忘れている事がいかに多いか、ギクッとします。そもそも今も、今日持って行く荷物をまとめようとしている内に、つくらなければいけない書類があるのを思い出して数日ぶりにパソコンの電源を入れ、ふと「あ、ひとりごと滞っている」と思い出して書き始め、はっとして別のやるべき事を思いつき、寒いなと思ったら朝になっている・・・。 という訳で久しぶりの大移動。しばらく途切れていたので楽しみ・・・。 2013年12月15日(日) 「日本歌曲」 すみません、全然更新できなくて。 荒牧小百合さんのリサイタルもいよいよ今日です。この間の木管5重奏+ピアノの公演が終わってから12日(何も書けなかった・・・)、とは決して思えないほどぎゅぅっと詰まった日々でした。普通にレッスンと授業がある中、試験の審査もし、伴奏もあり、荒牧さんの合わせもいよいよ大詰め、そして3月のピアノ・デュオの定期公演の曲決めのためにいろいろ調べ物をし、弾破し(意味は推して知るべし・・・)、正に今チラシ作成中!という訳で、クリスマスの飾りつけも、秋にするべきだった球根の植え付けもまだ、という師走です。 秋から続いたシルバーマウンテンの公演、計5公演に関わらせて頂いた訳ですが、とてもありがたい企画であり、そして非常にもったいないとも思うのです。どれもこれも1つに絞ってじっくり時間をかけたい位の充実したプログラム、今日の公演も日本歌曲にシューベルトの歌曲、クラリネットとの室内楽と本当に盛り沢山。 前から思っていましたが、つくづく日本歌曲って面白い。なんというか、西洋の作曲家と比較して曲の作り方や音の並べ方が全然異なり、それは日本語に合わせて音楽をつけた結果なのかどうか?そして作曲家のお一人お一人にまた強い個性があり、言葉と音楽のコラボレーションの歌曲って本当に面白いと、弾きながらいつも感心してしまうのです。 ピアノを弾く時には最も近いところに居るドイツ物の作曲家。しかし歌曲はやはりドイツ語の壁というものがあって、近づきたいのに近づけないような存在でした。でも今年から声楽科のドイツ歌曲の授業にピアノで関わらせて頂くようになって、今まで見えなかった事がたくさん見えてきました。昔、よくレッスンでドイツ音楽とドイツ語の関連について言われていましたが、今やっとその意味がわかるようになりました。そして言葉が伴った音楽には、言葉が持つ意味も含めての表現が必要になる。考えた時間に比例して理解も深まるからこそ、もっともっと時間をかけたいのに今日で終わってしまうのかと、今から残念な気がしてきます。 時間がないので書きたい事の10分の1も書けていないのですが〜本日当日券も出る予定です。言葉の意味をかみしめながら聴ける日本歌曲、そしてお馴染みのシューベルトの歌曲、そしてクラリネットをお迎えしての名曲「岩の上の羊飼い」、お時間ありましたらぜひ聴きにいらして下さい。 急に寒くなりましたが、皆様も体調にはお気をつけて・・・。 |
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