ひとりごと(2011年8月分)

2011年8月31日(水)             「共有」

昨日、続きはまた明日に・・・と書いたものの、時間が全然ないので詳しい事はまたに。今までになく切羽詰まっている夏の終わり(月末?)です・・・。

音へのこだわりについて昨日書きましたが、連弾に取り組むようになって、今まで以上にどういう音を選ぶかが気になるようになりました。88鍵のピアノを2人の20本の指で演奏するからこそ、1人で受け持つ音の数はソロ曲より圧倒的に少なくなります。それは「弾くのが簡単になる」のを意味するようですが、でも違う!と思っています。

ソロのようにピアノのど真ん中に座って弾くとの、連弾をイメージして右か左の方にちょっと寄って座るのでは、弾き具合がかなり違います。また腕が隣とぶつかるのは日常茶飯事、お互いの指を指で踏みつけないようにするためには、手の配分を変える事もあります。ペダルの有無でも違ってきます。その中でたった一つの音をどういう音量で、音色で、長さで弾くか、メロディを魅力的に弾くために、和音を綺麗に響かせるために、常に考えます。ソロでももちろん考えている事だけれど、それを2人で共有する事こそが連弾の醍醐味ではないかと。

そんな風に時間がかかる事だから、その過程を丸ごと楽しめる相手とないと続かない。原田さんとはそのイメージをあぁでもこうでもないと議論出来ます。原曲のスコア(例えばオケ曲の連弾編曲だったら)を見ながらこの楽器だったらこんな弾き方?とか、この時代の音楽なら?とか、話している時間も多いです。作曲家とピアニストという事で、お互い持ち寄れるものがあるのも大きいかもしれません。新鮮な発見、驚きの連続です。

気付けば後10日!早い・・・。



2011年8月30日(火)             「授業再開」

あっという間に夏休みも終わり、高校の方では授業が再開しました。このところすっきりしないお天気が続いていたのが嘘のように、青空が澄んでいて美しかった。なんでもう夏休み終わりかな〜と思いつつ、空を見上げながら高校の校舎へ向かうと、元気な声が響いてきます。あぁそうだ、高校生に立ち向かう(?)にはこっちも元気でないと無理だったっけ、なんて久しぶりに思い出しました。

今日は休み明けなので、全員合同の楽語の小テスト。小テストとはいうものの、ただの丸暗記ではできない意地悪問題(?)。こちらも頭をひねり、数冊の楽典の本、イタリアと日本の方の共著の楽語についての解説書を読み比べ、はてはイタリア語辞書で全部ひいていくつもの意味を書き出し・・・とりかかってみれば実に面白くて、こちらがのめり込んでしまいました。楽典の本にはたった一つしか意味が書かれていないけれど、生きたイタリア語としたらこんな意味があるとか、語源はあんな言葉にあるのか、とか。授業の後半には答え合わせを兼ねて、実際自分が調べた事や面白いと思った事を話し、皆でディスカッションしていたら、瞬く間に時間が無くなりました・・・。

振り返ってみれば、高山の講習、管打楽器コンクールと続いたこの2週間、本当にハードで濃い時間を過ごしていました。こんなに濃縮された期間を過ごした事って今まであったかどうか、と思うほど。暑い熱い夏でした。

今週はまた別のコンクールやコンサートでの学生さんの伴奏があり、学内で先生が研究発表なさる場で打楽器の先生と共演させて頂く場もあります。これは以前に演奏した曲の再演で、今日久々に合わせがありました。同じ曲でも楽器やマレット(バチ)の選び方、楽器の配置が少し変わり、そしたら曲のニュアンスもかなり変わってきました。1つ1つこだわって音色を選ぶ事と、タッチを変えながら絵筆をキャンバスに置く事、なぜだか同時に頭に浮かびました。目指すところは何にしても同じなのかも。

大阪での連弾の練習も佳境です。ちょっとした時間をみつけては合わせるようにしています。これについて書ける事もたくさんあるのに・・・と、いつも合わせをしながら思うのですが、ピアノの前を離れると忘れてしまう。昨年の大阪クラシックでデビューしてちょうど1年になりますが、まだ1年?と思うほどこちらもぎゅっと濃縮した時間でした。連弾だと、ソロの時に決して選ばないような元気な曲も弾けてしまうが不思議なのですが、それは原田さんあっての事でしょう。

中途半端ですが、続きはまた明日に・・・。



2011年8月17日(水)             「羨望の眼差し」

合宿のお手伝いがまるで一昨日先一昨日ぐらいに感じるのに、あれから既に1週間が経っています。その間一体何をやっていたんだか・・・と思って手帳を開かないと思い出せない位、日付と曜日の感覚があやしい今日この頃(・・・って開いてみる)。

明日から例年お手伝いの高山の講習会に行き、帰ってすぐの1週間はコンクールの伴奏。これでふぅっと息がつけるかと思いきや、8月が終わりきる前から高校が始まり、9月も早速1日から大学が始まり・・・。こう考えたら、「休んでないのにもう始まっちゃう」と思っていきなりエンジンがかかりました。楽譜や手帳、資料の整理を始めたらすごい事になって、とても明日の出発まで終わりそうもない。かといって持って行く訳にもいかず・・・多分明日は徹夜、よって行きのバスの中で爆睡の予定。お手紙やメールを頂きっぱなしの方に(試演会の感想を書いてくれた学生さんにも)お返事を、と思っているのですが、文章は心が落ち着く時間がちゃんと取れないと書けないらしい。自分の今の心の状態を表しているようで、ちょっぴり自己嫌悪です。

先週は、緑いっぱいの環境の中で小学生〜大学生までの合宿のお手伝い(というほどの事はあまりしていませんが)。その中で時間を作って頂いて連弾をちょこっとお披露目、急遽あちらに着いてから合わせた室内楽も弾かせて頂きました。その合宿に参加している子供さん学生さんをみていて考えた事。音楽はみんなのもの。そして人生を豊かにしてくれるもの。皆、いくつもの楽器を巧みに演奏するのです。ピアノしか弾けない私は羨望の眼差しで見てしまうのですが、「何の楽器を演奏するか」の前に「何を伝えたいのか」、そちらの方が大事という事に気付かされた気がします。音大や音高で学ぶとなれば当然テクニックや表現をとことん突き詰めるために練習するのですが、「何を伝えたいか」、「何のために弾くのか」が置き去りにされたままの演奏もたまに耳にします。皆がのびのびと、時に真剣に音楽に接している姿を見て、この感性を大切に、大人への道を一歩一歩進んで行ってほしいと願いました。

もうひとつ何か楽器が出来るなら、一体何を選ぶだろう?大人になったらいろいろな楽器の奏でる「音色」への興味が膨らみ、今は何でもやってみたいと思います。なら、生まれ変わったら何を選ぶか?自らの体を楽器に声楽をと思った時もあったし、ヴァイオリンと思った時もかつてありました。でも今は・・・生まれ変わってもやっぱりピアノを選びます・・・。




2011年8月8日(月)              「セミの練習」

学校の仕事が一段落したと思えばお盆も近い。という事は、終わったと思いきや学校が始まる日も近い・・・?暑いのは割に平気なはずなのにこの数日、異常に汗をかくと思ったら気温が高くなっていた。そんな事も気付かないまま8月が始まっています。

種から育てた朝顔もやっと花をつけるようになりました。しかしハーブは不作で、バジリコがいつになっても大きくならない。この調子だと昨年同様今年もジェノベーゼ・ソースが作れないかも?例年大発生して困るバッタが今年はなぜかいない代わりに、家では見た事のないサイズのカタツムリをこの数日、幾つも見つけました。セミも今年は遅いなと思っていたら、一昨日位から出現。ある朝の事、明け方に突如ミンミンゼミが鳴き出しました。羽化したばかりと見え、不器用な鳴き方ながら繰り返し繰り返し、間髪いれずにミンミンミンミンと鳴いています。まだ暗いのにやかましいなと思いつつ聞いていると、声もだんだん美しく響き渡るようになり、朝には長く鳴けるようになって来ました。あぁやってけなげに練習するものなんですね。

ずっと気になっていた教員免許更新講習もついに行ってまいりました。最寄り駅に着くまでに、既に車内からあぁあの人もあの人もだな、と分かるほど先生(を職に持つ人)ってすぐ分かる。これには感心しつつ、でも自分の場合はそう見えないだろうな・・・。朝から夕方までびっしり6時間計2日間、座ったまま。今回のは全員必修の科目だったので、小学校から高校までの専任や非常勤、いろいろな方が大講義室で一緒に講義を受けていました。途中周りの方々と相談しながら答えを出す問題がありましたが、私の周りは公立小中学校の教諭の方々。話していてすっかり圧倒され、改めて「先生」は尊く、しかし厳しい大変なお仕事だと実感。こうやっていると授業を受ける生徒の気持ちがわかるような気がします。真面目に話を聞いていてもなぜだか机の上で指が動く(?)けれど、私自身学校でこの頃よく遭遇する事柄についての講義もあり・・・深く考えさせられました。それにしても、普段と全く違う空気の中で過ごせた貴重な2日間となりました。

今やっと、少しだけ落ち着いてものを考えられるようになった気がするけれど、でも全然時間が足りない。今年はなかなかできないけれど、夏休みと春休みには雑用や手紙書き、練習、今後の計画を立てる、ぼぉっとする事のために時間が取れ、息を吹き返していた気がするのです。結局そこでしていたのは「考える事」。そう言えば最近は、全てをやりきるまでがむしゃらに動く事もできなくなり、脳味噌も感性も自然にストップしていたなと気付かされました。そこまで頑張らなくてもいいのに、と以前からよく言われていましたが、その意味がやっとわかった気がします・・・。

今日からは緑がいっぱいのところで、とある合宿のお手伝い。そして空き時間をフル活用して連弾の合わせ。相変わらず目いっぱいのスケジュールですが、音楽大好き人間のお集まりの中で何かを見つけて来られそうな気がしています。

おや、ミンミンゼミの朝鳴きが始まったようです。さて、速攻で荷物詰めなきゃ・・・。


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