ひとりごと(2006年1月分)

2006年1月31日(火)       「気持ち」

先週は怒涛のような毎日でした・・・。更に大変なのは昨日今日なのですが、今週はまだ休める日もあるのです。1月は例年こんな感じだけど、気付けば明日から2月。昨日はポカポカ陽気で、気持ちの上では「もう春!」。

全く家に居られなかった1週間。過ぎ去ってから手帳を見るとぎょっとするけれど、実際に過ごしている時は大変だなんて意外にも考えていないものです。メモっておけば済むような事柄は端から忘れるようにしているので(その代わりメモ魔に徹しています)、夜に手帳を開いて翌日のスケジュールを確認する時に「明日は試験だっけ」とか「あ、明日の授業で使う楽譜、今から探さなきゃ」と思う事はあっても、「今日も疲れた〜」なんて事はすっかり忘れています。だからこそ毎朝「今日も始まった・・・」と思いながら通勤電車に乗れる訳で、人間の気持ちって都合のいいように体を操るものなんだなぁと思う事しきり。

こんな事をここで書いてしまうと絶対にひきそうで嫌なのだけど、何とか風邪とはご縁がないまま済んでいます。でも疲れが相当たまっていたのか食欲が全然わかず、そうなれば料理しようという気もどうしても起きないもの。また眩しさから猛烈な頭痛が起こって目が開けられなくなり、部屋を薄暗くしてなるべく目を閉じたまま過ごした晩もありました。きっかけは大雪だったのかもしれないけれど、もしかして?気付けばいつの間にか日暮れも遅くなり、朝歩いている時に目に飛び込んでくる光もしっかり強さが増している。なぁんだ、そういう訳なのか、と納得。しかしそれでもこのパソコンの液晶(フィルターを使っているけど)も、机の上に広げた書類もやっぱり眩しい。気持ちは元気でも体は正直です。

試験では何回か採点する立場だったり、逆に伴奏する立場だったり、またレッスンでも「する」側だったり、伴奏する側だったり・・・そんな風に先週は何だか落ち着かない感じでした。他には、コンサートで帰国していた田山くんと合わせを1回。よく考えてみれば合わせるのも2年前のコンサート以来だけど、不思議なもので合うべきところは初めてでもピタッと合う。学校から早く帰れた日はいろいろ打ち合わせもあり、そんなこんなの1週間でした。

日曜は全くピアノを触らず・・・というか触れなかったというのが正直なところ。音を聴くには神経が限界でした。日常的に済ませておくべき雑用を1週間分こなすだけでも(新聞を1週間分まとめて読むとか・・・あまり意味がない?)、あっという間に時間が経ってしまいます。

変わったところでは、ツルバラの植え替えをしました。亡くなった祖母が大切に育てていた赤いツルバラで、昔の火鉢のような直径60cmくらいのどっしりしたレトロな鉢に植えられています。2年前までは5月に真っ赤な花をたくさん咲かせてくれていたのですが、いつの間にか別の木がそこに育ち始めてバラの方が陰が薄くなって、あまり花をつけなくなってしまいました。このまま放っておいたら大切なバラが枯れてしまうとずっと気になっていたのですが、暖かかったので一念発起して(時期外れだけど)植え替えることにしたのです。バラ数株と別の木との太い根っこが地中でからみあって、こりゃ鉢を割らなければ無理かな?と半分諦めかけましたが、何とかかんとか掘り出すことに成功。バラは元の火鉢に植え直し、木は別の鉢へ。根っこを随分切ってしまったのでバラがまた根付いてくれるか心配ですが、多分祖母が助けてくれる事でしょう。しかしあれだけの重さの火鉢を動かし根っこを掘り起こした事で、実はひどい筋肉痛。最近は傷の治りが遅いのでついに軍手を使うようにしましたが、お陰で棘にも引っかかれず手は無傷です。

昨日も今日も試験です。昨日は朝一の学生さんと夜の最後二人の学生さんの伴奏。その間ずーっと空いていたので、レッスンをし、合わせをし、それでも時間が余ったので久々に自分のソロ曲をさらっていました。

今のような生活をしていると、「何か歯車が狂い始めてきた」と思う瞬間があります。慌しさに紛れてすぐ忘れてしまうけれど、それは自分の気持ちを表現する何かが全くないからだと、ピアノを弾いていて思い当たりました。今一番したいのは何?と考えれば真っ先に出てくる事、それは時間に追われず雑念からも解放されて一人で気の向くままにピアノを弾く事。沢山ある手段の中でそれが一番自分の気持ちを正直に表せる事だと、やっと今自信を持って言えるようになりました。

中学生の時分、クラスメートが「嬉しい時も悲しい時もピアノに向かう」と言っているのを聞いて、「そんな風に思えない自分が音楽高校に行っていいのかな?」なんて思ったのも、遠い遠い昔の話になりました。音楽は好き嫌いを超えて必要不可欠な存在ではあったけれど、練習は当時嫌いだったので。でも「練習は嫌いで遊びで弾くのは好き」と分けているのも何かおかしい。やはり昔は、音楽が気持ちを表現する手段になっていなかったのでしょう。ここから今に至るまでの長い過程があるのですが、それを結局まとめられずに昨日更新を諦めた経緯があるので、今日は省略。

今日は更に朝が早い。昨日は21時まで学校に居たのに、今日は8時に行きます。高校の授業と試験の伴奏です。授業の前に合わせをし、授業が終わったら3人試験の伴奏をし、お昼休み直後に2人、そこでちゃちゃっとお昼を済ませて午後の2人。それが終わったら別の合わせ。時間が読めないので、気が気でない1日となりそうです。

話変わって、「コンサート情報」に6月のリサイタルのプログラムと7月の室内楽の情報を載せました。室内楽の方は、お頼まれした段階で既にチケットが完売しているという事でした・・・ごめんなさい。今年もまた何かとシューベルトにご縁のありそうな予感。「鱒」は高校時代に演奏した思い出の曲です。私たちの学年にはコントラバスの友人もいて(高校でのコントラバス専攻の人は珍しかった)メンバーが揃ったというのもあり、生徒の自主運営の室内楽コンサートで演奏しました。もう何年も、もしかしたら10数年会っていないメンバーの顔が思い浮かび、わいわいと合わせをしていたのを懐かしく思い出します。今なら、どんな事を考えどんな風に演奏するのだろう?と楽しみです。ソロのプログラム、ここ数年はドイツもので攻めていたので、意表を突いてフランスものとロシアものも入れてみました。これについては改めて別の回で、詳しく書かせて頂こうと思っています。

更新できたものの、これで今日遅刻したら元も子もない・・・。




2006年1月22日(日)       「雪」

ついに東京にも雪が降りました。しかしセンター試験には雪はつきものなのでしょうか?毎年ではないと思うけど、センター試験というと反射的に「今年は大丈夫かな?」と思ってしまう。受験生の皆さん、雪にも負けず頑張って下さい!

これだけ都心に積もったのも数年ぶりだそうですね。家にはなぜか、スキー場などで良く見かけるプラスチック製の雪かきがあります。柄は2m位の長さ、その先はかなり深めのカラフルなちり取り風、しかしざるのように穴が空いています。これが家に来てからは一度も大雪になっていないので、使ったのは初めて!思いのほかとても使いやすくてびっくりしました。普通の鉄製スコップを使っていた時は時間がかかるし、何しろ重いので腰や背中が痛くなり、雪かきというと非常に億劫な気分になったものでした。しかしこの巨大ちり取りはとにかく軽くてサクサクと雪がすくえて、あっという間に終わりました。とは言え、今回の降り方はあなどれない。あっという間にまた積もる・・・。

この大雪の中、昨日も仕事に出かけました。土曜で幾分人通りが少ないせいか、まるで新雪の上を歩いているような感じ。いつもは歩きやすい誰かの足跡の上をたどるのに、それが出来ないほど降りが激しいという事なのでしょう。スキーもずっとご無沙汰。リフトの上で冷たい風に吹かれて白い世界を眺めながら、ぼぉっと考え事できる時間が好きだった事を、久し振りに思い出しました。そんな時のあの雪の降り方、何だか似ている・・・。

そういえば、朝カーテンを開けて「うひゃ、真っ白!」と思った時から目が痛かった(それが更にひどくなると頭痛に変化)。視力が悪いのと関係あるのか、とにかく眩しいのは苦手です。目の疲れにはビタミンBと聞き、それから意識的にとるようになってからはかなり改善されましたが、1日中楽譜を見ている生活ではピアノの譜面台に直接光が当たる状況は辛いのです。学校でもそんな感じなので、恐らくレッスンに来る学生さんは「この部屋何だか薄暗い」と思っているでしょう。ごめんなさい。先日の撮影でも言われました。「目、もっとぱっちり開けて〜」って。ストロボ焚くから正直なところ、やはり眩しいのです。

先週はおさらい会や試演会が一つもなかった為、学校には毎日のように行っていたものの21時頃には帰宅できていました。そうするといつもよりは2〜3時間余裕がある筈なのですが、気が抜けたのか疲れがたまっていたのか何だか調子はイマイチ。何かしなくてはいけない時間が仮眠に消えた事も度々(寝る時はちゃんと寝ています、大丈夫)。

ピアノ・デュオのチラシが出来てきたと思いきや、まだ何も手をつけられないのに早速6月のリサイタルの打ち合わせ。暮れに「一応」プログラムを決めておいて正解でした。あれから弾いてみて確認する事も出来なかったので。どこにどの写真を使うか決めるのにも、かなり時間がかかりました。2つの自主公演が同時進行するという経験なんて当然ないのですが、2公演で1シリーズというのならともかく、デュオとソロというように形態も違うし、デュオの大きな公演は今回が初めて、おまけにロンドンとの遠距離デュオ、何をしなくてはならないのか考える前に動けば?という状況です。マネジメントはどちらも同じところにお願いしているので、打ち合わせの最中「それってどっちの公演でしたっけ?」とよく取り違えます。この感じだと、ご案内状も出せない内に当日を迎えるなんて事にはならないかとびくびく。

そんなこんなで、週後半は事務的なメールやら電話やらに追われていました。

そんな中、実は田山くんが一時帰国しています。昨日は九州でコンサート、この雪の中ちゃんと飛行機は飛んだのだろうか?またすぐロンドンに戻ってしまうので、会って話せる内に決めるべき事を決めるべく、頭の中はフル回転しています。合わせも久し振り、練習をしなくては・・・。




2006年1月16日(月)       「年明け早々」

長らくご無沙汰しました。何度もアクセスして下さった方には本当にごめんなさい。

今まで更新までの最長期間は確か12日だったと思いますが、それよりはお待たせしたくないなぁと思いつつ結局こんなに時間が経ってしまいました。その間このソフトを何度か起動したにもかかわらず、いつも「今から30分で文をまとめるのは・・・無理!」と断念。日々の慌しさだけを書き連ねても仕方ないので、せめて何か一つプラスアルファ付け加えようと必死で考えても、駄目な時は全然思い浮かばないものです。頭が回らない時に取り返しのつかないような事をうっかり書いてしまうのも怖いし・・・。

新年三が日はゆっくりできました。本当によく眠りました。そして、この半年1年とないがしろにしていた雑用を、順調に少しずつ片付ける事が出来たのが収穫。頂いたお年賀状を読むのも楽しみ。私は年明けてからも書いていましたが、この麗しい日本の習慣はこの先も決して滅びて欲しくないと、切に思います。

仕事始めは5日からでしたが、4日は翌日からの仕事に備えて練習練習・・・。その後は一気にいつもの生活に戻っています。ほぼ毎日朝から晩まで家にいないような状態で、眠い目をこすりながら翌日弾く曲を練習するという繰り返し。昨日がやっとオフでした。まだ10日ほどしか仕事していないのに、いかに凝縮された時間だったかを実感。その間にした事と言えばいつも通りの高校の授業に加えて、伴奏合わせ、試験の為のおさらい会の伴奏、私のクラスの試演会、ピアノのレッスン、コンクールを受ける人のプログラムや来年度最初のレッスンの為の宿題を考え、3月のリサイタルのチラシの校正をし、そして撮影・・・。

先週はオーディションやおさらい会、試演会が4日連続。毎日とっかえひっかえ黒を着ていました。試験前なので致し方ないのですが、朝から授業や合わせをして夜に一番集中力を要する事が待っているというのは、考えてみればとても恐ろしい事。20人ほどの内で曲が重なっているのは4人だけで、頭の中の切り替えにかなり苦労しました。1日にいくつかのクラスを掛け持ちした日もあり、ある日に至っては学内で同時に3ヶ所おさらい会が行われており(それも滅多にない話ですが)、時間差でそれぞれの場所で伴奏。順番をセッティングしてくれた学生さんは大変だった事と思います。やはりその手の時間というのははっきりとは読めないもの。合わせをしている最中にリアルタイムで「今休憩です」とか「2番前の人が始まりました」とメールが届き、それを見て慌てて移動した事もありました。本当はせめて直前1時間位は体を休めて気持ちを集中したいのですが、先週は休み明けでレッスンや合わせがどうしても入りきらなかった為、止むを得ず・・・。

6月のリサイタルのチラシに使う写真を撮影してきました。子供の頃からそうですが写真は大の苦手。撮り難い被写体でごめんなさい、と思わず謝ってしまう位です。一生懸命その訳を考えて思い当たったのは、「客観的に自分がどう写るかが予測できないから」?例えば音楽の場合。子供の時は、録音を聴くとどうしても自分で弾いたとは信じられない位下手で、がっくりする事がしょっちゅうでした。さすがにこれ位の年令にもなれば、録音をしたらどういう風に聴こえるかが何となく予測できるようになります。話戻して撮影の場合、鏡で確認しながら写る訳にもいかず、客観的にどう写っているかを計算できない。それはやっぱり怖い・・・。

半月も間が空くと、書き方のコツやノリをすっかり忘れてしまうものですね。やはり少しずつでも更新するべきなのでしょう。どうも調子が出ないので今回はこの辺で。

しかし眠くて眠くて・・・。




2006年1月1日(日)       「2006新年のご挨拶」

新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年も本当にいろいろな事があった1年でした。演奏の機会に恵まれ、学校でも興味深い仕事に携わる事ができ、このサイトで細々ながらひとりごとを書き続けられ、あれだけ無茶な生活をしながらも健康を損ねずに日常生活を送る事ができました。それは、コンサートにいらして下さった方、これを読んで下さった方をはじめとして、私を支えて下さった身近な沢山の方々のお陰と、心から感謝しています。

一昨日、昨年を総括してからいろいろ考えましたが、自分の想いを一番に伝えるのはピアノがいい・・・と。このひとりごとを書くのに自信が持てなくてもいいけれど、ピアノではその時そのままの想いを迷う事なく伝えたい。ありのままの自分を出せるように・・・なんて考えなくても舞台に立てば全てが分かってしまうからこそ、毎日を自分なりに精一杯正直に誠実にナチュラルに生きてゆきたい。時間に流されずに1日1日を大切に、今年も音楽に向かい合ってゆくつもりです。

そして、聞くのも辛くなるような事件、やりきれなくなるような出来事の無い世の中になって欲しいと、切に祈っています・・・。

それにしてもこの冬は寒い。冬は好きではないのですが、これ位徹底して寒いと「ま、これもいいか」と思えるのが不思議。晩秋に慌てて植えた球根はしっかり春への準備を始めていますが、霜柱ができるのかしょっちゅう浮き上がっています。近年では稀な事。そして春には沈丁花が咲くのを楽しみにしています。秋のキンモクセイと同じ位、大好きな香り。毎年「ぜひ家にも1本」と思いつつ見つけられなかったけれど、昨秋小さな苗木をやっと見つけて植えました。寒風の中、小さな蕾が健気に耐えています。

大学が正規に始まるのは来週からですが、私の仕事始めは5日、まずは1月いっぱい実技試験に関する諸々に追われます。幾つか新しい曲の譜読みがあるのでこの数日間に何とかしなくては。1月半ばに田山くんとのピアノ・デュオのチラシが出来てくるのと時を同じくして、6月のソロのリサイタルの準備も始動します。チラシの打ち合わせ前に曲を決めなくてはならないのに全く時間が取れなかったので、暮れには全てを後回しにして2日間がーっとさらってプログラムを「一応」決めました。大学が2月始めで終わりになれば、3月いっぱいまでは練習と事務的な仕事に集中できそう?

さしあたっては「新年早々の大仕事」(・・・って何?)に取り組む事にします。風邪やインフルエンザにはくれぐれもお気をつけ下さい・・・。


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