ひとりごと

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2020年12月31日(木)               「翻弄されたこの1年」

2020年、新型コロナ感染症に翻弄され、想像もしなかった事がいろいろ起き、価値観がひっくり返ったこの1年が、今終わろうとしています・・・。

すっかりご無沙汰しております。皆様お変わりないでしょうか。大晦日にしか書かないひとりごとになってしまっていますが、7月6日に書きかけた痕跡が残っていたので、それを元に書き加えます。忘れかけた記憶が少しずつ戻ってきています。

2019年の出来事は遠い遠い昔のように感じます。今年の2月まではいつものように実技試験週間で日々時間に追われ、そしてなかなか弾けるようにならない難曲にも追い詰められ・・・という毎日でした。たまたま今年は大学院の留学生の伴奏も引き受けていたのですが、お国が新型コロナで大変な事になって試験後も帰国できないと聞いており、心配しておりました。それからまもなく日本でも感染が広がって、ピアノ・デュオの3月初旬の長野公演、3月半ばの10回目となるはずの記念すべき定期演奏会、その他伴奏等本番もすべてできなくなりました。それが決定したのは長野入りしての本番前日だったのですが、何となく予測してはいたもののショックはちょっと大きく、しばらくはぼぉっと何も手につかない状態が続きました。毎年当たり前にしていた事が無くなるというのはショックで・・・。そもそもこのピアノデュオ、初回の東京デビューの日が東日本大震災の日だったので、当たり前に存在するものが無くなってしまうというところから始まりました。そういう経験をしていたからこそそんなに落ち込まないつもりではありましたが、それでもやはりショックを受けている自分にまたショックを受けたという・・・。

その後は、毎年お手伝いしている講習会の公式伴奏の仕事も、その他コンクールの伴奏も、プライベートの生徒さんのレッスンも、全て出来なくなりました。世の中から音楽が消える、ということの不安は震災の時にもありましたが、何よりも今回不安を増大させたのは、一体いつになったら収束するのか目処が全く立たなかった事。そしてニュースでも怖い情報がいろいろ入ってくるし、命の危機に瀕する病気だと思えばこそ家を出られなくなるし、世界中の様子もニュースで見るし・・・思いがけない形で時間ができた、と思えるような心境には決してならなかったです。

少し変わってきたのは確か4月の中頃、大学からレッスンと授業をオンラインにて行うという通達が出てからの事。もちろんずっと休みのままでいいとは思ってはいませんでしたが、一体どのように行えばよいのか見当もつかず、重い腰をあげて新しい事に取り組むしかないか、という決意みたいなものでした。ピアノの個人レッスンならどうにかなりますが、室内楽のレッスン、声楽科の授業の伴奏、初見視奏の授業を双方向オンラインでどう進めたらよいか、それはもう同僚の先生方と何度もミーティングをし、スマホもアンドロイドとアイフォン、タブレットもアンドロイドとアイパッド、パソコンとさまざまなデバイスを使って画面がどう見えるかどう作動するか、そういう実験を何度も繰り返しました。資料としての音源を作ったり、編集は自分でできなくてお願いしたり・・・。今思えばただただ必死だったと。結局前期は対面授業はかなわず、一度も会えないままの学生さんもいました。会えないからこそ伝えるべくことを伝えきりたいと思っている自分がいて、そういう時にこそ力がだせるものなのか、と今思ったりしています。

副科ピアノの学生さんたちも本当に頑張ってくれました。自宅では専攻楽器の練習ができずに普段は学校で練習している、という学生さんの個別の事情も、コロナ騒動で初めて知りました。故郷に帰りたくとも感染の恐れから帰る事を許されない状況となり、こんなに時間があるのに何もできない、限りある学生生活なのに・・・という思いを抱え、落ち込み悶々としているのは、話を聞くのも辛いものでした。誰もが卒業したのち音楽の道を歩くわけではない、だからこそ限りある4年間の学生生活を有意義に過ごせるようお手伝いできるなら、という気持ちになったのです。そのエネルギーをピアノに向けてびっくりするほど上達を遂げた学生さんもいましたし、ピアノを通じて音楽の理解を深める勉強の時間にしてくれた学生さんもいます。半期に1度おこなっていた試演会は、オンラインで行いました。もともと演奏機会が本当に多い音大なのですが、演奏機会が何もかも全て失われていたあの時、たとえ画面越しであっても聴いてくれる人の存在を感じられる事がどんなにありがたいか、気持ちの張り合いが出るものなのか、ひしひしと感じました。何よりも学生さん自身が喜んでくれた事が嬉しく、画面に映り込まないところでご家族が聴いて下さっているのが感じられた事も心強く感じました。

コロナに対する不安で押しつぶされそうになっていた時に救われたのは、身近な「自然」でした。家で育てている樹や花、観葉植物に接している時間は子供の頃からかけがえのないものでしたが、小さな小さな成長の証がどれほどほっとさせてくれるものだったか・・・。そして時々散歩に出かけ、ひたすら歩きました。花や草の育ち具合、空や川や風で季節の移り変わりを感じ、散歩がこんな豊かな気持ちにさせてくれる事に今更ながら気付き・・・結構楽しみにしていたのに、今全く行けなくなってしまっているのが残念。こういう習慣は大切にしたいと思います。

コロナで休みになっていた分、8月の夏休みも返上して前期授業期間は続き、ちょっと休んですぐ後期が始まりました。9月最初に延期していたピアノ・デュオは大事をとって再延期としましたが、少しずつ本番も戻ってきて、ピアノ・デュオの収録配信を企画していろいろ準備し、収録し、編集をお願いし・・・というのが思いのほか大仕事となりました。学校の授業もレッスンも後期の最初の方は恐る恐るでしたが、結局早いうちに授業もレッスンも殆ど対面となっていました。6月に予定していながら誰にも言えないまま延期していたソロのリサイタル、11月に延期の予定をとっていましたが、それでも本当にできるのかできないのか確信がもてないままずるずると日が経ち、ゴーサインを出して慌てて準備を始めたのが1カ月ほど前の事。実は春夏頃、とてもそういう気持ちになれずに殆どピアノを弾いておらず、26年毎年続けてきたものが無くなった事で感覚も抜け落ちてしまい、今回再出発のような不思議な気持ちを味わう事になったのです。久しぶりにソロの曲に向かい合い、そしてそれは図らずも「時間に振り回されずに音楽と自分に向き合う」事であり、そういう時間が欠けていたことにさえ気づかぬほど精一杯だった、と気付かされたのでした。それ以上にいろいろいろいろ考えました。あえてここでは書きませんが。

昨日までみっちりと仕事をし、今日は何だか放心状態のような過ごし方です。この1年っていったい何だったんだろう、というくらい何もできなかった気もしてきます。いや、いろいろした事も考えた事もあるはずなのですが・・・。年明け早々試験期間に入るのですが、果たしてどうなるのだろう?という不安が募る年の瀬です。考えていても仕方なく、できる事に力を尽くすしかないのかもしれませんが。

紅白歌合戦を見ながら書いていました。音楽が存在する意味って何だろう?あー今年も終わってしまう〜。

すみません、私のソロリサイタル、もうそろそろ配信できるところまで来ています。あともうちょっとお待ち頂けますか。友人知人の皆様に個別にご案内ができるのか、それだけが気がかりです。とりあえずこのホームページのコンサート欄には載せますので。

今年もお世話になり、ありがとうございました。大変な1年でしたが、どうぞ皆様くれぐれもお体をお大事に、良いお年をお迎えください・・・。



2019年12月31日(火)               「今年を振り返って」

あれから1年が経ちました・・・皆様お元気でいらっしゃいますか。やっと昨日仕事納めとなりましたが、暮れの暮れまで本番もあり、何かと慌ただしい令和元年でした。

それにしても本当にあっという間・・・。自然災害が多くなり、これは温暖化のせいなのか、それとも・・・?と心配になることが何度も、それも年々増えてきているような気がします。被害にあわれた方々が少しでも早く元の生活に戻れますよう、心より祈る年の瀬です。

巨大台風には肝を冷やしました。もしかしたら浸水するかもしれないという覚悟をし、大事なものを厳選して持ち出そうと思ったら、一体何が大事なのかわからなくなり、真剣に考えさせられました。日々無事に過ごせている事がどんなにありがたく奇跡的なことであるか、それに気付かされるのですが、我が身を振り返れば毎日必死なのに流されるように過ごしている事に反省するしかないです・・・。

さて、と。例年のごとく、年1回の更新となってしまっていますが、ご多分にもれずクリスマス前後は大阪に居り、子供さんたちのコンサートの裏方さんをしながらちょこっとだけ演奏のお手伝いをしました。遠い昔、小学生の時の学芸会、当時から裏方さんの方が好きで、表に出るのは向いていない、と思っていたことが脳裏をよぎりました。未だに表に出るのは性に合わないと思っていますし、なんだか居心地が悪いのです。さすがに腹をくくることには慣れましたが。

楽譜の片づけをしていたら昔リサイタルで弾いた曲の楽譜がたくさん出てきて、久しぶりにそれらを眺めて楽しんでおりました。片づけはどこへやら・・・。鉛筆の書き込みがたくさん、こんな細かいことまで考えていたのかと我ながら感心したほどです。ペダルや指使いは言うまでもなく、作曲家についての知識、楽譜から読み取ったちょっとしたニュアンス、演奏のアイデア、多岐にわたります。そういう事を四半世紀繰り返すうちに、特に楽譜に書いたりしなくとも自然に気を付けられるようになったらしい・・・。これが歴史なのかと。

積み重ねた時間にはかなわない。そこから得られたものは尊い。要領よく近道しがちな、そんな便利な世の中になりましたが、どんな事も無駄にはならないし、いつかそれが意味を持つ時がくる。子供の頃からひしひしと感じ、考えさせられていました。不器用だったのは事実ですが、それ以上に妙にませた変な子供だったんでしょうね・・・。

寝る時間を確保しないと体が持たない、と自分が言うようになるのはまったく想像したことがなかったのですが、そんな中で不器用ながら必死に過ごした1年でした。来年はどんな年になるのでしょうか。

全く更新されないこのひとりごとを、覗きにいらして下さる方が予想外に多いのに恐縮しています。今年も大変お世話になりました。来年は明るい年になることを心より祈ります。よいお年をお迎え下さい・・・。

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