ひとりごと(2014年1月分)

2014年1月31日(金)             「走る」

昨日は試験あれやこれやを書いてみましたが・・・今日はまさにこれを地で行くような1日となりました。

いゃ、良く走りました・・・。演奏で走るのは良くない事ですが、それではなく実際に「走った」のです。結論から言いますと、「終わり良ければ全て良し」となりましたが、それにしても予期せぬ事がいろいろあった1日でした。何と言っても精神衛生上よくないのは「次がもう自分の番らしいです!」という類のメール。もちろん前もって分刻みで予測し、その上で余裕をみた時間をプラスしていますが、それでも何かが起きるのが本番でというもの・・・。

走った後に考える事と言えばテンポの設定。心臓のバクバクとテンポは同期するので、そんな時は頭の中で「いつもよりゆっくり目」と思ってテンポを刻んでみます。1拍が四分音符の曲でも頭の中で十六分音符4つで鳴らして確認し、更に念のため指で拍を叩いてみて、その上でソロの相手に「このテンポ?」と確認します。それ位慎重に考えて決めないと、心臓の影響力というのはかなり強いのです(過去の失敗から学びました)。ソロのように自分だけひとりの問題で済むならまだしも、相手ある事なのでそれ位きちんと考えないと。

演奏後に先生方に頂いたご講評によれば、どうやら「走った」影響はテンポに影響していなかったとみえます。あぁ良かった。

テンポで思い出しましたが、楽器の特性によるテンポ設定というものもあるのかなと。ピアノの場合は鍵盤がいったん戻って再び音を鳴らす(打鍵、という言葉は好きでないのです)まで、どうしてもある程度の時間がかかります。オーケストラの場合は弦楽器のトレモロで難なく出来ている事でも、コンチェルトをピアノ伴奏で弾く場合、絶対にテンポ内では対処できない連打が山のように出てくる曲、というのが結構存在します。指使いを考え抜いてどうにかなる曲もあれば、いくらなんでも無理でしょという曲もあり・・・。

先日伴奏した某コンチェルトが正にそうでした。その某楽器は(ピアノ人からしてみれば)楽器の特性上すごい速さで演奏する事ができ、そのため恐るべきテンポを作曲家から要求される事が多いのです。そのコンチェルトもそんな感じで、最初は音の粒が残響によってうやむやになるのを恐れてがっちりテンポで演奏していましたが、どうも間がぬけるとのご指摘があってテンポを上げました。伴奏パートが連打でほぼ終始する楽章があり、音が抜けてもテンポが揺れてもいけない恐るべき曲なのですが、試験ではピアノの状態がとてもよくて気持ち良く連打が入りました。しかし実際は、一瞬で曲が終わってしまったような気分。鍵盤の素晴らしい反応に任せて一体どれ位のテンポで弾いていたのか?考えれば怖いのですが、でも曲のキャラクターとしてはそれで良かったらしい・・・。

本番で速くなるか遅くなるか?と問われれば、ご多分にもれず速くなる(走る)方で、学生時代は先生にご指摘を受けていましたが、今そういう速さで勝負!みたいなソロ曲を弾く事はまず有りません。普段自分が弾く事のないようなタイプの曲に出会えるのも、伴奏や室内楽のおいしいところ・・・。



2014年1月30日(木)             「タブレット端末」

卒試の審査も初日無事終了。

今回の試験、いつもと違うところがありました。いつも紙に書いていた点数、今回からタブレット端末で入力です。試験の最中に使い方がわからなくなって右往左往したらどうしよう?という不安がありましたが、全く問題なく終わりました。試験と言えば先生方の鉛筆で書きこまれる音、鉛筆のぶつかる音、実際弾いていた時はその音に敏感になっていた記憶がありますが、それがもう無くなるのかと思うと寂しい気がします。と言っても私はシャカシャカ言わせながらメモを取っていますが。

出欠登録も部屋取りも掲示物の確認も、全て端末から自分で入力・閲覧しなければならなくなった今、タブレットを買った方が時間節約できるかと。ちょっと考えてしまいます。

実技試験、何かと落ち着かないのは伴奏の立場になっても変わらず。それは時間が読めないから。それぞれ楽器ごとに慣習(?)が違います。自分の演奏順になったら試験会場に入る科(楽器)もあれば、出番1人前に試験会場に入り、中で座って1人分聴くことになっている科もあり(廊下と会場の温度差が楽器によくないため?)もあり。休憩も、前もって試験の名票に手書きで書きこまれている場合もあれば、さぁこれからだと覚悟を決めて中に入った途端に「今から休憩10分!」と突然言われる場合もあり。学内で幾つもの楽器の試験が同時進行しているので、前もって出番がかぶらないよう名票をみながら綿密に時間を計算をし、試験直前の合わせの時間を決めます。そうやって生まれた隙間時間は貴重なものですが、「まきまきに巻いています。前の人が始まりました。」とか、「まだ○番目ですが次休憩らしいです」とかメールは来るもので、得てして変更になります。

私のお引き受けした学生さんたち、順番の早い人がなぜだか結構多いです。私自身この名前で試験1番目というのは慣れっこで、1番目の大変さも知り尽くしているつもりです。そんな訳で朝から万全に準備を整えて、今か今かと待っていると、会場内で先生方が席についていらっしゃるはずの時間なのに、わさわさあたふたと動いていらっしゃるご様子。挙句の果てに「試験開始は10分おしで」。何かと思ったら、タブレット端末取り扱い説明のお時間が延びたようでした・・・。他の会場との兼ね合いの都合上、間に合わないところが出ない事を祈るしかないっ。

という訳で今日も卒試を聴き、その後明日の試験のための合わせという盛りだくさんな1日です・・・。



2014年1月29日(水)             「ページの隅っこ」

長らくご無沙汰しております。何度も覗きにいらして下さった方にはごめんなさい。

前回は熊取から更新していたのですね。今思えば夢のような生活でした。しっかり眠る時間が取れ、自然が近くにあり、何にも追われず妨げられず気にする事もなく練習でき・・・。戻った翌日から、学校できゅうきゅうに詰まったスケジュールの中で過ごしています。

毎日毎日一難去ってまた一難。その中で常に気をつけている事は2つ。絶対に風邪、インフルエンザ、ノロウィルスにやられないようにする事、そして今日使う楽譜を忘れないよう持って行く事。当たり前のことのようで、でも一瞬うっかりすると危ない目に遭う、大切な事柄です。体調管理、圧倒的に睡眠時間が取れなくなるので、マスクは手放せないし、うがいガラガラはしょっ中。食欲も落ちるけれど、そんな中でも栄養バランスを考える。そして合わせの時の伴奏譜、仮に忘れても図書館に有る可能性は高いのですが(無かったら・・・悲惨)、借りに行く時間が取れないし、何せ現代ものが多いので自前の書きこみがないと弾けないかも。何より、試験は時間制限があるので止む無くカットをする事もあり、そのカットのために付箋紙があちこちに貼り付けてあります。同じ曲でも人によってカットが違う事も多々あり、覚えるのが大変!そして極力自分でめくりたいので、1ページおきにページの隅を折り、どのタイミングでめくるか書きこみ・・・自分なりの使いやすさに楽譜も作ってあるので、図書館の楽譜ではやはり難しいのです。

自分でめくる時のためにピアニストの方々はいろいろ工夫をされていると思いますが、私はページの下の隅っこを折る時、1ページおきにしています。全ページを折ってしまうと、譜面台に乗せる時に折ったところが膨れて乗らなくなってしまうので。それと1ページおきにするとページ2枚分の隅っこが重なったまま折られる(=くっつく)事もなく、ページ1枚1枚が離れた状態になって瞬時にめくりやすくなります。言葉で説明するとわかりにくいけれど、この説明で分かって頂けましたか・・・?

やっと試験シーズンも終わりが見えてきたのですが、ピアノ・デュオの秋田公演がまず目の前に迫っており、そして6月のソロ・リサイタルのチラシ制作のために曲目を決めなければならず・・・今回は本当に何も決まっておりません。1月がもう終わるんですね・・・人ごとです。

このところは毎日誰かしらの試験の伴奏が入り、背後から学生さんを支える立場に回っていました。という割には、こちらも必死でさらって弾かねばならない曲が今年は多かった気もしますが。今日と明日はまるまる1日、ピアノの卒試を審査する側に回ります。審査される学生さんの気持ちが分かるだけに、点なんてつけずに応援してあげたい気分です・・・。



2014年1月7日(火)              「2014新年のご挨拶」

明けましておめでとうございます。ご挨拶が遅れ、大変失礼致しました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今日は七草がゆの日ですが・・・現在熊取合宿中。という訳で大阪から更新しています。東京にいるとさまざまな雑事に追われて練習できない、という事で合宿するにいたったので、極力練習だけに絞ろうと努力中。とは言っても実際は新年に入れば試験シーズン真っただ中、そういうことに関する連絡事項は多々あるもので、電話もメールも降ってきます。帰った翌日から朝9時出勤、弾けなければいけないもの、連絡しなければいけないもの、渡さなければいけないもの・・・うぅぅ考えない事にします。

という訳でこちらにきてもいろいろあるのですが、それでも2人でまとまった時間が取れるので、新しい曲の譜読みと勉強ははかどっています。何でもそうなのですが、その曲への最初の取り組みはその後の全てを左右するもので、なかなか時間がとれないままとりあえずの譜読みをしたものは、いつまでも自分の中に「とりあえず」感が残ります。最初に時間をがっつり取って指使いを決めて譜読みをし、アナリーゼまでできているものは、その後の練習の進み方や合わせのはかどり方が全く違います。

今回取り組むシューベルト・・・(あ、今回の3月のプログラムについてまだ書いていませんが、いずれ又)、名曲ではありますがとにかく大変な難曲。連弾と言えばシューベルトのファンタジーと言われる位、この編成を代表する名曲。そもそもこのデュオの最初のコンサートをする時、「何弾くの?シューベルトのファンタジーとか?」と何人もの方に言われましたし。それはともかくと、何が大変かと言えば・・・と考えたらあまりにも答えが難しくて、今となりでチケットのデザインをして印刷発注を終えたばかりの原田さんに聞いてみたら、「あまりにも内容が濃すぎて大変だね」とさらっと一言。確かに・・・。

そのシューベルトは多分やる事になるだろうと思っていたので、8月の合宿で分析まで終了。しかし今回もあぁだのこぅだのと悩みながら大分詰めてみました。そこまでやってから初めていろいろ音源を聴いてみたら・・・めげました。こんな深いすごい曲にまだ取り組むのは早いと言われているような・・・私たちも恐れ多くもこの曲に取り組むのはまだまだ早いと、今まで4年待ったのですが、それでもまだか?と。

あとはブラームスのワルツ。候補にブラームスの愛の歌も挙がりましたが、まずはワルツから。これも有名なようででもちょっと渋く、いい味を出すのは本当に難しいと思うのです。これは現在譜読みと分析を同時進行。しかし1曲1曲がいろいろ、それを16曲つなげるとどうなるか、やり始めると奥が深くて1曲1曲これまた時間がかかり、気がつけば何時間も経っている・・・。そんな状況です。

とゆっくり考えて書いている時間が今無いので、イマイチ中途ですが合宿のご報告はこの辺で。メール等なかなかお返事できないままになっている方も多いのですが、ゆっくり考えてお返事出来るまでもう少しお待ち頂けますか。すみません。

新年のご挨拶のつもりがいつしか話変わってしまいましたが・・・今年はどんな年になるでしょうか。ソロは21年目、デュオは4年目となります。昨年後半からあまりにいっぱいいっぱい過ぎて何も考えられず、精一杯頑張るだけというような日々が続きました。いったん冷静になって自分のペースを取り戻したいと思いますし、いろいろ考えなければならない事もあるのですが、そう言いつつこの冬を乗り切るまで当面はひたすらに頑張る日々が続きそうです。今出来る事をやるだけ、体の事も考えようと思う今日この頃です。

「もう終わる?」と隣から声がかかりましたので、今日はこの辺で・・・。


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