ひとりごと(2012年7月分)

2012年7月31日(火)             「講堂で」

それにしても連日すさまじい暑さで・・・7月の締めくくりは今日の学内でのピアノ・デュオ・コンサートでした。お暑い中いらして下さったお客様、昨日試験が終わって夏休みにやっとやっと入った学生さんたち、本当にありがとうございました。

今回、慣れ親しんだ大学の講堂でのコンサート。ここでソロを演奏した事は数回しかないのですが、学生さんの伴奏で弾く機会は多く、また試験を聴く立場になる事も多いです。いつもの「あの感じ」、弾いた時の感触、そして響きは大体わかりますが、直前に調律をお願いし、この場所でベストなピアノ位置を選んだらどうなるか・・・?それがどこまで出来るか試したいと思いました。こんなチャンスはもうないかもしれないので。

学校に着いたら鍵を借りる事から始まり、調律師さんと一緒に2台あるピアノのどちらを使うか、舞台の上にピアノを移動して弾いてみて決め、照明をどうするかいろいろスイッチをいじっても埒が明かず、結局機材室の係の方に調整をお願いし、その後ゲネプロでいつもとちょっと違うピアノのタッチと響きに慣れる傍ら、お手伝いして下さるスタッフさんと本番の段取りを確認し・・・いつしか開場時刻になっていました。

今月だけでも何回も本番を踏んでいる曲ですが、「いつもの講堂の響きと講堂のピアノのタッチ」でなくなったことで、改めて自分の耳と指の感覚を研ぎ澄ませる事になったのです。多分すごい集中をしていたと思いますし、いつもと違う感覚で曲を捉えられて不思議な思いでした。でもここのピアノであんな表現もこんな表現も出来る!と思えたのがとにかく嬉しくて・・・本番で何を話すかを相談するのをケロッと忘れていました。最初を任された時は超特急で頭を回転させて話すべき事を探っていましたが、少しずつ調子が出てきたかと。マイクを使わずとも声がよく通るのが分かったので結局使わずじまいでしたが、話している内に何だか授業しているような妙な感覚にとらわれました。

ま、それはともかくと、ピアノがいろいろな表現を助けてくれたのが本当に嬉しかったです。もちろんそれは調律師さんのお助けあって、そしていつもと違う演奏を一緒にしてくれたお隣の原田さんの存在あっての事。そしてこの機会を下さった副学長先生にも感謝です。また舞台で話している時に見えた懐かしい面々・・・卒業生や久しぶりに会う友人も来てくれました。本当にありがとうございました。

というところでやっと夏休みとなりました。この夏は合宿や弦の講習会、はては教員免許更新講習などもあり、留守がちなひと月となります。秋に弾く物の勉強も急ピッチでしなければならず、賢く時間を使う事を目標に・・・せず、体も神経もゆっくり休める時間の使い方をしたいと思っています・・・。



2012年7月30日(月)             「カデンツァ」

すさまじい暑さが続いています。やっと先週で前期授業が終わったかと思ったら、もう8月突入だなんて。あっという間に後期が始まりそうで、怖い怖い夏休みです・・・。

6月下旬以来、やっと何もなく家にいられるオフの日となり(道理で毎日あっぷあっぷするはず)、汗だくになりながら外に出て木や草を見て回りました。お隣の鉢のツルとぐるんぐるんに絡まっている朝顔をほどくとか、挿し芽したままになっていたバジルを植え替えるとか、折れかけていた梨の小枝に添え木をするとか、液肥をまくとか、放っておくと葉っぱが穴だらけになる犯人ショウリョウバッタの子供をつかまえて逃がすとか。そういう事をしていると気持ちが落ち着くのです。

まとめて書けないと思うので少しずつ書いてゆきますが、先々週の長野富山の話。前回7月26日に書いた続きです。

長野は昨年もお世話になった、峰ノ原高原のペンションぷれじ〜るさんでのコンサート。学校でレッスンしてからそのまま直行、夜には着きました。今回も昨年同様フォルテピアノと現代ピアノ、そしてバロック・ヴァイオリンとモダン・ヴァイオリン(プラス、ガット弦に張り替えたモダン・チェロ)の弾き比べがメインです。という訳でフォルテピアノをこのために運んで頂き、1日環境になじませ、私たちも楽器に慣れるために練習し、それからコンサートという次第。

朝はウグイスやカッコウ他(鳥には疎い・・・)鳥たちの鳴き声で目覚めました。都会のもろもろを忘れてよく眠れ、それだけで神経が休まるものです。お天気はイマイチでちょっと寒かったものの、下界の暑さを一時忘れることができました。心と胃に優しい美味しいお食事もこちらのペンションでの楽しみです。

ペンションの2階にフォルテピアノを運び込むにあたって、くるっと回り込む階段を皆で楽器を担ぎあげて上る作業が待っているのですが、今思えばお神輿を担いでいるような心境でした。皆で役割分担、そして掛け声とともに持ち上げ、万全の注意を払って運びこみます。2階に上げる時は本当に重いのですが、コンサート終了直後に1階に下ろす時はそうでもない。演奏前と後の気分もまるで関係しているようです。いつもフォルテピアノのコンサートでは、調律師さんがピアノを解体して見せて下さるのですが、あんなにシンプルな構造だからこそでちょっとした衝撃でバラバラになってしまうのではないかと心配になります。でも意外に丈夫?考えてみればこの楽器、あちこち旅しています。

現地では、練習だけではない準備があれこれとあるもので、まともに全曲練習出来ぬままに本番となりましたが、懐かしいあの音とタッチは健在でした。今回連弾に先だって平均律より1曲ソロで弾き、また連弾も初お披露目の大バッハの息子クリスチャン・バッハのソナタあり・・・現代ピアノとは全然別の曲のように聴こえました。弾く立場としても音を聴き、自然と弾き方(タッチ)もテンポも変えてしまうもので、全く新しい曲のような感じ。

そして今回はクリスチャン・バッハの方に何度か出てくるカデンツァ、その場で思いつくまま弾くのを試してみました。ほんの短いつなぎ的なものですが、合わせでは弾く度に違ったアイデアがあれやこれやと出てきて、こんなにアイデア出てきたら本番どうなるんだろう?と余計な心配をしてしまいました。「最後の属七の和音につなげられなかったらお隣さんになげかけてしまおう・・・」という感じで、2人での即興リレーもできてしまいます。合わせではあれこれシュミレーションをしていましたが、本番は「そろそろだ、何しよ?」と思ったとたんに固くなって、ありきたりの進行しかできず不発でした。でもできないと思っていた事ができるのは楽しい。そしてリラックスしていれば意外にもできるのも実感。これからは少しそうやって即興で遊んでみようと思った、そんな経験となりました。

終演と共に楽器はまた旅へ。私たちより一足先に魚津へ向かいました。続きはまた後日に。

今日は最後の合わせ、これから学校へ行ってきます。また暑そうだ・・・。




2012年7月26日(木)             「無数」

暑中お見舞い申し上げます。昨日学校でセミの初鳴きを聞き、いよいよ猛暑も本番です。

今年は予想外に早く梅雨があけましたが、その割には今も湿気が残っていて暑いっ。夏大好きを公言している者としても、さすがにこの湿気含みの暑さは体に堪えます。先日魚津滞在中に妙に暑いなと思ったら、その日の公式記録で魚津36.9度!長野・峰の原高原で涼しさ満喫してきた直後なので、まだ良かったのですが、魚津の後には立山に登り(というか行ったというべきか)、気候も気圧も上下する1週間を過ごしてきました。その3か所と比べても東京は暑すぎる・・・。

その1週間に関してはいずれ書かせて頂くとして・・・。とにかく書きたい事はたくさんあったし、1週間も留守するんだからと重い思いをしてパソコンを持って行きましたが、結局1度も開ける暇がなかったのです。今一番書きたい事と言ってもどれもこれも書きたい事なのですが、簡単に書ける事としたら満点の星空でしょうか。

猛暑の魚津でふと空を見上げたら、くっきりとさそり座が見えました。大体都会の空は明るくて空気も綺麗でないので、夏の星座は殆ど見えた事がない。そんな訳で冬の星座は何となくどこに何があるかわかるものの、夏の星座は実際に見たことが全く無しと言っていいほど無知でした。それがさそり座と分かるほどくっきり見えた事に感激したのです。

ところ変わって翌日の立山。2400メートルと空が近くなるものの、どれ位見えるのか正直全く想像がつきませんでした。山の天気はとにかく変わりやすいものだし、見られたらいいな位にしか思っていなかったのです(期待すると見られなかった時の失望も大きかろうと・・・)。それが「今日は星が綺麗!」ときき、薄手のヤッケをお借りしてホテル玄関前の広場に出てみました。夜はさすがに風が吹き付けて寒い。もちろん街灯もなく、一歩出れば全てが闇。足元に気をつけて階段を下り、空を見上げると・・・!!!始めは何も見えませんでしたが、目が慣れるに従い無数の星が見えてきました。プラネタリウムや天体写真でしか見たことがない、「無数の」星!空ってあんなに隙間なく星で埋まっているのだろうかと目を疑いました。流れ星も。宇宙の入口に立ったような、そんな不思議な気分を味わいつつ、しばらくそこに佇んでおりました。本当に幸せな時間でした・・・。

その他たくさんの忘れ難い経験がをしてきた1週間が終わると、翌日から怒涛の日々が始まりました。日常を1週間放置していたツケは予想外に大きく、そのリセットをし、来週のデュオ・コンサートの準備もあり、まずは前期授業の締めの諸々があり、おさらい会の伴奏が続き、実技試験を聴き・・・(一体いつさらうんだか)。訳分からないというのは正にこの事かもしれません。

前期授業は今週いっぱい、「究極の朝型」からも早く足を洗いたい。今日もとにかく暑そうです。今年は昨日やっとノースリーブデビューしたので、今日もノースリーブで暑さと戦ってきます。

続きはまた後日に・・・。



2012年7月7日(土)              「カフェ・コンサート」

今日は七夕。雨で夜空は望めそうにないですが、スカイツリーは七夕限定のライティングだそうです(公式サイトより)。ただし20〜22時がライトダウンキャンペーンで消灯なので、実質は19〜20時と22〜23時のみ。正に限定のライトアップですね。最近は梅雨シーズンで雲や霧に隠されて見えない事も多々あり。見られるかな。

梅雨のムシムシに負けず、今週は補講や合わせで毎日学校に通いました。学期末でその他いろいろやらなくてはならない事も増え、「究極の朝型」どころではなく、疲れていつの間にかうたた寝、帰ってからの記憶が消えている事もままあり・・・それでも不思議な事にいつもの起きる時間の数十分前にぱっと目が覚め、飛び起きて慌てて準備をして出てゆくような、綱渡りな毎日でした。

先日の関西も本当に予定ぎっしりでしたが、気分転換にもなり、有意義な2日間でした。そう言えば行きの新幹線、どこをどう通ったか全く記憶がない・・・(爆睡?)。しかし嫌いな梅雨も、緑が濃く、それが雨に濡れると更に美しく見えるという発見があり、目は大分癒されました。用事の隙間をぬって20分位のお散歩もあちこちで行き、潮風にあたり、山の空気も吸い、街も歩きました。帰りは途中でとれたてのお野菜の仕入れ。高山の朝市でおなじみの白いトウモロコシ(ピュアホワイト)は、帰ってすぐ生で丸かじり。未だ種まきができず今年はどうしたものか悩んでいたバジリコも、袋にいっぱい入ったのを見つけたので、すぐに挿し芽用に切り取って植えました(一つも枯れずにしっかり根付きそう)。その他山のキノコ詰め合わせとか、色とりどりのズッキーニ、空心菜、ニンニク、などなど。たくさん買ったものの、家にいないのでなかなか料理できないのが悩み。冷蔵庫で出番待ちしています。

1日のカフェ・コンサート、お陰様で座る場所がなくなるほどたくさんのお客様がいらして下さりました。本当にありがとうございます。あいにくの梅雨空、途中で雨も降り出しましたが、楽しいコンサートとなりました。お客様は開演までの間にお茶とケーキでティー・タイム、その後にコンサートが始まるという形式です。今回のコンサートは企画された作曲家の古曽志先生が進行役をつとめて下さり、解説やちょっとしたインタビューなども交えてすすめて下さいました。このデュオ、自分たちで話さないのは初めてかもしれず、そのせいかいつもと違う緊張感が少しありましたが、無事に終わってホッとしています。それにしても、作曲された方から直接お話を聞きながらの演奏、というのもそう滅多にない機会でしょう。お客様との距離も手が届く位近くですが、お茶の時間に行われる1時間ほどの気軽なコンサート、ご近所にフラッと出掛けてみようと思えるような手作りコンサートもよいものですね。

当日撮って頂いた写真を後で見ましたら、まるで南国でのコンサートみたいでした。壁面はカフェ全体をぐるっと取り囲むように全面ガラス張りになっており、写真の背景は元気よく生い茂る街路樹の濃い緑の葉っぱで覆われているのです。たまたま先生が南国柄のドレスをきていらしたので、写真から南国の熱気が漂ってきそう。そんな中でコンサートは行われたのだなと懐かしく思い出します。いらして下さったお客様、心地よい場所とおいしいケーキやお料理を提供して下さったイマジンのオーナーさんやお手伝い下さったスタッフの皆様、古曽志先生、ありがとうございました。

来週から1週間、コンサートと高校の行事で長野と富山にこもります。家の中で片付けておきたい事は山ほどあるのにはかどらず・・・。ピアノだけ弾けていた日々が夢のようです・・・。


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