ひとりごと(2011年7月分)

2011年7月31日(日)             「束の間」

怒涛の1週間も何とか終わりました。

講習生の皆さん対象のコンサート、一体どんな風になるのか分からずに不安がありましたが、朝ちょっと弾くために行ってみたら、ピアノを取り囲むようにびっしり椅子が並べてあり・・・腹をくくりました。トークも必要なのに話す事を決めておらず、始まる15分前までブチブチひとりごと練習。曲目解説にしようか迷いましたが、学生さんにとって身近に感じられ、また有意義な話の方がいいかと思い、「バッハがなぜ好きになったか?」と「バッハを苦手と思う人はどうしたらよいか」、これをお話ししました。その後の演奏、こうこうと明るい中で弾いていたので変な感じでしたが・・・何とか無事に終え、これでやっと大変な7月が終わった!少し緊張感が抜けた気がします。

8月は例の教員免許更新の講習があったり、講習会の伴奏があったり、コンクールの伴奏もあったり・・・その中で9月以降の本番の譜読みと合わせも始める予定。ゆっくり休めないので、気持ちはしゃきーんとしたまま頑張っていかなければ。

と思ったのも束の間、明日締め切りの成績をまだ提出していないどころかつけていないし、このひとりごとも書いていないっ。1週間ため込んだ新聞を読む事もできなかったし、洗濯済みシャツもたまっているのにアイロンをかけられなかったし・・・と思いながら、8月が始まります・・・。



2011年7月30日(土)             「カブトムシ」

ニュースとも新聞とも無縁だったこの1週間。久しぶりにニュースを見たら、新潟と福島で集中豪雨・・・あまりの水の威力に言葉を失いました。どうかこれ以上被害が広がりませんように。

気がつけば7月も終わり。気持ちよく晴れ渡っていた日が嘘のように、今はまるで梅雨末期のようなお天気続き。夏休みというものがまだ遠い先のような気がするのですが、遠い先どころが、多分今年は夏休みは無いようなもの。リセットできないまま新学期という事だけは絶対に避けなければ・・・。

いろいろ目いっぱいに過ごしたこの1か月の中でも、今週は怒涛の1週間でした。さすがにあれ以来、乗り過ごす事はしていません。気をつけに気をつけて、危ない瞬間は無きにしもあらずでしたが。今月だけでも20曲(どれも10〜20分位)、本番で弾きました。よりによってその3分の1がお初、3分の1は弾いた事はあるものの難しくてさらい直したもの、残り3分の1がいつでも弾けるレパートリーになっているもの。今週本番がいくつもありましたが、7曲を一気に弾くという本番が昨日終わったところで、伴奏に追われた今月も一段落です。

終わったところでどっと疲れが出ていますが、明日があるのを忘れていてはいけない、と。学内の受験生夏期講習会で平均律数曲を弾く事になっています。昨日までの生活とうって変わって今日は心静かに、しかし疲れた体にムチ打ちつつ、ソロをさらっています。あれだけ毎日1日中ピアノの前にいたにもかかわらず不思議と、伴奏とソロでは使う筋肉は違うらしい。全く違う筋肉がモリモリと動いている感じがします。脳味噌もまた然り。伴奏と違って今度は暗譜だから・・・。

思いつきメモ。フーガの暗譜の確認のためにしている事。バッハのフーガはどこをどう切ってみても、金太郎あめの如く、きちっと声部の数が保たれています。だからこそできる事なのですが、それぞれのパートがきちっと覚えられているか確認しています。つまり、アルトなら1曲最初から最後までアルトのパートだけを少々強めに、後のパートを弱めに弾いてみます。楽譜を見てしまうと簡単なのですが、見ないでやってみると暗譜があやふやな場所がよくわかります。アルトだと思っていたのにいつしかテノールを弾いていたり、音符と休符の長さがあやふやだったり・・・という感じ。確実に楽譜が頭の中に入っていれば、例えば4声なら4本のラインが横に流れていて、また縦に常に4つ(休符が入ればもちろん減るけど)の和音が鳴っていて、仮に音が思い出せなくなってもその2つのやり方から次の音の推測ができます。横のラインと縦の和音を同時に考え合わせられるなら、それ位確実に暗譜できているという証し。さて・・・?

先週か先々週、学校の中庭に突然、大きな大きなビニールプールが4つお目見えしました。高温化の防止のためだか何なんだかと思っていましたが、その後数日は水を張ってあるものの、誰も何も入る気配無し。プールの上にはそびえ立つ数本のケヤキ(だと思う)があり、風に吹かれていろいろなものが落ちてきます。そこを通りかかるたびに今日こそはプールに何かが入ったかどうか確認していたのですが、ある時そこに虫が落ちているのを見つけました。家でもよくコガネムシが水面に落ちていて、よくすくいあげているので。その時学校のプールに浮いていたのはコガネムシ、そしてそれよりはるかに大きいこげ茶の虫でした。一瞬びくっとしたもの、よくみたら??なんとなんとカブトムシのメス。こげ茶で体の表面にも薄く産毛が生えていて、子供の時に飼っていた当時を思い出しました。もちろんすぐにすくって樹の根元に逃がしましたが、学校の周りは自然が豊かだからカブトムシがいるんだか。何だか嬉しくなりました。

それからいつも水面を探すようになりましたが、その数日後、ついにプールにモノが入りました。水面いっぱいのホテイアオイ、そしてその内2つには池の金魚たちがお引っ越し。何か池周りで工事するらしく、臨時の仮住まいだそうです。エアーポンプもつき、プールには網が張られたので、夏場の環境としても安全安全・・・。



2011年7月25日(月)             「間抜けな話」

またもやご無沙汰しております・・・。

来週は8月だという実感もないまま、前回書いてから半月が経ちました。学校は夏休み・・・な訳はなく、今週こそが佳境です。梅雨が明けてしばらくは元気いっぱいでした。こんなに暑いのにどうしてこんなに元気だか、やっぱり夏はこう暑くなきゃ、なんて悠長な事も言っていられましたが、先週は日増しに疲労が高まりつつありました。体はそんなに疲れているつもりはないものの、昼は息つく間もなく動いていて、帰った途端動けなくなり、自覚症状がないままうたた寝している事がよくありました。かくして翌日までにやらねばならない事を終わらせようとしていると家をでる時間が迫ってきて、少し仮眠するか結局寝ないで出掛けるいう事もままあり・・・つくづく不器用だと反省する事しきり。授業とレッスンの合間をぬって、さらうべき曲が多く、本番も多く、追われながら綱渡りの毎日です。

・・・と書いていると深夜の地震。最近また地震が増えています。ちょっと警戒しなければ。

最近あった間抜けな話。いつもより少し早めに帰れた日の事。今日は早めに帰れるから、うたた寝する前に全てやってしまおう。と意気込んで電車に乗りました。車内で座った途端爆睡・・・途中、某ターミナル駅で一瞬目覚めた事以外記憶がありません。それからしばらく後、夢の中で車内放送が聞こえました。次の停車駅も電車の行き先も???夢だなこりゃ、と思いつつ聞いていました。なぜって、その駅は学校のすぐ近くの駅、行き先はさっき乗った電車と進行方向が逆だったから。でも何度も何度もそれが繰り返し聞こえるので、もしや・・・?嫌な予感がしておそるおそる目を開けました。なんとそれは学校近くの駅。訳わからないままとりあえず降り、反対車線のホームに回り込みながら考えました。あ〜そう言えば途中で折り返す電車に乗ったんだっけ。という事は降りずに折り返してここまで来たんだな、とやっと納得。ばかばかしいけどしゃぁないと思いつつ、また家へ向かう電車に乗りました。今度こそ降りるぞとちかいながら。

ここまではよくある話。とはいえ、自慢ではないですが今まで電車を乗り過ごした事は殆どなく、あってもここ2年位の事。何故だか着駅に来ると突然ぱちっと目が覚め、乗り過ごしたとしても1駅2駅で済んでいました(遅刻はしてないですっ)。ところがこの話には続きが・・・。

今度こそ降りるぞとちかいながら再度電車に乗り込み、又もや寝てしまったようです。次に気付いてがばっと起きた時には、車窓の外に全く見た事のない風景が!発車寸前に慌てて降り、それから駅表示を見・・・本来降りるべき駅の少し先の大ターミナル駅でした。そして時計をみてびっくり。どうやって帰ったら一番早く帰れるか冷静に考え、それから再再度反対方向の電車に乗り、今度こそは寝ないつもりで背もたれに寄りかからずに座っていました。ちなみに帰宅までの所要時間、学校までの往復時間より更に長くかかり、人に話したら「大阪まで行けちゃうね」との事。何やってんだか〜本当に疲れ果てた1日でした・・・。

なんて事があってから電車で眠るのがコワイのですが、睡魔にも負けずに頑張って通っています。今日は中身のある事が書けないのですが、たまには息抜きって事でお許し下さい。

そうそう、今年も大阪でまた連弾させて頂ける事になりました。大阪クラシック、昨年の熱気むんむん、立ち見も出るほどたくさんのお客様がいらっしゃる中で弾かせて頂けた事を懐かしく思い出します。あの時が連弾デビューだったのですが、あそこから今につながっていろいろ演奏の機会を頂け、本当に嬉しくありがたく思います。前回の事を思い起こしながら大阪の皆様には何を聴いて頂こう?と、あれやこれや楽譜探しをし、それを初見で片っ端から弾いてみて決めました。30分プログラムの中に起承転結を作り、トークも混ぜるとなると結構めいっぱいになってしまうのですが、あの時みたいに楽しい舞台になればいいなと、夏休みに入ったら練習開始します。詳しくはコンサート情報をご覧頂きたいのですが、大阪の皆様、ぜひまたいらして下さい。

そろそろ週明け初日モードに切り替え、気合を入れます。今週はまた暑く、冷や汗もたくさんかきそうな毎日となるでしょう・・・。



2011年7月10日(日)             「弾き比べ」

いつの間に7月に突入して10日も経っていると思ったら、もう梅雨明け。梅雨入りが早かったし、全然雨も降らず「既に梅雨も明けたとみられます」宣言がなされると思っていたので、さして驚きもしませんでしたが・・・。大好きな夏がやってきました!

7月2日の峰の原高原でのピアノ弾き比べ連弾コンサートも、お陰様で無事終了しました。涼しい高原の空気もサロンでは熱気むんむん。いらして下さった方々のあたたかなお気持ちに包まれて演奏出来た気がしますし、楽器を運んで下さった富山の竹田楽器さんとペンションぷれじ〜るの皆様には本当にお世話になりました。ありがとうございました。

当日は、シュタイン製作1784年のピアノのレプリカ(以下、フォルテピアノと記します)と現代ピアノの弾き比べもさることながら、ガット弦を張った昔のヴァイオリンと現代のヴァイオリンも比べて弾いて頂き、また調律師さんからは楽器についての解説もあり、お客様は休憩時間にコーヒーを頂きつつ、取り出されたフォルテピアノの鍵盤のアクションを触ってみるという体験もでき、実に盛りだくさんな内容となりました。私自身フォルテピアノはほぼ初めてでしたが、前週の富山と本番前日からの4日間ですっかり仲良くなれた気がしました。あの繊細で心地よい響きが耳にずっと残っています。

話はさかのぼりますが、長野に向かう前、学校でレッスンと合わせをぎりぎりまでした後、向かったのは都内某所のケータイショップ。3年半使ったケータイが調子悪くなり、少し前に予約済みでしたが、全く取りにいく時間がなかったのです。長野でゆとりある間に使えるようにしなくては、と思って取りに行ったのですが、随分と時間がかかり(でも丁寧にいろいろやって頂きました)、結局夜中に走る羽目に。普段あまり電話は鳴らないのにこういう時に限って大事な電話が来、また仕事上のメールが多数、車内ではスマートフォンの訳分からなさにあがいていました。峰の原高原に着いたのは未明でしたが、そのおかげで満点のお星様を見る事が出来ました(というのが前回書いた内容の補足)。

という訳でくたくたに疲れて朝は寝ている予定でしたが、なんとフォルテピアノが早々にご到着!日焼け止めさえ塗る暇もなくノーメークで(日に当たるとすぐぴりぴりするのでこんなのも初めて)、とりあえず着替えて慌ててお手伝いに走りました。既に胴体部分が何人もの人にかつがれ、回り込んだ階段を正に今上ろうとしている時。即そこに入り、毛布を敷いた階段を1段ずつ1段ずつ運びあげました。大事な大事な楽器だから丁寧に、と思いつつ無事に搬入。ここに到着した時は夜遅くてご挨拶出来なかったので、そこでペンションの皆様に初めてご挨拶をするというお間抜けぶり。それからブランチを頂き、やっと練習に入りました。

1週間ぶりに触れてみて大分感じが変わったようにも慣れたようにも思えましたが、やっぱりいい音。全曲がっちり合わせてゆき、曲順やコンサートの構成も考えていたら、あっという間に時間が経ちました。しばし休憩、外にお散歩に行きましたが、ちょっと歩けばそこはゲレンデ。今はお花が綺麗な季節です。何だか見たような風景、聞いた事のあるコース名だなと思ったら、高校時代に春はテニス、冬はスキーで合宿に来ていた菅平高原と判明。峰の原と菅平はお隣同士なのです。初めてのスキーはここから。スピードがコントロールできなくて暴走していた時代の話・・・。夜は美味しいフルコース(しかもとてもヘルシーで優しいお味)を頂き、使い慣れないスマートフォンと格闘してたくさんの合わせのメールを返し、その疲れからかゆっくり眠る事ができました。

翌朝はお庭で焼きたてのパン数種のサンドイッチを頂きました。お天気が持つか心配でしたが、その後練習を始めた途端に日が射して来て、その後ずっと良いお天気。何だか不思議な感じでした。気がつけばもうすぐ開演という中ばたばたと着替えをし、しゃべる内容も決めぬまま出てきてしまいましたが、そんな中忘れなかったのは録音録画の準備。こんな貴重なシチュエーションで演奏出来る事もそうは無いと思ったら、録らぬわけにはいかず。活躍したのはなんとスマートフォンの録画機能でした。

というところで冒頭の話につながります。まだこの楽器に触れて4日目とも思えない位気持ちよく弾けました。モーツァルトがかつて弾いていた響きがよみがえり、そのモーツァルトが書いた曲を弾いているというのが何とも嬉しく、そして幸せな時間でした。そして当日、昔のヴァイオリンとフォルテピアノ、モダンのヴァイオリンと現代のピアノ、2通りの組み合わせでベートーヴェンのメヌエットの弾き比べもしてみました。なかなかこうやって弾き比べ、聴き比べる機会はなく、私としても貴重な体験でした。前半はフォルテピアノでモーツァルトだったので、後半のプログラムは現代のピアノ。タッチはもちろんの事、音色も音量も全然違いますが、この楽器の発展に即して曲が書かれたんだなという事をひしひしと痛感。あれだけの音域があれば更に多様な表現が可能なのもうなずけます。さまざまな時代、さまざまな国、さまざまなスタイルの曲を1夜ならぬ1昼で演奏できた、感慨深いコンサートとなりました。

コンサートが終わるや否やピアノは富山にすぐお帰りなので、搬入と全く逆の手順で搬出。雨が降り出したら車に運び入れる際に楽器が濡れてしまうので、一瞬空模様が怪しくなったのを心配して、余韻を楽しむどころではなく一気に現実に帰りました。無事に楽器も車へ移動でき、お見送りしたらその後ぼぉっとしてしまい、何をしていたか覚えていません・・・。その晩はお庭でバーべキューして頂き、ここのペンションの少年3人に遊ぼうよと声をかけられ、標高1500メートルで「ん十年ぶり」に全速力で鬼ごっこ(道理で息が切れる訳だ・・・)、花火も「ん十年ぶり」でした。ところがすごいのはその後。お腹もいっぱい、しっかり遊んだ後なのに、先の少年たちと皆で合奏大会。そう、3人とも皆、楽器にも堪能なのです。かくして峰の原の夜は更けてゆく・・・。

翌朝はすっかりいいお天気。朝食を頂いた後、ゆっくりゲレンデを散歩。高校時代に滑った記憶がよみがえってきました。山の上から見た向かいの山の風景、スキーコースやリフトの場所、教えて下さった先生の一言、一緒に滑ったメンバーの顔・・・遠い昔の事なのにこんなに鮮明に思い出せるとは・・・。

ペンションぷれじ〜るさんにお邪魔したのは初めてですが、本当に親切に温かくもてなして下さりました。聞くところによりますと、今回のこのコンサート、10年ほど前から「いつか実現したらいいね」と話が出ていたそうです。そもそもの発端はやはり人と人との出会い。偶然のようで、でも必然だったと思われる出会いから始まり、それが10年越しでやっと実現した事を、ぷれじ〜るの皆様や関係者の方々がとても喜んで下さり、そのお手伝いをさせて頂けてとても嬉しく思います。そして、快くこの楽器を貸し出して下さり、またここまで運んで下さり、丁寧に楽器の調整をして下さった竹田さんに感謝の思いでいっぱいです。音楽は人と人とをつなぐもの、これを実感できた今回のコンサートでした。本当にありがとうございました。

さて、と。気になっていた事を早くしなくては。この前期末、例年に増してすごい事になっています。お引き受けした伴奏や室内楽、その他自分のさらうべき曲などなど、把握していないまま雪だるま式に増え・・・抜けていたら一大事なので、いつどこで誰と何の曲を弾くか、一覧を作ってみます。しかし知るのがコワイ・・・。


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