ひとりごと(2010年5月分)

2010年5月31日(月)             「世界遺産クラス」

いい加減リサイタルも迫ってきました。・・・と書きながら、自分で自分を追い込み過ぎていない?とふと思ったので、人生の「とある1日の出来事」なんだから気楽に〜と思いこもうとしたけど、やっぱり違う。本当にたくさんのいろいろな意味に於いての「特別な1日」。

子供の時分、なぜピアニストはあんなにたくさん練習できるんだろう?と思っていましたが、正に今、いくら時間があっても足りない状況です。どうしてだろう?と考え続けて分かった事。誤解を恐れずに言わせて頂けば、「弾く」事よりも「世界遺産クラスの作品を理解する」事が大変なのでは?そういう作品に何曲も向かっているんだから、そりゃ大変なはずだと思ったらいくらか気が楽になりましたが、ここまで来たら後は時間との戦い・・・。

もう他の事に気が回らないモードに入っているので、あり得ない事を無意識の内にやっています(後で気付いて自分で驚く)。文章を考える事も範疇外なので、何も思いつかなくてごめんなさい。

このところ、またお天気がご機嫌ななめ。気持ちよく過ごせる日、例えばからっと1日中晴れ、程良く暑く、微風が吹き、日が長く、夕焼けが美しく・・・そういう日は1年の内にどれ位あるのだろう?なんてふと考えました。トータルで3週間あるかないか位?花の美しい時期もまた然り。そう考えると、気持ちのよい日って本当に貴重です・・・。



2010年5月24日(月)             「ヒール」

またもやご無沙汰です。と書いて下↓を見たら、なぁんだまだ1週間・・・。それ位毎日がぎゅうぎゅうに詰まっていて濃く、1日がとても長いはずなのにあっという間に過ぎ去っています。

1週間の内、学校に行く日はまとまって続いているのですが、その間は終日学校に居て、家には寝に帰るだけ。学校ではあれやこれやと「降ってくる」ので、自分のピアノの事はすっかり忘れてしまいます。それ以外の日は、今やっと自分のピアノに集中できるようになりましたが、学校に行く前日は気持ちの切り替えがすんなりいかずにあたふた。つくづく不器用だと自覚させられます。

リサイタル前1カ月は本当にこれだけに集中出来たらすごく面白いし、良いものができるだろうに、とよく思います。前々からさらえば?と言われそうですが、何にでもタイミングはあるもので、今でないと面白くない事はなぜかある。

私は「何はともあれ、まず暗譜」派で、暗譜してから再度楽譜をじっくり読みこむと、いろいろなものが見えてきてとても面白いのです。暗譜するまでは弾く事そのものに夢中になっていて、楽譜をじっくり読みこむところまで神経が回らないからかも。漠然と楽譜を眺めているだけだと、その情報量の多さに戸惑ってくらくらしてくるのですが、強弱記号とかアーティキュレーションとか何か1つに絞ってみていくと、何気なく見落としていた事に気付かされ、また小さな事にまでこだわって書いている作曲者の心が分かるような気がする時があります。そうやって分かった事は、楽譜を見ながら何度も弾く事によって頭に入っていくのです。他には・・・1フレーズがどこまで続いてその山はどこにあるかと考えたり、対位法的に書かれているところを各パートに分けて弾いてみたりすると、不思議と今までと違って聴こえてくる。そんな風に1つまた1つと確信が持てると、そこで初めて他の人はどう弾くんだろう?と音源を聴く気になります。自分でどう弾くかが固まってから聴く事の方が断然多いです(自分で演奏する曲の音源は自然と弾き方が移ってしまうので、普通あまり聴きませんが)。家で全プログラムの通し練習を始め、ホールなど広いところをお借りしてさらうようになれば、録音を聴く時間も、聴いて気付いたところを直すための練習時間も必要になります。文献もゆっくり読みたい。心のゆとりも必要だから山ほど寝たい。・・・うわ、ないものねだりっ。

さて、話変わって・・・

靴のヒールのすり減りが私の場合半端でないので、よく修理に出します。元々は何でも物持ちの良いタチ。子供の頃から人並み外れて足が大きく、普通のお店ではサイズがなくて(今はそこそこみかけるようになりましたが)、だからこそやっと見つけた特大サイズ、大切にしています。右のヒールの減りが早いのはペダルを踏むせいですが、数日前も案の定まずい事になっていたので、いつもお願いする靴屋さんに持って行きました。受け取りに行ったら「一体何したの?」と。なんとヒールと本体をつなぐ(?)ための釘が折れていたそうです。長年修理されていてもこんなのは初めてで、たまげたそうな。でも思い当たるのはペダルだけ。確かに相当な重さ(圧力?)がかかっているはずだけど、釘が折れる程?歯ぎしりならぬ足ぎしりでもしているのか・・・気をつけなくちゃ。

学校へ行く日はいつも早起きですが、明日は更に早い。みっちりぎゅぎゅぎゅの1日になりそうな予感。でも自分の楽譜は持って行って、5分の隙間時間にでも絶対にさらうぞ・・・。



2010年5月17日(月)             「ベスト3」

気持ちのいい季節となりました。例年より1カ月程遅れて、ぼゎぼゎに生い茂った羽衣ジャスミンが満開になり、いい香りを放っています。今の時期、夜中に一瞬外に出て静けさの中、その香りに浸っているとホッとするのです。

曲目解説をどうにかこうにか書き終えたのは1週間前の事。いつもの事ながら本当に大変でした。今やっと、いろいろな事を振り切ってピアノに向かえるようになったところ。それでもやっぱり何もかもを振り切る事はできなくて、自分と外界(?)との間を行ったり来たり、そのせめぎ合いの中で生活しています。それはともかく、なぜそこまでこだわって書くか。プログラムの限られた紙面の中に収めるには字数制限がある訳で、重要な事を選んで書こうと思えばこそ、全体を理解していなければならないのです。そして書き始めれば、切り詰めてゆくほどに箇条書きをつなげたような文章になり、話の展開がなんとまぁ強引な・・・というところでまた行き詰まる。でもそこまで考えて文章にすれば、どう弾くか、どのように本番に向かうか、自分とどのように向かい合うか、それら全てがおのずと定まってくると言う事で、書き終えると不思議とピアノに向かうのに迷いがなくなるのです。

同時進行できない不器用な性格ゆえ、書いている間はピアノを弾く事もままならない。もちろん弾けない訳ではないけど、脳味噌は文章にとられているので殆ど上の空。でも弾いてみての実感もなければ本当のところは書けないので、ある程度弾けた頃に書く羽目になる。したがって例年、一番ゆっくり弾く時間が取れそうな連休にパソコンと文献に向かう事となるのです。さすがに今回は文章アレルギーになり、ひとりごともどうしても書く気が起きず・・・そんな訳でしばらくは大した事が書けません。ごめんなさい。

今回選んだ作曲家、バッハ、シューマン、ブラームスは私の好きな作曲家ベスト3と言っても良い位で(バッハは中でも別格ですが)、この方々の作品は今まで何曲もリサイタルでとりあげています。曲目解説書いた時の気分を思い出そうと、今まで16回分のプログラムを(お店を?)広げました。それを見ながら、今更のようによくここまで続いたなぁとか、よくここまで書けたもんだとか、人ごとのように思ったのです。バッハ、シューマン、ブラームスのどれかを弾いた回のプログラムを抜きだしたら手元にはわずか4回分しか残らなかった。つまり12回はその3人どれかの作品は必ず弾いているのです。ちなみに残った4回分を見ていたら、その中にモーツァルトかシューベルトが必ず入っている事にも気付きました。つまり、今まで弾いてきた回数の多いベスト3が今回弾くお三方、ベスト5といえば次のお二方なのでしょう。

10回目を迎えた時の事を昨日のようにはっきりと覚えています。それから今までが本当にあっという間。最近は年に数回のようにさえ感じます。今は本当にいっぱいいっぱい。リサイタルがあるからといって学校は休めないし、ふと我に返って素の自分に戻る余裕もない。こんな風に弾きたいと思う演奏の確固たるイメージが浮かんできたら、それに対してどんな練習をし、どのように自分に向かうか、日々何をすべきかも見えています。それを着実に行動に移すだけで瞬く間に時が過ぎていくだろうし、こんな貴重な機会を目の前にしておたおたしていられないと思う自分もいます。

一晩の演奏会、1時間半を独りで弾く事、その重みは年とともにずっしり感じるようになってきています。わざわざ足をお運び下さる方々、また都合がつかない中励ましのお手紙やメールを下さった方々、心から感謝しています。その気持ちを忘れずに、当日舞台に上がりたいと思います。お時間ありましたらぜひ聴きにいらして下さい。

とは言っても現実問題。学校へ行く日は、本来のレッスンや授業以外にもいろいろあり、終日びっしりです。そんな中で頭と気持ちをどこまで持続させられるか、自分を強く強く持たなければ。

学校でホッとするところは、学園内のあちこちに見られる小さな「自然」。新緑の中を吹きぬける風が気持ちいい。竹やぶの竹の子は天に向かってにょっきりと伸びました。早々と菖蒲も咲きだしています。今はバラがとても綺麗です。花壇の花々の中にひそかに混ぜて植えられているハーブを探し出すのも楽しみ。タイムはいい香り・・・。



2010年5月5日(水)              「探し物」

連休は気持ちよいお天気が、よくまぁここまで・・・というほど続きました。正に「帳消し」。

毎年連休と言えば曲目解説の締め切りが迫っているので、山のように積まれた文献に囲まれ、パソコンに向かったまま過ごすのが定石。エンジンがかかるのが遅い年は(今年も)御案内状書きがここまでずれ込みます。と言う訳でちっとも連休っぽくないのですが、学校の事をしばし忘れ、この気持ちのよい季節を実感できるだけで充分お休みなのです。明るい光が差し込む中でピアノをさらえる事も、夕暮れ時だんだん暗くなるのを見ながらぼぉっとする事も、夜中、花々の気配と香りを感じに外へ出る事も。普段、遅くに帰宅して追われるようにご飯食べてお風呂に入り、それから明日(というか今日)の準備をして丑三つ時に寝る、という生活をしていると、そんな事はとてもままならないので。

何にも邪魔されない夜中は突如がががとエンジンがかかるのですが、早く終わらせないと寝られないってアタフタするのも嫌で、最近は時間を気にするのを止めました。眠くなれば嫌でも寝るのだから。

・・・という訳でエンジンがかかったある夜。家にある資料やCDをかき集め、さぁ気合を入れて曲目解説を書かなきゃと思ったところ、昨年のリサイタルを録音したCD-Rがない事に気付きました。いつも決まった場所に置くので「ここ」にないはずはない。最後に触ったのは半年以上前だけど、どうして?思いあたる場所をあちこち探しました。データ用のCD-Rと間違えて片づけた?とか、いやいやどこかの封筒に入れっぱなし?とか。実はまだ聴いていないのです。終わってすぐ聴く勇気はないものの、いくらなんでも秋までにいつもは聴くのですが、今回はなぜか聴かないまま。聴かない内に無くすなんて。いや家のどこかにあるはず、神隠し?とか訳分からないまま必死に探し、かれこれ1時間以上・・・。

・・・あったー!全くとんでもないところにありました。グリーティング・カードや切手、一筆箋などまとめてあるところに。良かった〜。平均律1巻全曲をあのように再度弾けと言われても、「無理」とは言わないものの「難しい」から。本当に心からホッとしました。ある日の明け方の一騒動・・・。

今日は子供の日。近所のお家のベランダに鯉のぼりが飾ってあるのを発見。最近あまり見かけなくなっただけに、何だかちょっと嬉しくなりました。

さ、明日からまた学校だ・・・。


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