ひとりごと(2008年12月分)

2008年12月30日(火)          「1つ1つ」

今日は年の瀬とは思えぬ暖かさ・・・水が冷たくないので、大掃除(というほどの事はしていないけど)が楽でした。そう言えば、指先のかち割れが未だ生じていない。この季節にしては初めての事です。

昨日で仕事納めでしたが、この数日は半端でなく大変でした。朝早いし、弾かなくてはならない曲の数が多い、おまけに(私にとっては)前代未聞の信じられないほど手こずる現代曲があり・・・そして年明け早々のスケジュールを組んでみたところ、まともに考えたら「・・・」という状況でした(こんな時は何も考えずに行動するに限る)。

新年、大学はなんと5日から授業開始(高校は1週遅れ)。今年度から半期15回になった事によるもので、これは想定外。という訳で、仕事始めは3日から・・・。ま、そのあたりの事は来年になったら追々書いていくかと思います。

さて、この1年を振り返ってみて思う事。と言っても「1日1日を精一杯生きていったら1年が経っていた」という感じで・・・。最近、学校を卒業したての頃をふと思い出す時があります。フリーランスとして、頂いたお仕事1つ1つを大切にやらせて頂いていたら、それがいつしか今につながっていました。前回も書きましたが、こういう時代に自分の好きな事を職業にできるだけでも本当に幸せな事。でもこれは自分の思い通りになるものではなく、たくさんの方々やいろいろな事にタイミングよく巡り合え、そして恵まれた事によるもので、心より感謝しています。卒業する時、将来がどうなるかなんてある程度は思い描いたものの、そこまで深く考えた事はなかった(考えてどうにかなるものでもないけれど)。つくづく運がよかったと思うのです・・・。

というところで、前回書いた「人にはそれぞれ自分を活かせる場所があり、そこでよい働きをすればよい」につながってくるのです。今、やるべき事とやりたい事全てができなくなってきたのは仕方ないとしても、ほどほどに適当にこなすなんて事は絶対にしたくない。ピアノを弾いていくにあたって、そして音楽を仕事として続けてゆくにあたって、与えられた「この場所」で自分の信じるところ、譲れないところを何とか貫き、できるだけの「働き」をしていきたいと思いつつ、この年末年始も過ぎてゆく気がします。

皆さまもよいお年をお迎え下さい。世界中のどこであっても、人々が希望を持って新年を迎えられる事を心より祈りつつ・・・。



2008年12月27日(土)          「居場所」

つい最近満月を見たと思ったら、もう新月。そしてもうあと数日で今年も終わります。授業期間が終わってホッとしたのも束の間、続いて冬期講習があり、今月バタバタしていてほとんどできなかったプライベートのレッスンをし、「あぁこれから1年中で一番追われる季節がやってくる」、今はそんな気分です。

ニュースや新聞で「この1年を振り返って」特集が組まれるようになり、この1年の反省や来たる年への抱負など頭に浮かばない訳でもないですが、ちょっと今は余裕がなくて(できたら)次回に。その代わりに、この1年、いろいろな方々がおっしゃっていた事、私に言われた事、強く印象に残っている言葉を。

1つは「人にはそれぞれ自分を活かせる場所があり、そこでよい働きをすればよい」という事(何人かの方がおっしゃった事で、それぞれの方々の言い回しは微妙に違いましたが)。いろいろな事が分かってくればくるほど自分も少しずつみえてくる、勉強すべき事が増えてくる、迷いも大きくなる、なのに時間はどんどん足りなくなり、無理もきかなくなってくる。そんな事を思ってはしょっちゅうがんじがらめになるのですが、そんな時に救われた一言でした。「よくも悪くもそれは個性でしょ」と言って頂けた事もありがたかったです。もう1つ。「信頼こそが大切」と言いきった方が周りにたくさんいました。それは私も最も大事にしている事ですが、日常生活でそれを改めて自分に問いかけてみるような事が今年何回もありました。友人知人に久しぶりに会った折、偶然そういう話題になる事がよくあり、実は皆同じような事を考えているんだ・・・と。当たり前の事のはずなのに、それを聞いてなぜかホッとしたのを覚えています。

クリスマスの飾り付けをしまい、必死で年賀状を書いていたのが数か月前のようで、本当にこの1年はあっという間でした。世間では暗いニュース、悲しいニュースが多かった気がしますが、何はともあれ居場所があり、先生や友人知人など助けて下さる方々に恵まれ、自分のやりたい事ができ、健康でいられ・・・この状況でピアノが弾ける事に感謝あるのみです。ただその中で何ができたか、これから何をすべきか、考える事はいろいろあり、そして年頭に立てた目標「自分のためにピアノを弾こう」が全然達せられなかった事に反省・・・。

仕事納めまでまだもうちょっと。これから大変な曲をさらいます・・・。



2008年12月22日(月)          「イメージ」

昨日は冬至のはずでしたが・・・あまりの暖かさに柚子湯にするのを忘れました。夜中なのに15度越えた暖かさって・・・変。

いつしかドビュッシー公演も三島と東京、終わっています。三島では雨の中、東京では春一番のごとき(?)生暖かい風がびぅびぅ吹く中、大勢のお客様が年の瀬のお忙しい中、いらして下さいました。本当にありがとうございました。

ドビュッシーは天才だと前回書きました。西洋音楽史の中で大きな影響力をもつ作曲家を3人だけ挙げるとしたら、J.S.バッハ、そしてドビュッシーは絶対に外せない気がします。これは独断と偏見ではなく、誰もが多分同意して下さるのではないかと思います(3人目はちょっと難しいけれど)。もちろんどの作曲家にも誰もが真似できない強い個性が備わっていて、一人一人に素晴らしい作品が遺されており、それはかけがえのない文化遺産だと思っているからこそ、3人だけ挙げさせて頂くなんてとても失礼な事なのですが・・・。

ドビュッシーのどこがすごいか、書き出したらキリがないのですが、昨日演奏していて思った事を1つだけ。音の1つ1つにちゃんとイメージが浮かぶのですが、それは私個人のイメージというよりは恐らく作曲者自身がイメージしていたもので、その源はいずれも自然界にあるような気がします。ちょっと思い出してみても例えば風のざわめき、静かな水面に何かが落ちて波紋が広がっていく様子、稲妻の光とか、そして響きそのものの温もりや冷たさまでもが楽譜から伝わってきます。

以上のような事は昔、ドビュッシーのプレリュードを勉強した時、強く感じた事でした。プレリュードの場合、曲の末尾に控え目に書かれたタイトルがいろいろイメージを掻き立ててくれるのですが、今回のソナタはタイトルも何もないのに関わらずちゃんとイメージできるのです。譜面からそこまで伝えられる作品が書けるって・・・?

両公演とも、いつもお世話になっている調律師さんがピアノをすばらしい状態に仕上げて下さって、何の不安も障害もなくいろいろな響きを探しながら本番楽しんで弾く事ができました。当然2公演とも全く違った演奏となりましたが、「結果的に違ったものになった」というよりは「1回目を踏まえて2回目は更なる表現を探してみた」という方が近いかも。

今回のプログラムの中ではピアノ・トリオのみがごくごく若い時の作品で、これだけ全然傾向が違い、アプローチの仕方も全く変えて弾きました。音のイメージを探して響きを組み立ててゆくというよりは、曲の構成を考えてその流れからどう持ってゆくかを重要視。かえって響きを小細工したりするとこの作品の持ち味が失われるような気がして、例えば弱音でもソフトペダルを使って音色そのものを変えたりはせず、指だけで音量をコントロールしたり・・・なんて事も思いつきで試してみました。

だんだん何を書いているか分からなくなってきたのでこの辺で止めておきますが、この1人の作曲家シリーズ(プログラムを決めているのは伊賀さん青木くんですが)、とても勉強になります。久しぶりにまたドビュッシーのピアノ曲、弾きたくなってきました。

近々詳細をアップできるかと思いますが、次の演奏会もフランスもののお手伝いをさせて頂きます。なぜか続く時は続く・・・。



2008年12月12日(金)          「晩白柚」

またもやお久しぶりです。今週頭は八代へ行っていました。

北へ行った1週間後に南へ。普段こんなに移動する事はまずないので、今は時間感覚や位置感覚(?)がどうかしている感じです。となると、明後日の三島はもう通勤圏みたいに思えてきてしまう〜。

八代は、以前CDでご一緒させて頂いた荒牧さんの伴奏でした。日本歌曲、クリスマス関連の曲(メサイアからオー・ホーリー・ナイトに至るまで)、そしてオペラのアリアや歌曲もあり、結構盛りだくさんのプログラム。このコンサートは八代の皆さんの熱意によって企画され、合唱や短いミュージカルなども演奏されました。先日の札幌のコンサートもそうでしたが、出演者とスタッフの方々、そしてお客様の想いが私達にも伝わってくるようなすばらしいものとなり、「音楽の原点はここにあり」と改めて感じたひとときでした。

今回もスケジュールは札幌同様にきちきちで、前日夜に着き、当日はリハと本番、翌日は朝一の便に乗り、昼から大学に戻りました。室内楽の試験が今週なので別の日の補講にできず、普段3時4時まで起きている事が多い私が何と4時半起き、6時前のバスで熊本空港へ向かう羽目になりました。起きる事自体は何ともなかったのですが、バスに揺られる内に熟睡・・・のはずが目が覚めました。東の空のグラデーションが美しくて。熊本に来た時は夜で、バスの道中「やっぱり夜は闇に限る」なんて納得。そんな状況だったので気付かなかったけれど、空港から阿蘇の山並みが間近に見えるのです(帰ってきてから調べました・・・多分そうだと思う)。空港に到着した時はそろそろ山の端から日が昇りそう?ご来光を眺めようとしばらく待っていたものの現れず・・・諦めてお土産を物色し、保安検査場に向かったら、東の空がオレンジ色とも藤色とも何とも言えない淡い色に染まっていました。そしてその下には阿蘇の雄大な山々。幻想的な風景でした。早起きとこれから始まる長い長い1日を帳消しにするのに十分すぎるほど・・・。

観光できないとなるとせめてお土産でも、と思うもの。北海道は本当に久しぶりなので、前もってチェックをしていたものを重い思いをしてたくさん買って来ましたが、今回は学校に直行するので、生ものも大きいものも重いものも無理で諦めました。 しかし今日のお月さま、まるで晩白柚みたいな色と大きさに見え(そろそろ満月?)、ふと、生の晩白柚欲しかったかも・・・なんて頭をよぎりました。晩白柚(ばんぺいゆ)、八代の特産品で世界最大級の柑橘類とか聞きました。空港のお土産屋さんにあったのはスイカ大、持ってみたら重かった。皮の砂糖煮(以前書きました)も作りたいし、柑橘の香りも好きだし、酸っぱい果物も好きだし・・・今度行く機会があったら絶対に買おうと思っているのです。お土産に晩白柚を使ったお菓子をいくつか頂きましたが、やはり私の好きな味でした。

学校の仕事はいつも通りの中、ホールをお借りしてリハーサルをしたり、丸1日かけて室内楽の試験を聴いたり・・・という感じでこのところ家に居られる時間がなく、夜中に必死でさらっています。室内楽ドビュッシー公演についても未だ書けなくて・・・晩年の傑作「チェロ・ソナタ」と「ヴァイオリン・ソナタ」を弾いていると、やはりドビュッシーは天才だとつくづく思います。ソナタという形式をここで敢えて使っておきながら、変幻自在という言葉がぴったり。「古代のエピグラフ」はもともと連弾用の作品ですが、ほとんど音を変える事無く、ピアノ・トリオの編成で演奏してみます。先のソナタ2曲が「動」だとすると、こちらは正に「静」。なぜか幽玄の美というイメージが浮かびます。「ピアノ・トリオ」は割と最近発見されたばかりのごくごく初期の作品・・・私も実は存在そのものを知りませんでした。同一人物の作とは到底思えない位だけど、いろいろなところに初々しさが溢れています。・・・というよりどりみどりのドビュッシーづくめの一夜、14日に三島、21日に東京公演です。お時間おありでしたらぜひお出かけ下さい。

年の瀬だというのに、実感が全く全くない今日この頃。海外宛のクリスマスカード、早く書かなきゃ・・・。


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