ひとりごと(2007年1月分)

2007年1月31日(水)        「朝ご飯」

街の中で甘酸っぱい香り。探してみたら、その出所は梅の花でした。しかしこんなに暖かくて地球は大丈夫・・・?

早いもので、明日はもう2月。頑張りどころは、残りちょうど半月。学生さんに聞いてみれば、学科試験も終わって残るは実技試験、そろそろ自分のペースで練習に集中できるというところらしいのですが、こちらはそうでもないのです。曲目が多くて大変な院生の試験は終わったのでホッとしていますが、学部生はこれからなので叱咤激励の補講をし、高校生はまだ通常レッスン、3年生は一足早くに済んで羽を伸ばしたがっています。高校のリーディング(初見)とアンサンブルの授業の試験も、3年生から順番に始まっています。それとは別に学部の実技試験の伴奏のお手伝いもしているので、その為の合わせをし、レッスンについていき、おさらい会と試験本番で伴奏します。どれもこれもが時間が決まっているものなので、いつも時計を見つつ時間に追われる日々・・・。

ま、こういう話はさておき、何がわびしいかというと食事。ゆっくり食べに出る時間もとれず、学校に来るのは朝早いのでお店も開いていず、徹底的にコンビニにお世話になっています。でも毎日の事なので正直飽きてくるのも事実。疲れてくるとのどを通らなくなってくるし、何を食べたいかも思い浮かばなくなってくるので、お休みになったらしたい事は何かを作って食べる事だったりします。

そんな大したものは作っていないのですが、最近作った中で変わったものは「クーブイリチー」。沖縄料理で、細切りにした昆布と豚の三枚肉の煮物と言えばいいでしょうか。ご興味おありでしたら、ぜひネットでレシピを検索してみて下さい。沖縄料理を食べに行く時は絶対に注文するのですが、作るのは今回が初めて。食欲がない時に「何が食べたいんだろう?」と自問自答していたらこれが浮かんだので、細切り昆布だけは前もって用意しておきました。でもレシピを探して気付いたのは、これに干し椎茸やかまぼこ、こんにゃくや人参などが加わるいろいろなレシピがあった事。いつも「美味し〜い」と思いつつ漠然と食べていたので、そんなにいろいろ入っていたとは気付きませんでした。結局三枚肉がなかったので普通の豚肉、あと干し椎茸のみでとりあえず作ってみましたが、まぁまぁの味にできました。でも脂の多い三枚肉の方が絶対にあの味に近づけるはず。今度作る時は材料揃えなければ。

食べたくなるのは、体に現在欠乏しているもの。その時によってそれはお肉だったり野菜だったり甘いものだったりしますが、今は根菜とか昆布わかめとか・・・。それにしてもやっぱり昆布は美味しい。昆布を主役にした料理があるというのも、さすが沖縄と思います。

もう一つ、食事でこだわっている事は「朝ご飯は抜かない」。昼は時間がなくて時折抜けたり、食べられても軽食程度という事はあるけれど、朝食べないで出てくる事は絶対無いです。帰りが遅いと夜ご飯も遅いし、おまけに宵っ張りだったりするので朝胃が疲れている時もあるけれど、お茶漬けさらさらでも必ず何かしら食べています。それで体と頭が何とか目覚めてくる感じ。

そう言えば昔は朝が大の苦手だった私も、今は毎日早起きがちゃんと出来ています。なんて油断すると今朝寝坊するかも。今日は「3段譜のあの曲」(1月4日の「弾き初め」をご覧下さい)、おさらい会で弾く事になっています・・・。




2007年1月22日(月)        「髪」

長らくご無沙汰しております。新年明けたのはいったいいつ?と思わされるような昨今の状況・・・学校は試験シーズンで、今が正に佳境です。

こうなる、つまりこのひとりごとが全く更新できなくなるのは分かっていたので、年末年始にあれだけ頑張って更新してみました。あのように時間がある時は別に「頑張る」という意識もなく、ふと頭に浮かんだ事を書いてみようとも思えるのですが、生活に余裕がないというのはこういう事をいうのですね。言葉を見つけられないという感じです。

いつの間にか髪がかなり伸びました。美容師さんがびっくりするほど伸びるのが早いらしいのですが、髪って不思議と、ある長さを超えるとある日突然何かとまとわりつくようになるのです。あぁそろそろ切り時かなと実感、しかしなかなか切りに行く時間もない・・・。

パソコンの起動に時間がかかるので開けられない日も実は多く、開けたら開けたで迷惑メールの処理に追われます。

お風呂に入ったらいつの間にか寝ている事がある。あれ?どうしてこんな時間?と思って気がつく始末です。

帰宅して寝るまでに、翌日の準備、練習などをきちきちの状態でするのですが、1回電気をつけたままうっかりうたた寝をしてしまった事がありました。ハタと起きたのは本来起きるべき時刻。とりあえず必要と思われる楽譜と資料を持って出て、ふぅ何とか授業に間に合う〜と思ったのもつかの間、車両故障で電車が遅延・・・あわてて車内からメールを送りまくり、お昼を買う暇もなかったなんて事もありました(何とかぎりぎりで間に合いました)。

お陰様でかろうじて体の方はもっています。1度ついに風邪をひくかも・・・という危機がありましたが、熱〜いジンジャーミルクティを飲んで、ちゃんちゃんこを着て首元にタオルを巻いてむくむくに着こんで眠ったら、何とかひかずに乗り切れました。一番恐れているのはこれなのです。

しかし今は本番が多い。聴く本番(試験)と弾く本番(伴奏)、1日の間にいくつも重なります。聴くにしても弾くにしても心臓に悪いのは事実。


そんな中、春は一歩一歩近づいて来ています。日が暮れるのが少しずつ遅くなっています。暖冬のせいもあるかもしれないけれど、秋に植えた球根や花木の芽が大きく膨らんでいます。

先週咲き出したブルームーン(青バラ、レモンのような爽やかな香りがします)、朝は慌しく夜は遅いので気にしつつも見られず、1週間ぶりにやっとご対面しました。これだけお天気が荒れた後だからもう散ってしまっただろうか・・・?と恐る恐る見に行ったら、健気に咲いていてホッ。確か11月末頃についたつぼみです。2ヶ月もつぼみのまま咲くチャンスを待っていたのですね。

特に変わった出来事もなく日々は過ぎて行き、そしてこの慌しさに追われる内にいつしか春はやってくる。しかし新年の抱負はどこへやら、どうしても自分のためにピアノを弾きたい。3月はレコーディングです・・・。




2007年1月4日(木)         「弾き初め」

お休みも終わってしまい、今日から仕事始めです。

新年早々とにかくよく眠りました。学校の事もすっかり昨年に置き去りにしたまま忘れています。という訳で、疲れは大体取れました。ただ引っかかるのは、最近何かで目にした「寝だめは体に悪い、あくまでも規則正しい生活を」という記事。時間が足りなければ睡眠を削る、疲れて仕方がなかったらあっさり諦めて寝る(とできない時もあるけれど)。こんな無茶苦茶なやり方をいつもしているので、それを言われると弱い・・・。

友人のお弟子さんの発表会、そして学内のおさらい会や試験、2月の田島さんのリサイタルと、今さらわなければならない30曲の伴奏譜がピアノの上に山積み。既に弾いた事があるものが多く、年間何回も弾く曲もいくらかあるので(その楽器にとってのスタンダードなレパートリー以外に、何故かはやりすたりもあるような気がする)、今回全く初めての4曲が鬼門です。当面は家でゆっくりピアノに向かう時間は取れないと思うので、昨日はじっくり練習しました。こんな日は「職業=ピアニストって感じ」、なんて言ったら怒られるか笑われるかどっち?でもいつもは学校でレッスンし、それ以外は合わせをしている事が多いので、毎日きちんと時間をとって練習するよりは、何とかひねり出した時間に集中して練習するのが実態なのです。

暮れに聴いていたコンクールの影響もあって、ショパンやリストのエチュードなどを久々に弾いてみました。当たり前ながら難しい・・・テクニックも音楽も。コンクールで鮮やかに弾ききっていた10代のピアニストには到底かないません。でも20ん年も弾いていると(正確には「たまに思い出したように弾いてみると」)カタツムリの歩み程度の進歩はあるようで、昔ほど疲れなくなったとか、昔はどうにも弾けなかったところが何とか弾けるようになったとか、変化がみられるのです。思うに、恐らく昔はとんでもない無駄な力が入っていたのではないかと・・・。

ところでソロ曲と違って、合わせもののピアノ・パートの(初めての合わせに臨む前の)練習は、何と言うかあまり練習っぽくないのです。そもそも「合わせてなんぼ」なので(?)、一人で弾いてみても全く格好がつかない。相手のある事なのでどんな風に弾くかは決めず、実際合わせた時にどうにでも動けるようほどほどにしておく。こんな訳で実際一人で前もってしておく事は、ちゃんと弾けるように譜読み、だけどちゃんとちゃんと曲の事を理解している譜読み。相手のパートがどうなっているか、どの部分でどちらが音楽的主導権を握るか、合いにくい部分でのきっかけとなる音や休符、リズムパターンは何か、全体の構成がどうなっているか、どんな解釈が考えられるか・・・。

今回初めての曲の1つが、「これだけはできたら避けて通りたい」と密かに思っていた曲。作品としては不思議な雰囲気が漂って決して嫌いではないのですが、楽譜を見なくとも、譜読みも合わせも最大級に大変なのが分かるのです。実際楽譜をもらった時点で「え・・・」と絶句し、譜読みした時に「うひゃ」と驚き、初合わせで「びぇ〜ん」と泣きが入りました。何としてでもこの休み中に弾けるようにしないと・・・。

初合わせでは本当に弾くだけで大変で、いつもは必ずしてある曲の分析が全然出来ていなかったのです。なのでとりあえずは何形式で、大事なモチーフ(テーマ)はどれで・・・と楽譜の上で探し始めたら、「どうしてこういう和音にリズムなの?」と理解できなかった音の並びの意味が見えてきました!納得すれば、何故か手もその音めがけて動くようになるのです。謎が解けて、なんてよく書かれているんだろうと思えばこそ、練習する気も(前より)おきてくる。・・・という訳で結論、「曲の分析は大切」。

さてこの曲、「全曲にわたりピアノ・パートが3段譜で書かれているあの曲」と言えば、これを読んでくれているサックスの学生さんには・・・分かるでしょう?いやはや、巷でもよく言われていますが、サックスの作品には弾くのがめちゃくちゃややこしいものが多く、今もってお陰様でソルフェージュ能力は磨かれ続けています(?)。

話戻して、「あまり練習っぽくない」理由。そんな風に分析したり、分からないフランス語の辞書を引いたり、音源聴いたり、つまりはピアノを弾いている時間より考えている時間が多いから(もちろん、曲に取り組む初期段階なので)。まぁ練習といってもいつもピアノをひたすら弾いている訳ではないのです。ソロの曲をこんな風に?あんな風に?どんな風に弾いてみようかな?とあれこれ試して弾いているような時、そんな時の「弾く練習」は全く別の面白さがあります。

以上、2007年の弾き初めでした・・・。



2007年1月1日(月)         「2007新年のご挨拶」

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。この1年が幸せに過ごせますように、心よりお祈り申し上げます。

さて、前回敢えて書かなかった2007年の抱負。地に足のついた生活をし、その中で自分に嘘をつかないよう無理をしないよう誠実に音楽に向かい合いたい、というところ。ささやか過ぎる抱負ですが、それ位この2年はバタバタしていたという訳で・・・。

暮れはぼぉっとして疲れが取れてから最低限必要な分だけ掃除をし、その後浜松国際ピアノコンクールのストリーミング配信をずっと聴いていました。学生さんには11月のコンクール期間中に、「勉強になるからぜひとも聴くように」と伝えてありましたが、かく言う私の方が全く聴けなかったのです。配信が12月31日で終わりになる事もあり、やっと今頃気持ちの余裕もできたので、今更ながらまとめ聴き。いやぁ面白かったです。

昔むかし、東京でも「日本国際音楽コンクール」という、ピアノとヴァイオリンの2つの部門のある国際コンクールが開催されていました。財源難のため中止となったそうですが、学生の頃は聴きに東京文化会館に通った思い出のコンクールです。通し券を買って、授業がある時以外はいつもホールに入り浸り(もちろんずっと聴いています)、時にはお気に入りのピアニストを見つけては制服姿のままサインをもらった覚えがあります。学校の試験や国内のコンクールなども好きでよく聴いていましたが、やはり国際コンクールは面白さが全然違うのです。今まで聴いた事がないさまざまな演奏のスタイルがあり、そこには個性や性格、お国柄などが見え隠れし、また選曲にもコンセプトが感じられ、とにかく驚かされる事ばかり。いろいろな曲を聴いて覚えたのもこのお陰。印象に刻み付けられているピアニストは、その人の名前も弾いた曲も、演奏そのものも今鮮やかに思い出せます。

久しぶりに聴いて思ったのは、時代が変わったという事。国際コンクールをいろいろ聴いている訳ではないのでよくは分かりませんが、昔に比べてテクニックの進歩が目覚しく、若い人たち(10代がごろごろ)が難曲を何とやすやすと弾きこなしてしまう事か・・・信じられない位です。音もきれいでいろいろな音色を巧みに使い分け、そして選曲の傾向も随分変わりました。何も考えず「いい演奏だなぁ」「上手いなぁ」と聴いていましたが、ハタと「これって・・・?」。我に返って自分で弾いた時を思い起こしてみれば、あまりにも凄過ぎてあっけに取られるだけ。でも今からこんなに弾けるのならその後どうするの?なんて、ふと思ってしまいました・・・。

というような事をちょこっと思ったりもしましたが、ぐっと惹きつけられたまま何時間も聴き続けたのは事実。久しぶりに純粋にピアノの演奏を楽しんだ気がします。時間が許すなら10数日分全て聴いてみたかった〜残念。もっとキャリアを積んだらいつか来日して、再び演奏を聴かせてほしいものですね。

コンクールを聴いていたのもあって、「今年は自分のためにピアノを弾く時間を増やせるよう頑張ってみよう」と決心。しかしどこまで実現するか・・・。


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