ひとりごと(2005年3月分)

2005年3月31日(木)     「やっと数輪」

今週はまるまる1週間、講習会の伴奏で缶詰になっています。日曜の晩に1週間のスケジュールと伴奏する予定の曲目一覧が届きました。こんなに急なのは諸事情あっての事ですが、それで今までの春休みモードから一気に仕事モードにスイッチオン。3日間過ぎてやっと半分弱終わったところですが、さすがにキツイ・・・。

いつも尋ねられて思うのは、この仕事の内容を分かりやすく説明するのは非常に難しいという事。きっと誰でも自分の仕事について説明するのは難しいとは思いますが、今はとても無理なので講習会が終わった頃にちゃんと書くつもりです。一言でまとめると「体も頭も心も使うし、持久力も瞬発力もいる仕事」かな?今同じ仕事をしているピアニスト仲間は多分、「そうそう」って頷いてくれる筈・・・と思います。

体がキツイ時にいつもお世話になっていたマッサージの先生がこの度開業されるそうで、東京の治療院を辞めて故郷へ帰られます。今まで何人もの先生にお世話になりましたが、この先生にはかれこれ4〜5年に渡って診て頂いていました。おめでたい事だけどちょっと心許ない気分。腕の有る方でしたがそれだけではなく、この先生が診て下さるという安心感があったからこそ、今まで相当な無理もできたと思っています。地元でもその温かいお人柄で、沢山の患者さんを癒してほしいと願っています。

朝に出て夜に帰る生活となってから、時間の進み方も自分の目に映る風景も何となく変わって見えます。そんな中見つけたもの。昨日朝、講習会の会場に向かう途中に、たった数輪花をつけた桜の樹が1本・・・。



2005年3月26日(土)     「掘り出し物」

その後、福岡の恩師の先生にお電話してみました。震度6弱の地域だったので、建物等の被害はかなりあったとの事。でも不幸中の幸いでお怪我もなかったそうで、それを聞いて本当に安心しました。いつも良く歩く天神界隈の路上にガラスの破片が散乱している様子や、玄界島での大きな被害をニュースで見ました。心が痛みます・・・一日も早い復旧を心より祈っています。

このところ、メールや電話などで「便り」がよく届きます。教えていた学生さんや時々伴奏をする学生さんから、「合格しました!」「無事卒業しました。」「進路が決まりました。」などなど。あぁもう今年もそんな季節だなぁと、感慨に浸っています。

さて、前回書いたCDの話の続き。CDショップはとても魅力的な場所ですが、私はそんなに足しげく通う方ではないのです。行ったら最後、手ぶらで帰る事はありえず、絶対何かしら見つけ出してごっそり買う筈・・・しょっちゅう行っていたら破産するでしょう。いつもは何か必要なCDがある時に行って、そのついでに掘り出し物を探す事が多いです。最近思うのは、リリースされてもすぐ廃盤になってしまう事。見つけたらすぐ買わないと次回にはもうない。そんな経験を沢山すると、出会った時に即買う習慣がつくものです。かつてそれで逃したお目当てのピアニストの演奏、歴史的録音、珍しいレパートリーの録音がどれ位ある事か・・・。

演奏家も演奏スタイルも、古きよき時代の方にずっと興味があります。今は世の中便利になり情報も多く、勉強するには断然有利、テクニック的には相当進化したといえるけど、実際は昔の演奏の方がずっと味があると思う。残念ながらもうライヴで聴く事はかなわない、そんな演奏家の録音はとても貴重。ピアノに限らず他の楽器や声楽、室内楽など、いつも真っ先に探します。

この前たまたま見つけたのは、ピヒト先生のチェンバロによるゴルトベルク変奏曲。それも最初の録音のものです。私がバッハに傾倒するきっかけとなったのが、小学生の時に初めて聴いたこの演奏のLPレコード。今も手元にありますが、なかなかCD化されず諦めていたのです。店頭でいつも見かける2回目(恐らく)に日本で録音されたものは、耳の残るあの感じとは又ちょっと違い・・・どちらも素晴らしい演奏ですが、やはり初めて聴いた時のあの鮮烈なイメージの記憶は、塗り替えられないものです。それを偶然見つけたのでびっくり!何だかドキドキしました。

その日に買ったのは全て、今は亡き大家の演奏。中にはライヴ盤も少し。こんな時はワクワクして買ってくるのですが、実際はなかなか聴けなくて積んであります。誤解がないように説明すると「聴く時間が取れない」。長い曲を細切れにして聴くのは忍びないし、そういう素晴らしい演奏はこちらも姿勢を正して真剣に聴きたい。だからまとまった時間が確保できるまでお預けにしておきます。どんなに気に入った演奏でも、何回も何回も繰り返し聴く事は今はなし。新鮮な気持ちでその印象を胸に刻み込んでおく為に。

話変わって、最近作って食べた物の話。お土産で頂いた朴葉味噌があったので、それを(炭火の網焼きでなく)ガス火のフライパンで焼きました。例年夏は飛騨高山で仕事なので、あちらに行った時も必ず食べてくるのですが、どうもあの味というかあの状態が再現できないのがもどかしいのです。朴葉の上に積み上げた(?)牛肉やネギ、きのこ類などは、ただ焼くだけではなかなか火が通らず、四苦八苦している内に焦げてきてしまう。難しい・・・。説明書に「焦げそうになったら水を足すなどして」と書いてあるのに気付き、邪道だなぁと思いつつ蒸気で火を通す作戦に出ました。フライパンの縁からはみ出る位アルミ箔を広く敷いて、その上に朴葉を敷いて具材と味噌を載せる。水を少し上から注いだら蓋をして蒸します。このやり方だと焦げ付きもせず火は早く通るけれど、せっかくの味噌が薄くなってしまう・・・。どうやったらあの状態が再現できるのだろう?やっぱり家のガス火じゃ無理?どなたかご存知でしたら教えて下さい。

菜の花スパゲッティは春にしか食べられない味。本から仕入れたレシピですが至って簡単。ニンニクとベーコンと菜の花(生)ざく切りをオリーブ油で炒め、その後固形コンソメを割って入れて少々水を足して火を通す。これだけでも美味しいけれど、普段エリンギやシメジを入れることが多いです。しっかり野菜も取れます。冬場は菜の花でなくブロッコリー。前もって茹でておいたものをみじん切りにし、同様にニンニクとベーコンで炒めるだけ。元から茹でてあるので蒸す必要はなく、ソースが出来たらパスタを入れてさっと炒めます。これは生卵を絡めても合うし、マカロニでも大丈夫。

いつもの宅配では相変わらず面白い野菜がいろいろ届きます。・・・なんて書くと、変わったものばかり送ってくる業者さんみたいに思われてしまう。種明かしすると、普通のセット以外に珍しい野菜セットもオプションで頼んでいるのです。さて、最近届いた「アピオス(アメリカホドイモ)」。親指の頭位の小さい芋ですが、朝鮮人参と同じ成分を含んでいるそうです。1日数個で充分と書いてありましたが、結構沢山食べてしまい・・・(効果はあったかな?)。これはシンプルに茹でてそのままおやつに食べています。味もなかなかグー。

実はそのホドイモ、去年届いた時にプランターに植えてみました。地中ではネックレスのように数珠繋ぎになって芋ができると書いてあったので、どうしてもそれを目で確かめたくなってしまい・・・。夏の間はツルがあちこちに絡まってぐんぐん伸びたのに、いつの間に冬になって枯れていました。思い出してそれを掘り出したら・・・なんと数珠繋ぎになった子芋が3つ!今更ながらの収穫、少ないけど何だか嬉しかった。花も綺麗と書いてあったのでそれを今年こそは見るべく、新しい親芋を4つ植えました。

大荒れのお天気も過ぎ、東京の桜の開花も予想ではそろそろの筈。待ち遠しい・・・。



2005年3月21日(月)     「めっけもの」

昨日の福岡西方沖地震、ニュースで見た天神の様子には驚きました。福岡や佐賀、長崎の恩師、友人知人の事が頭に浮かび、NTTの災害用伝言ダイヤルやドコモの災害用伝言板にアクセスしてみました。が、何も情報は無し・・・。その後しばらく経って、夜に数人の友人と連絡が取れました。大きな被害もなく大丈夫との事で一安心。しかし大変な事になっている地域もあるそうだし、余震も続いているそうなので、これ以上何も起きないで欲しいとただただ祈るばかりです・・・。

最近の近況。オーケストラの入団オーディションに伴奏でついて行きました。以前はしばしば行っていましたが、今回行くのは久し振り。オーケストラではたまに空席ができたらオーディションが行われるのですが、狭き門なので恐るべき競争率(楽器の種類にもよる)なのです。いつも思うのは、ピアニストはオーケストラの正式な団員になる事はないので、「こんな大変な思いをしないで済むのは助かる」。伴奏しながら申し訳ない位。しかしふと思い当たったのです。3年半前洗足の公募のオーディションで同じような思いをしたなぁ・・・と。そしたら、何だかとても気持ちが分かるような気がしました。それにしてもオーケストラに入るのは本当に大変!

前回の項で書いた「片付けなくてはならない雑事」が大分済んで、今更ながら練習にすんなり集中できるようになって来ました。その代わり何か大切な事をうっかり忘れているかも?という心配も起きるのです。365日、このような状況が続けばどれ位上達するだろう?でもこれができるのも今週いっぱいのみ。春休みの内だけです。

また先週はいろいろな「めっけもの」がありました。まずはCD・・・ですが、書き始めると長くなるので次回に。そして「The Owl」という名のフランスの赤ワイン。なぜか英語なのですが、直訳どおり「フクロウ」の墨絵風(でも墨色ではなくワイン色)のイラストがラベルに書いてあります。何気なくお店のワイン棚をざぁ〜っと眺めていて見つけたのですが、気負わずに飲めるリーズナブルな値段だったので、早速2本買って来ました。

・・・なぜかと言うとフクロウは特別で、学生時代の頃からいろいろ集めているからです。「知恵のシンボル」、また「不苦労」の当て字から「幸せを呼ぶ」と言われたりしていますが、それはともかくと目が大きいのがご愛嬌(実際は鼠を食べたり、可愛いだけではないのも分かっていますが)。その昔はそんなにフクロウグッズはなかったと思うのですが、最近は随分多くなりました。目に付くものを全て集めていたらキリがないので、今は可愛くてそして小さいものに出会えた時に絞っています。小さな置物、マスコット、写真集など随分集めましたが、まさかワインにもあるとは!隠れフクロウファンが実は周りにも多く、意外なところで話が弾む事も度々です。

春分の日も過ぎました。夜もじきに明けます。「夜中の余震が不安」と話していた友人がちゃんと眠れているか、ちょっと心配・・・。



2005年3月16日(水)     「段取り」

寒い日もあるものの、すっかり空が春の様相を帯びてきました。大気が霞んできて、夕暮れ時はなかなかいい色合いに染まります。一昨日の三日月も何故か綺麗な黄金色、しっかり眼に焼き付けました。そして雨で水撒きしない内にしてやられた(?)事。椿の花がいつの間にか数輪咲いていました。数日前に見た時はまだ蕾だったのに。街を歩けば懐かしい香りが鼻をくすぐります。沈丁花。秋の金木犀やこれから咲くライラックなどと並んで、大好きな香りです。

春休みの内にしなくてはならない事、手をつけ始めたらキリがない。世の中いろいろなタイプの人がいるとは思いますが、どうも私は「気になる事を全て終わらせてからでないと肝心な事に手をつけられないタイプ」のようです。気になるものがなくなれば一気に集中して取り組めるのですが、そこに行き着くまでが大変。「肝心な事から取り掛かってその他の事は忘れてしまえるタイプ」の人もいれば、「全ての事を器用に同時進行できるタイプ」の人もいますね。例えて言えば、大好物は最初に食べてしまうか、最後まで残しておくか、他のものと交互にバランスよく食べるか?そんなところでしょうか・・・?

それでも昔に比べたらかなり変わったと自分でも思います。本当に忙しい時は必要最小限の事だけに絞れるようになりました。そんな時は頭の中から雑用は全て抜け落ちている。今みたいにいくらかまだ余裕がある時は逆に、大事な事にはなかなか取り組めない。難しいものです。

学生さんに「練習しなくてはならない曲が沢山ある時は、どうやって練習すればいいんですか?」と良く尋ねられます。そんな時は「段取りをしっかり」と答えています。でも元来要領の悪い私がそう(偉そうに)言えるようになったのは最近の事。

まずは個人練習に限っての話。現在練習しなくてはならない曲は本番で弾く事が決まっているものばかりで、とりあえず練習しておくだけの曲はまずは無し。伴奏や室内楽もあればソロもあり、本番を迎えるのは数日後だったり数週間後だったり数ヵ月後だったり、又何十回となく弾いているものもあれば譜面をみるのも初めてという曲もあるのです。それら全ての曲がどれも本番の日に間に合うように、練習の計画を考えます。つまり最初に、どの曲もどれ位練習すれば舞台に乗せられるかおおよそ目星をつけるのですが、これを読み違えると非常に危険!しかも前日までの練習が間に合っても、当日弾けるかどうかは別の話というのが恐ろしいところ。日々の生活から強引にひねり出した練習時間の中、毎日練習メニューは修正しています。手こずると思っていた曲が割に早く弾けるようになって来たから、その他の曲に時間をかけよう、といった具合。練習方法も、曲に取り組み始めた頃、ある程度弾けるようになって来た頃、本番直前ではそれぞれ変わってきます。もちろん急な予定が入ったり疲れてしまったりして、練習できない時もある。だからある程度は時間的余裕をみておかなくては。

いろいろ重なる時期だと、同時進行で1曲10〜20分位の曲を20曲位は持っていたりします。初めての曲(それも近現代の複雑な曲など)は短時間でも毎日必ず触っておかないと自分の中に定着しないし、逆にまとまった時間を確保しないとできない練習というのもあります。思い浮かべるだけだとうっかり忘れる事がありえるので、練習すべき曲目はメモに書き出してピアノの横の壁に貼り、楽譜はピアノの譜面台に積んで自分にプレッシャーをかける!それでも間に合わなければ直前夜中に必死にさらう羽目に・・・ま、これができるのは楽譜を見て弾ける伴奏や室内楽だけ。ソロは・・・?そうならないように準備の段階から慎重にするだけ。それでも時々は、「ある曲を練習する事を全く忘れていて、本番当日に舞台で真っ青になっている」怖〜い夢を見ます・・・。

ただ合わせ物では個人練習がはかどっても、合わせの回数がある程度なければどうにもならない。何回も合わせていれば相手の音もよく聴けてきて、危険な箇所は減り相互の理解も深まり、音楽で会話が出来るようになるものです。それでも止む無く合わせが殆ど出来ないとしたら・・・?仮に2回しか出来ない場合、本番前日と前々日に集中して合わせるよりは、例えば1週間前と2週間前というように期間を置いた方が意味があるような気がします。やはり「熟する」までの時間は不可欠・・・これはソロの曲を仕上げるまでの行程も同様だと実感します。そんな訳で本番まで何回合わせたら仕上がるかを大体予測して、スケジュールを調整。ある時は互いの意見を尊重し合い、又ある時は互いの意見を戦わせながら音楽を創りあげてゆく。その点ピアノのソロは自分次第で練習の予定が組めるので、お気楽なものです。その代わりいつも孤独ですが・・・。



2005年3月11日(金)     「FM」

この前の暖かさに誘われたのか、いつの間にかクロッカスが花を咲かせていました。春の花の咲く頃というのは何となく嬉しいもの。ヒヤシンスも多分もうすぐです。しかし今年の杉花粉のひどさ・・・皆さん大丈夫ですか?

6月の自主リサイタルのチラシが出来上がって、昨日届きました。毎年の事ですがこの時期、インクの匂いがするチラシを手にすると気が引き締まるのです。正確には「焦り出す」・・・?リサイタルに際してのご挨拶は改めて書かせて頂くつもりです。どうぞよろしくお願い致します。

1〜2月の忙しさの中では全く気持ちも乗らなかったのですが、やっとひらめくようになりました、「料理」。ナンプラーを最近使っていないなぁと考えていたら、ふと筍の缶詰があるのに気付き、サラダを作ろうと思いました。もうちょっと待って旬の筍を茹でた方が断然美味しいけど、せっかくある缶詰も生かさないと。以前新聞で見たレシピ(筍としらたきをメインにしたサラダで、ラー油風味のドレッシング)をアレンジしました。しらたきが無かったので、食感の似ているエノキダケをゴマ油で炒めてナンプラーで香り付け。ちょっとしおれたレタスとサニーレタスが出てきたので洗ってちぎり、エノキダケと筍と混ぜて、黒ゴマと白髪ネギをトッピング。ナンプラーが効いているのでラー油を入れないドレッシングにしようと思ったものの、ちょっと間が抜けているので少々入れる。もしかしたら米酢よりレモンの方が合ったかなぁと思いつつ、でも本当はライムかな?とか考えながら味見。味はまぁまぁでしたが、ゼロから作るドレッシングの塩梅はなかなか難しい・・・。カレーも久し振りに作りました。煮込んでいる間まさかピアノを弾く訳にもいかないので、こういう時間がある時しか出来ないのです。

昔はハーブの使い方が良く分からなかったけれど、いろいろ調べたり自分で育てたりする内に何とはなしに使えるようになってきたようです。しかしエスニックの調味料はまだまだ未知の世界。以前に中華の調味料(オイスターソース、豆板醤、トウチ、蝦醤、チリソースなどなど)の小瓶のセットを頂いた事がありました。素人なりにも何とか使えないかな?と思ったのがきっかけで、分かりやすい本を探す内にエスニックの調味料全般について書いてある面白い本が見つかり、それからナンプラーなどにも挑戦しています。もちろん日本の調味料も素晴らしいと思う。他の国のものに比べて繊細な風味が大切にされているように思えるのは自国びいき?でも私にとって、美味しい醤油やお味噌は絶対に無くてはならないものです。

部屋の片づけをしていたら古いFM誌が出てきて、「懐かしいなぁ」と当時に思いを馳せました。今でこそなかなか聴けなくなってしまいましたが、本当にFM放送にはお世話になりました。その又昔、某局FMは1日の内のかなりの時間をクラシック音楽番組に充てていて、学生時代には時間が許す限りずっと流して聴いていた記憶があります。又気になる曲は殆どエアチェック(放送を録音する事)していたので、自分の聴きたい曲全てのLPレコード(!)は買えなくとも、このお陰で先入観無くさまざまな曲を知る事が出来たのだと思っています。そんな訳で凄まじい量のカセットテープが眠っていますが、これだけ時間が経ってから掘り出してみると貴重な録音がいろいろあるものです。というのは、コンサートのライヴ録音の放送も多かったので、亡くなってしまった演奏家の貴重なライヴ録音もあれば、とある演奏家のCD化されていないレパートリーもあり。珍しい曲も録っておくようにしていたので、今伴奏の仕事をしている上で音源がなくて困っている曲も偶然残っていたりして、助かっています。

選り好みもせず浴びるように音楽を聴いていた時期が自分にあった事を、こうやって思い出しました。今は仕事で1日中音楽漬けになる日も多々ありますが、この点に関しては昔に戻りたくなります・・・。



2005年3月7日(月)      「秩父のコンサート」

春気分に水を注すかの如く、また雪が降りました。いつになったら暖かくなるのやら・・・。その大雪の日は学校でコンサートがあった為、いつも使っていたレッスン室で直前の合わせをしていました。その部屋は壁一面が大きな窓となっていて、真冬はちょうどお昼から日が沈むまでさんさんと真正面から日光が差し込み、暖房を使わなくとも汗をかく位でした。その日夕方になってお天気が少し回復してから気がついた事。日差しは真正面からではなく斜から差し込むように・・・いつの間にかこんなに季節も廻ったのだなぁと、ちょっと春への希望が持てました。

さて、1週間以上経ってしまったけれど秩父のコンサートの話から。会場は秩父市の西に位置する小鹿野町の、現在は喫茶店もしくはレストランとして使われている蔵でした。またここは200年の歴史がある小鹿野歌舞伎が有名だそうで、今も町の方々総勢で創りあげられ、そして上演されているそうです。街並みも、ぜひ散歩してみたくなるような風情を感じました。

この日は家を11時に出て14時頃到着。それからじっくりとリハーサルをし、コンサートが始まったのは日がとっぷり暮れてから。お客様がすぐ目の前にいらっしゃるような状況でしたが(緊張しそう)、ヴァイオリンの田島さんは集中してトークも演奏もこなしていました。全力投球は彼女の持ち味です。1曲弾き終わるごとにお客様の「ほぉ〜」というため息も拍手と共に聞こえ、手に取るように反応が分かるのは怖くもあり嬉しくもあり・・・。アンコール・ピースは和やかな雰囲気の中、「雨の歌」はし〜んとした静けさの中で弾かせて頂け、お客様からのオーラも味方にして田島さんは「自分の言葉」を音でしゃべれたのではないでしょうか。蔵の中で演奏する初めての体験、なかなかよいものです。何故か落ち着いて弾けるようなそんな空気を肌で感じました。終演は20時過ぎ。それから着替えて帰る準備をした後、お店で出しているメニューのカレーをご馳走になりました。ご飯は赤米、ルーには野菜がほど良く溶け込み、煮込んだハンバーグも入っていてそれは美味しかったのですが、終電に乗るためにはそこを20時半に出ないとならず、何と5分でセットのサラダとコーヒーもろとも一気に食べる羽目に・・・もっとゆっくり味わいたかったのに残念!

このコンサートも町の皆さんが手作りでやっていらっしゃるシリーズだそうで、沢山のスタッフの方にお世話になりました。ありがとうございました。お客様ともスタッフの方とも距離が近いこういうコンサート、これからもずっと続けて頂きたいと思っています。

その後、先週は本番が3日間で計8曲。これでやっと伴奏、室内楽が一段落しました。ありがたい事に(珍しくも)ここまでひっきりなしでしたが、この先はちょこちょこ入っている位なので気持ちもソロ・モードに入れそう。でも自主企画の演奏会は実は練習は後回し、その前にやらなくてはならない事が沢山あるのです。他の方はどのようにこの時期を過ごされているのか、ぜひお聞きしたいものです。

3月に入ったらすぐに、大学から新年度についての通達(授業やレッスンその他諸々)が分厚い郵便にて送られてきました。やっと春休みと思っていたのに一気に慌しくなった気が・・・。4月からの日常的なスケジュールは学校次第なのです。何曜日に行く事になるのかそれまで分からず、また行事等でレッスンや授業が休みになる時もあるので。また高校のシステムは全く別なので、そちらの通達はまだかまだかと気もそぞろです。昨年から決まっているスケジュールをにらみながら、コンサートの為に休んだ分(演奏会当日以外はまず休まないのですが、さすがに自分のリサイタルの前日位は休ませてほしい)どこで補講をしようか?とか、試験前の学生さんの試演会(試験に備えての発表会みたいなもの)をいつしようか?とか、考えなければならない事が次から次へと出てきます。また学校関連のスケジュールは得てして変更が付きまとうもので、せっかく決めてもどんでん返しが新学期始まってからいろいろありそう。例年全てが落ち着くのは大体ゴールデンウィーク明けです。来年度はどんな学生さんに出会うのでしょうか・・・?




2005年3月2日(水)      「夜空」

秩父のコンサートもお陰様で無事終わりました。お忙しいところいらして下さったお客様には心より御礼申し上げます。又スタッフの方々にも大変お世話になりました。ありがとうございました。

あの日より今週にかけて本番がちょこちょこあって、一つ終わったら又次、という状況。合わせと自分の練習を繰り返している毎日です。そんな訳でなかなか更新も出来ず、また文章をまとめる事に頭がうまく働いてくれないので、このコンサートに関しては日を改めて書く事にします。

でも秩父について少しだけ。山々の風景、そして自然がとても美しいところでした。西武線に乗っていて思い出しましたが、中学生の頃遠足で芦ヶ久保、正丸や吾野のあたりは何度か来た事があります。当時は遠足と言えば山登り!私達の学年の担任の先生方は山登りがお好きな方が多く、連れられて歩いている生徒の方がひぃひぃ言っていたような感じでしたが、今思えば懐かしい・・・。コンサートが終わって帰る頃はあたりは真っ暗でしたが、暗さゆえに夜空の星がひときわ輝き、月の光に照らされて山の稜線も青白く浮かび上がって見えました。普段意識しなくなっていた「闇」を改めて実感できたひと時でした。

お土産にふき味噌を買ってきました。子供の頃には食べられなかったり、あるいは全然興味がなかったものはいろいろありますが、ふき味噌もそんな「大人の味覚」かも。春になると突然無性に食べたくなり・・・日本人でよかったです、本当に。

あっという間に2月が終わり3月となりました。生命の息吹が感じられるこの時期は大好きです。その反面、春は別れの季節。今まで関わりがあった学生さんの卒業を見届けるのはちょっと寂しくもありますが、新しい道で頑張って欲しいという思いでいっぱいです・・・。


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