ひとりごと(2005年10月分)

2005年10月31日(月)     「レモン」

久し振りの更新です。何度も何度もアクセスして下さった方には本当にごめんなさい。

昨日は3週間ぶりのオフ。特にこの半月は息をつく暇も全然なく、正直きつかった〜。1週間の半分以上が朝7〜8時に出て夜10〜11時に帰る生活でした。朝多少遅い日はあったもののよりによっていろいろ重なった為、その時間に帰った日が11日連続。生活は夜型でも、夜はゆっくり家で神経を休めていたい方なので、かなりこれが堪えました。スタミナが切れている時間が長いので家に着いた頃はクタクタで、また食事が遅いと食欲も湧かずどうしても胃が疲れます。家に居る数時間にしなくてはならない事は決まっているにもかかわらず、何も手につかずぼぉっとしている時間が流れ、どんどん寝るのが遅れる始末・・・。そんな訳で普段パソコンを開けない日は滅多に無いのですが、時折1日おきになり、またこのホームページ作成ソフトを起動する事自体ご無沙汰で、今非常に新鮮な気持ちでこれを書いています。

巷では風邪がはやっているようですが、皆さんは大丈夫ですか?今週のコンクールを控えた学生さんたちが何人も重い風邪をひき、当日までにコンディションを整えられるかな?と気になる今日この頃。皆さんには大変申し訳ないのですが、いつもは結構気にしているこのひとりごとの更新をあっさり諦めていたので(正確にはもう眠くて眠くてどうやって寝たかを覚えていない)、お陰様で私は何とか持ちこたえています。

学校での仕事と合わせ以外では、11月末の田島さんのリサイタルのプログラム全部を聴いて頂くレッスンが2回に渡ってあり、また私自身ベートーヴェンの合唱幻想曲を持ってお二人の先生のレッスンを受けてきました。ヴァイオリンの先生はドイツの音大で現在教えていらっしゃる方でしたが、音楽を愛して止まず、またご自分の今まで学んできた事全てを伝えようと、とても精力的にレッスンして下さりました。その情熱には本当に頭が下がります。週末を含む3日間は、そのヴァイオリンのレッスンの伴奏について行ったり、ピアノのレッスンをしたり、そして私自身がレッスンを受けたり・・・1日の中でも午前と午後で立場が変わり、当然気持ちも切り替えなければならないというこんな経験、滅多に出来ないもの。「レッスン」をめぐっていろいろ考えさせられましたが、とても勉強になりました。

オフは何にもしないでボーッとできるといいのですが、普段できない事を片付ける日となり、かえって慌しかったりするのが残念。一昨日1ヶ月ぶりでマッサージに行って強い治療(?)を受けたせいか、昼過ぎまでぐっすり眠れました。起きたら冷蔵庫と冷凍庫と野菜棚をざっと整理してから、ミネストローネを作りました。胃が疲れている時に思い出すのはやっぱり温かいスープ。面倒でなかなかその気になれなかったレモン絞りも完了!レモン汁は良く使うので、まとめて絞って製氷皿で凍らせて保存。コールスローのドレッシングに入れたり、風邪ひきそうな時のレモン生姜湯にも活用しています。いつも使うのは国産の青い無農薬のもの。青い内に収穫するせいか、あるいはそういう品種なのかどうかは分からないけど、その皮から発せられる香りが通常の黄色いレモンと異なり、またライムとも違う。えもいわれぬ素敵な香りがするのです。残った皮はお風呂に浮かべてリラックス。

久し振りに植木をじっくり見て回ると、いろいろ変化が起きていて「自然はすごい」。シャコバサボテンがいつの間にか蕾をつけているし、ツワブキはちょうど咲き出した頃、ライラックや山吹はもう落葉態勢に入っていました。そろそろ観葉植物や寒さに弱いものを屋内に取り込む季節。まだ暖かいから何とか青々としているバジリコも、時期をみて収穫してジェノベーゼ・ソースを仕込みたいし、秋植え球根とパンジーも植えつける時間が欲しい。

その他掃除洗濯などをしているとあっという間に1日は過ぎてしまうけれど、何時から何時まで何をするというスケジュールに追われないで過ごせるのは気楽なものです。

10月のシューベルト公演についてはやはり今日もまとめられず・・・すみません。編集後記ならぬ演奏後記として、日にちがたってもちゃんと残っているような感想、考えた事などをどうしても書こうと思っています。さもないとシューベルト氏には申し訳ないので・・・。



2005年10月20日(木)     「ブレス」

やっと!寒く(涼しく?)なりました。一昨日あたりから寒くなって、暑がりの私もついにジャケットを引っ張り出しましたが、関東をかすめた台風が去ったお陰で今日は再度暖かく(暑く?)なるようですね・・・。

16日の伊賀さん青木君の東京公演も無事終わりました。熱心に聴いて下さったお客様へ、ありがとうございました。今回の更新はこれについて書くつもりでしたが、時間的にも気持ちの上でも今全く余裕がなくて内容をまとめられないので、改めて書く事にします。

スケジュールのきつさはそんなに変わらない筈なのですが、このところは猛烈な眠気に襲われる事も多くて・・・春になると眠くなるのは分かるとして、涼しくなって体が秋仕様になったから?いろいろな事がこなせている時は寝る事を忘れて熱中できているという訳ですが、最近は無理がきかず寝てしまうのです。頭で自覚していなくても、体の方が危機を感じているのかもしれません。これ以上無理するとダウンするという警告でしょう。

何のお仕事にしても同じだとは思いますが、体調の管理にはこれでも一応気を遣っています。腱鞘炎になったとか、予期せぬスケジュールの変更、その他さまざまな事由で伴奏のピンチヒッターの仕事が舞い込んで来て、お引き受けする事も多々あります。そもそも伴奏や室内楽を仕事にしているような人は、人と合わせる事が好き=世話焼きタイプである事が多いので、そういう場面に出くわすと「何とかしなきゃ!」と思うようです。同業の先輩ピアニスト、友人ピアニスト、皆そうだし、ご多分に漏れず私もそう。逆にそういう状況でお引き受けした時の大変さを知っているが故、自分のせいで仕事に穴を空けて誰かにピンチヒッターをお頼みする事は絶対に考えられないのです。ピンチヒッターをお頼みするという事は、まず本番の日の都合がつく事、そしてその日演奏する曲を今までに演奏した事がある事(もちろん初めてであっても本番までに間に合えば問題はないのですが)、そして本番までにお互い都合がついて「合わせの時間」が取れる事。この3つの条件を満たす方を探すというのは容易ではないのです・・・。

風邪、これには本当に気を遣っています。どんなに気を遣ってもたまにひいてしまう事もあるもので、そうすると「これだけ無理しているんだからひいて当然」とか、「1年中風邪ひかないよりはたまにひく位の方がいいらしいし(と何かで読んだ気がする)」とか、「風邪ひいたらこれ以上悪くはならないんだからあとは治るだけ」とか、あらん限りのプラス思考(言い訳?)で乗り切ったりします。もちろんそれ位の事では仕事は休めないので、だましだましですが。風邪をひいたら困るのは「集中力が切れるから」、これはもちろんの事ですが、もっと困るのは「鼻息で合図ができない事」。鼻息とタイトルに書くと「なぬ?」と思われるので敢えてブレスとしましたが・・・。

管楽器や声楽と違って、どこで呼吸をしていてもピアノの演奏には支障は無いはずですが、実は大いにあるのですね。ソロの曲でも。ナチュラルなフレーズ感・・・分かりやすく説明するのは難しい・・・メロディーやリズムが自然に美しく、そして生き生きと聴こえるようにする事とでも言えばいいかな。音楽の流れにそったところで息をすべきポイント(場所)が当然あるのですが、「呼吸のタイミングや速さ」と「腕や体の動き」は関連があるので、無理なく無駄なく演奏する為にいい呼吸は大切なのです。複雑なリズムを体で感じる為にもそれは必須条件!

伴奏をしてみると分かるのですが、例えば曲の始まりのタイミングや合わせにくい所の目印として、ソロの人は私たちピアノに対してブレスで合図を出してくれるのです。もちろん動作でも出してくれますが、私とすればブレスが聞こえれば充分過ぎるほど。これは客席で聞いていても分かります(ぜひ今度コンサートに行かれる時に聞いてみて下さい)。実際は口ではなく鼻で吸う息なのですが、音楽の内容によって呼吸の速さやタイミングをいろいろ使い分けています。普通はソロの人の方がする事なのですが、時と場合により後ろからピアノが合図を出す事もあります。例えばほんの数拍ピアノの方が先に出る場合(前奏と言えるほど長ければ問題ないけれど)。背後でいつピアノが弾き出すかをびくびくしながら待つのは非常に緊張するものだと思うのですが、そんな時音が出るより先に1拍早くブレスで示しておくと、1拍分気持ちの余裕をもって出てもらえます。あと曲の途中で急がれたら困るようなところで、敢えてピアノの立場からテンポ感を示すようにブレスで拍を示している事もあります。そんな時に風邪で鼻が詰まっていたら・・・?

なんて事が頭をよぎるのです、風邪をひきそうな時は。ま、ひかないに越した事はないですが。

最近の近況。相変わらず合わせと学校の仕事がびっしり。コンサートの翌日からは、来月末にある田島さんのリサイタルの合わせも始まりました。サックスのコンクールの人たちの合わせのスケジュールを組むのも、パズルの如く難しい。全員にお尋ねメールを送って、返ってきたメールを見ながらタイムテーブルを組んで、それぞれにお知らせメール(電話だと1と7を間違えたりもするし、字面で残る方が確実だと思うので)を送るのですが、うっかり一人間違えたりすると再度都合を聞き直して訂正メールを送らなければならなくなるので、間違えないよう神経ぴりぴり。その代わりばっちり全員の予定が決まったりすると嬉しいものです。学校の方もそろそろ学年末の試験に向けて準備をしなくてはならない時期にさしかかり、一歩早く試験がある室内楽のレッスンにはかなり熱が入ってきました。大学院の入試もあるし、自分の練習も含め「仕上げる為に今何をすべきか」いつも必死で考えています。

昨日は通常のレッスンをした後に、あるオーディションの合格者コンサートの伴奏に行ってきました。帰りの通勤ラッシュの時間帯、渋谷、新宿、池袋で降りたのですが、あまりの人の多さに息が詰まりそう。こんな時間に人込みの中を歩くのも久し振りで疲れ、帰ったら爆睡・・・。その後のこのこ起きてビターチョコレートケーキを食べたら(いつもはこんな時間に決して食べないのですが)何故か急に元気が出て、いろいろやっていたらもうすぐ夜が明けます・・・。



2005年10月15日(土)     「1周年」

お天気が戻ってきた中、キンモクセイの甘い香りが大気中に漂っていますね。いい季節となりました。

慌しさに紛れて忘れるところでした。今日でこのサイト、開設から1年経ちました!折りしもアクセスカウンターが10000超えたばかりですが、長いようで短い1年、始めた頃はどの程度続かせる事ができるのか、果たしてご覧下さる方がどれ位いらっしゃるのか、気がかりな事ばかりでした。何とか続いたのは、「見てますよ〜」という皆様方のお声のお陰です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

9月は例年忙しいのですが、どういう訳か昨年は割と時間があったもので、前々からいつか何とかしようと考えていたホームページ作成に手をつけてみようと思ったのでした。動き出せば早いもの。でも今思えば、あんなによく時間があったものだと、そこまで徹底してやる気になったものだと、驚く事しきりです。本当に必要な時に必要なものは与えられるものだなぁ・・・と。

明日は伊賀さん青木君の東京公演です。シューベルトの作品の素晴らしさを確かめに、ぜひお出掛け下さい。それも含めていろいろする事があって余り寝ていないのですが、そのせいかタイピングをいつになくぼろぼろ間違えています。頭が働かないので、今日は「さっぱりと」この辺で・・・。



2005年10月12日(水)     「10000!」

無我夢中で過ごした1週間・・・そんな中、アクセスカウンターが10000を超えました!更新を心待ちにしてちょくちょく訪れて下さった方が多いんだろうなぁと思うと本当に申し訳ないのですが、それでもお陰様でここまで来られました。ありがとうございます!次の目標20000に向けて、だらだらと長く、時にはさっぱりと短く、「ひとりごと」の更新を続けていくつもりです。どうぞよろしくお願い致します。

今日はあまり時間と気持ちの余裕がないので、さっぱりと簡略に行きます(のつもりだけど)。

まずは8日の伊賀さん青木君の三島公演が無事に終わりました。連休初日でしたが、かなり沢山のお客様がいらして下さいました。ありがとうございました。

これは毎年のシリーズなので三島は5度目。昨年も今頃でしたが、10月だったにもかかわらず台風が来ていた時で、何という運の悪さ!ちょうど演奏中に三島上空を台風が通過し、ベートーヴェンを弾きながらもホールの天井の上で風がびゅうびゅう吹いているのが聞こえました。朝三島に来るのは思いの外楽でしたが、帰りがもう・・・。台風は過ぎ去り雨も止み、滅多に見られないようなドラマティックな夕焼け(真っ黒な雲の隙間から真っ赤な空が細く覗き、富士山がシルエットで浮かび上がる)が見られたのは良かったのですが、駅に着いたら新幹線が止まっていて、ホームに人が溢れかえっていました。その内動くだろうとたかをくくっていたのですが、結局動いたのは確かその4〜5時間後。それものろのろ運転で各駅停車、重い荷物を両肩にかけて東京まで立っていたという、ちょっとキツイ経験。あの印象が強すぎて、数日前降り立った時はまるで別の駅みたいでした。そしてあれから1年というのも嘘のよう。

それに比べれば、今年のお天気はまだまだ落ち着いたものでした。曇ってはいたけど・・・という話はさておき、詳しくは東京公演が終わったらまとめて書こうかと思います。

それ以外に先週は何をしていたかというご報告(一応はオフィシャル・サイトなので)。思いつくままに順不同です。

この秋からいつも「慌しい」と書いている気がしますが、先週は正にピーク。日曜にあったアカデミッシェカペレさんとの初合わせに、ベートーヴェンの「合唱幻想曲」の暗譜を間に合わせるのに必死でした。余裕を持って準備していない方が悪いと言われればその通りで、言い訳も出来ない。夏から少しずつさらってはいましたが、最近のこの状況では、先週まではどうしても手をつけられなかったのです。9月中頃に1日だけまともに練習できた日があって、その日に半分暗譜してありましたが、残り半分は先週に。でも弾き込み量が足りなければ(頭と耳が覚えていても)体が動いてくれないので、危険極まりない・・・。というのは、構成が実に複雑な曲なのです。ピアノ・パートの長い休みも多くてどこから入るかがややこしく、それを解明(分析)する作業はなかなか面白かった。でもいくら面白くても覚えなければ話にならないので、寝ても覚めても電車の中でもお風呂の中でも、頭の中に鳴らして覚えました。それでも頭の中に鳴らない場合は、要するにまだ覚えていないという事ですが・・・。

楽譜を見て弾けるものはそこまでしなくてもいいので、ピアノの前にいない時に脳味噌を解放してあげる事ができる。だから「大変大変」と言いつつも、時間さえあれば「ひとりごと」の更新は訳ないのですが、さすがに寝ても覚めても暗譜しているような状態だと、とても日本語を繰るところまでは余裕がないです。そんな訳で更新ができず、そして今日は何だか話の進め方が支離滅裂だったりするのです。お許しを。

ブラームスの「愛の歌」は混声四部合唱とピアノ連弾の編成ですが、大体合唱の伴奏の経験が少ない上に初対面の方との連弾という事で、これがまた心配の種でした。連弾の初合わせイコール全体練習の初合わせというのはいくらなんでも無謀だと思ったので、1度時間を作って連弾だけの合わせもしました。「案ずるより生むが易し」でもないけど楽しかった。しかし連弾は本当に難しい・・・。

三島のコンサートの前日には広いところでリハーサルをしました。いろいろなスケジュールの都合で、今回はよりによって本番の前日です。室内楽に限らず本番前はこのような形で予行練習をいつもしていますが、音響的にも精神的にも何かが変わる事で、その時初めて気付く事も多いものです。翌日の為に、帰ってから録音を聴き直して、ざっと全体を練習して、そして心配なベートーヴェンの暗譜もして・・・そして翌日はマチネなので朝早く家を出ると・・・?結局寝る時間は殆ど取れませんでした。でも気が張っていたからかかなり元気。

そして三島の翌日は朝からアカデミッシェカペレさんとの合わせだったので、この日も結局あまり寝ていません。夜中に何度かめげそうになったけど、明日怖い思いをするよりは今苦労した方が・・・と思い直し、睡魔と闘いました(?)。

朝の合わせはブラームス。このメンバーで音を出すのは初めてなのに、既に何度も合わせているようななごやかさ。前もって連弾だけ合わせておいてよかった・・・。合唱の響きも先生のご注意も自分の出す音も全て耳に入れるために、神経が針のようにとがっているのですが、いつもの事ながらボッセ先生の音楽に対する深い愛情、そしてユーモアに満ちたお話、合唱団の方々の親密な雰囲気、そしてもちろんブラームスの音楽、それがない交ぜとなって、穏やかな時間となって流れ出していきました。

午後はそこにオーケストラの団員さんも加わってベートーヴェンの合わせ。朝がべ−トーヴェンだったらどれくらい緊張でガチガチになっていた事か・・・(想像するのも怖い)。オーケストラと合唱という今までに体験した事のない編成ですが、やはり響きはベートーヴェン。最近曲が分かってきて、本当に素敵な作品だと実感します。ピアノの置き位置の都合上オーケストラの団員さんの表情は見えなかったのですが、熱心に取り組んでおられるご様子。私は、先生のご指示を受けたところ、その場で気付いた演奏の工夫などを楽譜に書き留め、頭の中で一つずつ整理していくのに恐ろしく集中しました。大きな流れに乗せて頂いて弾けるのは気持ちよく、またありがたい事です。

その翌日はやっとオフ!夜中しか自分のさらう時間が取れないので先週は不眠状態、束の間ですがやっと全てを忘れて眠れました。昼頃に起きたら久々にのんびりと料理をし、その後は肝心な事は忘れない内に、オケ合わせと三島の本番の録音をチェック。録音を聴くというのは正直かなり面倒な作業。自分のまずいところ(まずいのは重々承知の上でも)を「初めて」認める瞬間は、やはり本能的に身構えてしまうものです。また流し聴きするならともかく、楽譜を目の前に鉛筆を持ってしっかり書き込みをするのは極度の集中を要するもの(うっかり寝てしまったらやり直し・・・)。合わせの過程も全て聴くとまた相当時間がかかります。これで1日が終わったようなもの・・・。

そんな中、学校の仕事はほぼいつも通り。サックスの公開レッスンも先週あり、私はデニゾフのソナタのお手伝い。学内のリハーサル・スタジオは、かつてこんなに人が入ったのを見た事がない程、たくさんの学生さんが集まりました。さすがに一瞬何故かぎょっとしましたが、それもすぐ忘れました。先生は、私も大変お世話になった素晴らしいサクソフォニストの方で、非常に気さく。レッスンもいい雰囲気で進められましたが、何度となく弾いているその曲の新たなアプローチが発見できたように、非常に興味深く面白いものでした。大切な事はサックスでもピアノでも同じ、きっと他の何かでも同じ、弾きながらこんな事を考えていました。

先週はこの公開レッスン以外はサックスの合わせはお休みにしたので、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスというドイツ・ロマン派の音楽(ベートーヴェンも後期作品はロマン派とみなす考え方もあるようで)に、どっぷりと浸っていました。初めて弾く作品は、奥の深さゆえ曲の本質に迫るのにどこから手をつけていいか分からない位だし、また何度も何度も弾いている作品でも、どんどん深まってくるにつれて新たな発見があります。何だか不思議な感じ。

そして今週戻ってくるもの。近現代曲の響き、そして「いつもの顔ぶれ」・・・1週間空いただけなのに、これまた何だか妙な気分です。

お待ち兼ねの紅玉が届きました!リンゴは何と言っても紅玉!毎年段ボール買いして、ジャムにしたり焼きリンゴにしたりして楽しんでいます。生で齧った時のパシッという歯ざわりと酸っぱさも魅力。暇さえあればお菓子を作っていた学生の頃は、アップル・パイもいろいろなバージョンを試したりしたものです。今回はまず、皮が白いサツマイモがあったので(紫芋かと期待したら中も白でした)、それと紅玉を薄切りにして少しの水で柔らかくなるまで煮、干し葡萄とレモン汁も混ぜて「?」(名前は無し?)を作りました。砂糖は全く使わないのにまぁまぁ甘いのですが、食べる時は蜂蜜やメープルシロップをかけています。シナモンを振っても良さそうだし、煮崩れて「リンゴ芋あん」状になったものは、ラップで絞って「茶巾しぼり風」にしてもいいかも。これが明日くらいに無くなったら、今度は大好物の焼きリンゴを作る予定。

しかし今年の秋は暑い。まだ1度もジャケットに袖を通していません。朝顔市で買ってきた朝顔は、まだまだ頑張って大輪の花を現役で咲かせています。暖冬になったら地球に何か悪い影響がないか、さすがにちょっと心配になります。

結局今日も長くなりました。どうも文章に納得がいかないのですが、朝がとにかく早いので妥協して寝ます。いつしかちょこちょこ訂正しているかもしれません。更新が延びたら、ひとりごとの長さは比例して長くなる・・・?



2005年10月3日(月)      「竹林さんのリサイタル」

いつの間にか10月に突入しているというこの恐ろしさ。9月はあってないようなものでした。それにしても先週は凄まじい1週間・・・。この更新も半月位ご無沙汰しているような錯覚(実際は1週間だけど)を覚えます。竹林さんのリサイタルはわずか10日前の事ですが、1ヶ月弱昔の事のような気がする。一体何なんだろう、この感覚は。

殆ど息つく間が無かったのが原因?少し早めに帰宅できてゆっくり食事したり、その日の仕事の整理や翌日の準備がちゃんとできるだけで全然気分は違うのですが。また朝9時、10時の授業やレッスンに遅刻もせず、片道1時間半かけて通っているという事自体、夜型の私にしては驚異(学生時代の私が今の自分を見たら「信じられない!」と言うでしょうね)。

さて、忘れない内に竹林さんの鴻巣でのリサイタルのご報告。

ホールはすり鉢型・・・と言っていいのでしょうか?舞台が無く平場なのですが、客席は舞台から階段状にどんどん後ろに向かって高くなっていき、こちらから客席を見上げるような感じ。また非常によく響くところでした。多分300席位だと思いますが、かなり一杯になる程のお客様がいらして下さいました。ありがとうございました。

この日の事はもう遠い昔のようであまりはっきりとは覚えていないのですが、むちゃくちゃに体が凝った状態だったのは覚えています(車内で熟睡したら首と肩がバリバリ、荷物を持ったら腕がパンパン)。夜公演だったので午前中はゆっくり出来ましたが、出かける前にどうしても「マカロニチーズ」が食べたくなって作りました(指を切るな〜切るな〜と念じながら)。「胃が疲れているけど今食べたいのはお茶漬けじゃない、でも今食べたら夜まで体が持つ物は・・・?」と思ったらこれだったのです。演奏会の本番直前の食事、ソロだったら間違いなく殆ど食べない。調律があがってから開場まで弾き続けているし、大体気持ちの上でもいっぱいいっぱいなので。その他のコンサートではまちまちですが、やはりリハーサルで時間を取るのであまり食べる時間が無いのが常。

ちなみに「マカロニチーズ」とは、マカロニグラタンの簡略式と思って頂ければ・・・。これも遠い昔に新聞の切り抜きを頼りに作ったもので、いつの間にか私のアレンジが入っているかもしれません。まずマカロニを茹でておく。別にフライパンで、中に入れたい具を火を通しておく。私がよく使うのは、玉ねぎの薄切りとベーコンやハム、マッシュルームかシメジかエノキダケ等のキノコ、たまに気分でミルクに合いそうな青い野菜(インゲンなど)も。これらをオリーブ油で炒めて塩コショウしたら、マカロニと一緒に大きな鍋に入れ、少しの水と多量の牛乳、好みでコンソメキューブを入れて煮込みます。水が多いとただのスープになってしまうし、牛乳だけだと吹きこぼれる恐れあり。蓋はせずにとろ火でコトコトと煮崩れるまで、どちらにしろ付きっ切りで見ていないと吹きこぼれたりするのですが。家でいつも飲んでいる牛乳は、そっとしておくと上部にクリームがたまってくる「ノンホモジナイズド」というもの。いちいち飲む前に瓶ごと振らなくてはならないのですが、味は非常にグー。出来上がったらそのまま食べてもよし、溶けるチーズをのせてチンしてもよし、冬は体が温まります。オーブンで焼く事を考えればずっとお手軽。お試しあれ。

話が反れましたが、それを食べて景気をつけて出かけました。食べたいものを食べれば、人間何とか元気になるものです。

今だから言える話、この日のプログラムはピアノ側からしてみればウルトラC級!最初に言ってしまうとずるいので言いたいのをずっと我慢していましたが、ピアニスト泣かせの曲ばかり。ピアノ・ソロで言う難しさとは全然中身が違うのですが(ついでに言えばサックスや金管楽器の伴奏の難しさともまた違う)、何というかコントロールの難しさでしょうか。例えて言えば、雨が降ったらどれほどぬかるむか水がたまるかも知らない初めての土地で、大雨の日に泥はねを一切させずに、跳んだり跳ねたり走ったりしてみるようなもの。

つまりピアノで言えばこういう事です。まず「非常に跳躍が多い」。それも外したら一番目立つ左手のバス(最低音)が思いっきり遠い。まともに弾こうとしたらバチャンと大きな音が出てしまうようなところを、エレガントにミスなく弾かねばならないのです。それなのに要求されているテンポは速いし、目が楽譜と鍵盤の往復についてゆけない・・・。

そして「音数が多い」。大体普通に弾いたら、音量音色ともどもピアノの音が弦楽器をかき消してしまうのは当然でしょう。基本的に弦は一つの音しか弾かないのに、ピアノは10本の指で同時に幾つも音を鳴らしている。そんな訳で一つ一つの音をデリケートに、そして弦楽器の音を消さないように弾く必要があるのです(もちろん全曲を通じて、ではないですが)。

以上2つの問題を踏まえた上でもっと大変なのは、美しいハーモニーや多彩な雰囲気を表現する為に、「数限りない音色やタッチを用いなければならない」という事。弦楽器と合わせる時に必要とされる音色やタッチは存在しますが、ただ音量を落としているのではなく、弦楽器の音を超えないようなさまざまな表現を心がけているのです。優先するのはピアノの立場からの「表現」で、音が多くて跳躍が大変なのが理由にならないのが苦しいところ・・・。

ドヴォルザークの「4つのロマンティックな小品」とフォーレの「ヴァイオリン・ソナタ第1番」は、このような意味では非常に繊細なタッチを要求する曲。お引き受けする際プログラムを聞いて、過去に弾いた事があるにもかかわらず「こりゃ大変だぁ・・・」と思いました。今回初めて弾いたハイフェッツ編の「歌の翼に」は、ミスプリント?と思うほどテンポにはまりきらない沢山の音(しかも最弱音で)を連ねたアルペジオが、終わりの2ページ延々と続きます。果たして弾けるかなぁと最後の最後まで気がかりだったのですが、何とかテンポ内に納められてホッ・・・。

その日はいつもお願いしている調律師さんがわざわざ来て下さいました。遠いところを無理にお願いして申し訳なかったのですが、いらして下さって本当に心強かったです。このような室内楽(二重奏)では、ピアノのタッチやホールでのセッティング(ヴァイオリンとピアノの位置)がとても大切になってくるのですが、適切なアドバイスを下さり、また絶妙なピアノの調整に助けられました。ホールは良く響くのですが、お互いに聴きやすく且つ客席にも音が良く届く位置というのが、なかなか決まらず苦労しました。今回は変則的に、ヴァイオリンとピアノがかなり離れた形で落ち着きました。通常は1メートル前後なのですが、その時は2メートル位。始めは慣れない距離で違和感がありましたが、結局その位置が一番お互いに聴きやすく安心して弾けたのです。

不思議なもので、そのような問題がクリアすると心の中の不安もクリアしたようなもので、すっと集中できるようになります。私自身何と言っても一番気になるのは、タッチを思い通りにコントロール出来なくて予測不能な大きな音、或いは雑な音が出てしまう事なので。そういう風に考えれば、指をばりばり動かして弾ける曲の方が断然楽だったりするものです。

本番はいつもの事ながら余り良く覚えていませんが、「この難しいプログラムを演奏する為のお膳立てはして頂いたのだから、後は自分の問題」と弾く前に思い、演奏後は「この条件下で起こりうる最高の偶然(必然?)の中で弾けた」と思いました。誤解のないよう、もう一言。相手がある事は、一人で弾く以上に偶然に頼る部分も大きくなる。二人なら二乗、三人なら三乗という具合に、偶然の確率が高くなる。自分だけの中で音楽を想定してさらっても、結局のところは全く違ったものが生まれるのが室内楽の本質であり醍醐味。それを実感した本番だったように感じています。竹林さんも非常に集中していい演奏をしていましたが、本番の最中、今まで一度も聴いた事の無い表現がところどころ聴かれたのが嬉しい驚きでした。

当日の譜めくりは初対面の学生さんがして下さいましたが、実に気持ちよくめくって下さって弾きやすかったです。9月13日の項に譜めくりストの話を書いたばかりなので、そんな事についても考えました。そして伴奏や室内楽に興味を持って専門的に志す学生さんが増えたらいいな、とも。

何だかうまくまとめられませんでしたが、このような感じでリサイタルは無事に終わりました。お世話になった皆様、どうもありがとうございました。

ピアノで室内楽を演奏するのは、ある意味ソロよりもずっとずっと大変だけど面白い。今読み返して「大変さ」ばかりクローズアップして書いていると思いましたが、非常にやり甲斐、勉強のし甲斐があります。これによって私自身のソロの演奏も随分変わり、また全体を見通すことが出来るようになってきました。

さて、今週は三島でシューベルトのリサイタルがあり、その翌日は朝からボッセ先生とアカデミッシェカペレさんとの初合わせです。シューベルトは合わせよりも個人練習!という状態で、ベートーヴェンの「合唱幻想曲」の暗譜もしなくてはならない。オケとはちょっと早めの初合わせですが、この後は本番間近まで空くのできっちり準備していかないと・・・と思って、ピアノの八木さんとブラームスの「愛の歌」の連弾パートの合わせを、前もってする事にしました。という訳で今週はサックスの合わせはお休み。でも学校は休めない。とにかく追われる1週間です・・・。


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